現場監督のための雨天外壁施工術

雨天で外壁が止まるを減らす 施工管理の勘所

最近の現場でよくある課題は、梅雨や局地的なにわか雨で外壁工事が頻繁に中断し、シーリングや塗装、タイル張りの品質トラブルまで誘発すること。白華、付着不良、膨れや剥離は、ほぼ全てが水分と温湿度管理の失敗から始まります。本稿では、雨天 外壁 施工管理をテーマに、現場で使える判定基準、養生の工夫、数量拾いとコストの勘定までを一気通貫で解説します。

雨天時の外壁施工管理の基準と判断

雨量 露点 含水率の実務基準

まずは作業可否の物差しをそろえること。以下は筆者が監督時代に使っていた実務目安です。最終的には各材料メーカー仕様を優先してください。

  • 降雨量 1mm h以上 または外装面が連続湿潤なら原則中止
  • 相対湿度 85%以上は警戒、90%以上は接着系作業は避ける
  • 表面温度 5℃未満 35℃超は不可。露点差 3℃未満も不可 露滴化の恐れ
  • 風速 8m s以上は養生破損と飛散リスク。高所はより厳格に
  • 下地含水率の目安 コンクリート 6%以下 ALCは表面乾燥を確実化 吸水性が高いのでプライマーで調整

露点差はスマホの気象アプリで外気温 湿度から算出し、非接触式温度計で外壁表面温度を測るのが早いです。含水率はピン式水分計で目地周りを重点チェック。

最新トレンド 気象APIとIoT雨量計で予防管理

今は1時間先の降水強度を高解像度で見られるナウキャストや気象APIが使いやすい。足場上段に簡易雨量計を設置し、事務所PC スマホと連動すれば、降雨1mm h到達で即アラート。判断の客観性が上がり、協力会社との合意形成が速くなります。

雨天対策の施工方法と養生の工夫

外壁シーリング 雨天時の勝ちパターン

  • 打設部位の選別 垂直面の上向き目地は最優先で雨避けを強化。水平目地やサッシ上端は水が溜まりやすいので晴天日に回す
  • プライマーの乾燥時間はカタログ値に対し1.2 1.5倍を基本 雨雲接近なら今日のプライマー 明日の打設にずらす勇気を
  • 速硬化 低温硬化型のシーリング材を雨期限定で採用 可使時間とスキンタイム短縮でにわか雨リスクを低減
  • 押さえ後の被せ養生 目地幅より広い幅でテープと防水紙を被せ 端部は水返しを作る
  • 排水確保 足場側の桟に一時樋を組み 避難水路を作る これで養生内への吹き返しが激減

タイル ALC塗装の注意点

  • タイル張りは吸水率と下地温度が命 露点差3℃未満は張らない 張った直後に表面が曇ると付着不良の兆候
  • ALC面は予備含浸が有効 プライマーで吸い込みを止めてから主材 低圧でも安定した塗布量を守る
  • 雨上がり再開の目安 目地底と端部が乾いてから 最低でも雨上がり後2 3時間は表面乾燥を待つ

事例 数量とコスト 工期の具体例

ケース 600㎡のALC外壁での雨期運用

対象 10階建て 中規模RC マンション 外壁ALC仕上げ 面積 600㎡ 目地長 約450m 目地幅15mm 深さ10mm

シーリング数量拾いの計算 断面積 15mm×10mm 150mm² 0.00015m² m 当たり。450mで 0.00015×450 0.0675m³ 67.5L。320mLカートリッジ換算で 67.5 0.32 211本 端数を見て220本手配が安全。プライマーは0.01L m想定で 4.5L 1斗缶 16Lなら1缶で余裕。

養生の面積と費用 足場外側に仮設屋根兼用シートを全面 600㎡に10%の重ね代で660㎡。単価 1,100円 ㎡ とすると一式約72.6万円。対して雨天損失の試算 雨期20日工程で降雨日30% 6日停止 1日あたり人工4人×2.8万円 11.2万円 日 合計約67.2万円。養生により稼働率を30%→70%に改善できれば停止は4日に減り 2日分 22.4万円が回収され 工期も2日短縮。品質事故の再施工やクレーム対応を避けられる分まで含めれば十分に採算が合う。

仕上がり品質への効果 露点差管理と被せ養生の徹底でピンホールと白華はゼロ。打設後24時間の降雨でもスキン形成済みなら外観不良は出ず 目地端部のにじみもなし。

手順とチェックリスト 雨天 外壁 施工管理

着工前の準備

  • 週間工程に雨予備日を15%織り込む 重要工程は晴天日固定化
  • 気象APIの1時間降水強度とレーダーを共有表示 事務所と足場最上段にタブレット
  • 材料選定 速硬化 低温対応の採用可否をメーカーと事前協議
  • 仮設計画 足場外側にひさし状の仮設屋根を設ける 水返しと排水経路を図面化

当日の可否判断フロー

  • 6時 時点予報とナウキャスト確認 降雨1mm h以上が連続2時間なら接着系は延期
  • 出発前 露点差3℃以上を確認 表面温度は現場到着後に非接触温度計で
  • 朝礼 含水率測定の担当を決める 目地周りと水平面を重点

作業中 途中中断の基準

  • 微雨でも目地内部が湿るとアウト 降雨検知から15分時点で再評価
  • プライマー塗布後に雨予兆があれば 打設は翌日に繰越し テープは外す
  • 押さえ後は被せ養生を必須 端部に水返しで毛細浸入を遮断

終業時の品質管理

  • 養生の浮き 破断の有無を全スパンで巡回 写真記録
  • 翌朝のにじみ 白華点検をチェックリスト化し再発防止会議へ

まとめ 明日から使えるTips

雨天 外壁 施工管理は 勘から数値へ がキーワード。降雨1mm h 露点差3℃ 相対湿度85% 含水率の目安を現場標準に落とせば 判断は早く 且つブレません。にわか雨には被せ養生と排水動線 そしてプライマーは焦らない。数量拾いは目地断面×延長で即答できるようにし カートリッジ本数まで落とし込む。養生費は工期短縮と品質事故回避で回収できることが多いです。明日は 露点差を測る から始めましょう。数分の習慣が 雨の一日を取り戻します。

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