2025年夏、日本各地で記録的な猛暑が続いています。群馬・伊勢崎では最高気温41.8℃を観測し、全国で熱中症による搬送が相次ぎました。
この暑さは日常生活だけでなく、建築現場にも深刻な影響を与えています。施工管理の立場から見ても、「安全」「工期」「品質」の3つすべてに影響が出ており、従来の常識が通用しない状況になりつつあります。
猛暑が建築現場にもたらす3つの影響
1. 労働安全のリスク増大
猛暑の最大のリスクは熱中症です。
特に鉄骨やコンクリート工事、屋根・外壁作業では直射日光で体感温度が50℃を超えることもあります。
実際、東京の大規模現場では、この1ヶ月で2名の職人が熱中症で死亡したという事例も報告されています。
これは決して他人事ではなく、全国の現場で起こり得る問題です。
2. 工期遅延の可能性
猛暑日には作業員の体調を考慮して作業時間を短縮する必要があります。
その結果、昼間の作業が減り、工期の遅延につながります。
さらに、材料納品やコンクリート打設のタイミングも高温の影響を受けやすくなります。
3. 品質への悪影響
猛暑は施工品質にも直接影響します。
塗装工事では、塗料の硬化が早すぎて作業しづらくなります。
ある現場の職人は、「軽トラに積んだ一斗缶の塗料がすぐ固まるようになった」と話し、軽トラから軽バンに乗り換えて直射日光から荷台を守る工夫を始めました。
コンクリート工事では急激な乾燥によりひび割れのリスクが増大し、慎重な温度管理と打設タイミングの調整が求められます。
建築現場でできる猛暑対策5選
1. 作業時間のシフト化
早朝や夕方など涼しい時間帯に作業を集中。昼間は休憩や室内作業を優先する。
2. 冷却設備の活用
ミスト扇風機や冷風機を設置し、作業環境の体感温度を下げる。
3. 水分・塩分補給のルール化
作業前・休憩時・作業後に必ず水分と塩分を補給。現場入口でチェックを行うのも効果的。
4. 遮光ネットや仮設テントの設置
直射日光を防ぎ、日陰を増やして作業効率を上げる。
5. 高温時の施工内容調整
コンクリート打設や塗装など温度に影響を受けやすい工程は、天候に合わせて予定を変更。
施工管理が意識すべきこと
猛暑の現場では「工期より安全」が大原則です。
工事が遅れても、熱中症や事故が起きるよりははるかに良い選択です。
高温期用の品質管理マニュアルを作成し、元請けや施主への理解を得ることが不可欠です。
まとめ
2025年の猛暑は、建築現場の働き方や安全管理のあり方を見直すきっかけとなっています。
今後も暑さは年々厳しくなる可能性が高く、安全第一＋品質確保のためには事前準備が必須です。
猛暑は避けられませんが、対策は今日からでも始められます。
今年の経験を、来年以降の現場改善につなげていきましょう。
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