長尺シート数量拾い 7手順と歩掛・ロス率早見表

導入(課題提示・なぜ今)

現場でいちばん時間を食うのが、長尺シートの数量拾いです。面積だけでなく、割付(敷き方の計画)や端部見切り(仕上げ端の部材)、巾木(壁際の細長い仕上げ材)まで入れる必要があるからです。ここを外すと、材料手配がぶれて工程が崩れます。

この記事は「長尺シート 数量拾い」を最短で終えるための手順を一つにまとめました。図面確認から拾い表(数量一覧)作成、ロス率の決め方、歩掛(1日あたりの施工量の目安)までを通しで示します。安全と品質のポイントは言い切りで押さえます。

本論(長尺シートの数量拾い)

まずは図面の入口を決めます。使うのは平面図、展開図、仕上表、納まり詳細の4点です。仕上品番と有効幅(例:1,820mm/2,000mm)、標準ロール長(例:20m)を確認し、割付方針をメモします。

割付は「目立つ通りをまっすぐ」「継ぎ目は人の動線からずらす」が基本です。廊下は通り芯に平行、居室は出入口からの見え方重視が無難です。柄物は柄合わせ(模様の突き合わせ)を要確認、ロス率が2〜3%増えます。

手順・段取り

手順は7ステップで固定します。この順を崩さないとミスが減ります。

1)仕上表で品番・厚み・幅・ロール長を確定。接着剤の種類と標準塗布量(例:0.35〜0.45kg/㎡)も控えます。
2)平面図に基準線を引き、割付をスケッチ。躯体通りと開口位置で継ぎ目を決めます。
3)面積を室ごとに拾い、形状ごとにロス率を仮置き。四角い室は5%、入隅・出隅が多い室は7〜10%。
4)シート本数の算定。例:幅1,820mmなら、室の有効幅を1,820で割り、端数は割付で調整。ロール長を超える長さは継ぎ足し本数を足します。
5)周長から巾木mを拾い、開口分を控除。端部見切り(アルミ見切りなど)のmは仕上げ切替線で拾います。
6)継ぎ目延長から溶接棒m(熱溶接の棒)を算定。目安は継ぎ目延長×1.1。
7)拾い表に「室名/シートNo/幅/長さ/m²/継ぎ目/ロス/備考」を記入し、発注ロットへ集計します。

下地調整材(パテ)は下地状態で変わりますが、一般的なモルタル下地で1回なら0.2〜0.3kg/㎡、2回で0.4〜0.6kg/㎡が目安です。平滑度は3m直定規で3mm以内を目標(出来形の目安)。安全のため、切断は手袋・保護メガネを着用し、接着剤作業は換気を必ず確保します。

コストと工期の目安(数値と前提)

前提は幅1,820mm・ロール20m、無地、廊下主体の現場です。2人1班での歩掛は60〜90㎡/日、複雑形状は40〜60㎡/日に落ちます。ロス率は廊下5〜7%、小部屋混在で7〜10%、柄合わせありでさらに+2〜3%を見ます。

接着剤は0.4kg/㎡で計算、溶接棒は継ぎ目延長×1.1、巾木は周長の97%(開口控除と切りシロ)を暫定で置きます。端部見切りは仕上げ切替線の100%+10%の予備を推奨。圧着ローラー(45kgの重いローラー)は1台/班を必携、安全に2人で搬送します。

事例・数字(㎡、m、mm、人数、日数、単価、ロス率)

事例A:学校の直線廊下 45m×1.8m=81㎡。幅1,820mm採用で1本通し割付。ロール長20mのため、45mは20m+20m+5mの継ぎ3列。ロス率は7%で81×1.07=86.7㎡、発注は90㎡(端数切上げ)。継ぎ目は中央1本×45mで45m、溶接棒は45×1.1=49.5m。巾木は両側で(45×2)−出入口3m=87m、予備3%で約90m。

事例B:病院病室フロア 10室×12㎡=120㎡、入隅多め。幅1,820mmで各室2本割付、柄なし。ロス率は9%で120×1.09=130.8㎡、発注は135㎡。継ぎ目延長は各室2.5m×10=25m、溶接棒約27.5m。端部見切りはトイレ境界など合計18m、予備含め20m。接着剤は0.4kg/㎡×135=54kg、18kg缶×3で余裕あり。

いずれも、納品単位はロール本(例:1ロール=20m×1,820mm=36.4㎡)で揃え、拾い表では「本数」と「㎡」の両建てで持つと手配が安定します。現場合わせのカットロスを吸収するため、端材保管箱を1箇所にまとめ、予備分の運用を見える化します。

チェックリスト(手順・安全・品質)

  • 仕上表で品番・幅・ロール長・接着剤の種類と塗布量を確認する(必須)。
  • 割付は通り芯と見え方を両立し、継ぎ目を人の動線から外す。
  • ロス率は形状5〜10%、柄合わせは+2〜3%で仮置きし、事後に実績学習する。
  • 拾い表は室名/No/幅/長さ/m²/継ぎ目/ロス/備考まで記入する。
  • 巾木mは周長−開口を基本に、予備3%を足す。端部見切りは切替線+10%。
  • 継ぎ目延長×1.1で溶接棒mを算定し、曲がり部は余裕を持つ。
  • 接着剤は0.35〜0.45kg/㎡で計算、気温・下地で増減するため製品仕様を最優先。
  • 圧着ローラーは転倒防止で2人搬送、指差呼称。切断作業は手袋・保護メガネ。
  • 下地平滑は3mで3mm以内を目標、段差・クラックはパテ2回で面を出す。

この手順と数値をテンプレ化しておけば、次回からは図面差し替えだけで拾いが回ります。迷いが出たら、割付のスケッチに戻ると早いです。数量は現場のリズムを作ります。落ち着いて、順に進めましょう。

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