コンクリート打設 気を付けるポイントで夏場の品質を守る

夏場に不具合が出る原因をおさえる

結論から。夏場は「コンクリート打設 気を付けるポイント」を先に決めておくと、不具合がぐっと減ります。固まるのが早いので、段取り負けが品質負けに直結しやすいからです。まずは、なぜ失敗が起きるのかを短く整理します。

一番の敵は高温と乾燥です。表面の水がすぐ飛び、スランプ(やわらかさの目安)が落ちます。締固め(バイブレーターで空気を抜く作業)が追いつかず、打継ぎ(コールドジョイント)の線が出やすくなります。

もうひとつは直射日光と風です。仕上げ中に急に乾いて、ひび(プラスチック収縮ひび割れ)が入りやすいです。配車遅延やポンプ停止が重なると、一気に難度が上がります。

よくある症状

  • 受入時よりスランプが2〜3cm以上低下
  • 表面が急乾燥して白っぽく粉をふく
  • 打設面に縞のような打継ぎ跡
  • 端部やスリーブ周りに微細ひび

具体策:計画・材料・人員・環境の四点

対策はシンプルに四点で考えます。計画、材料、人員、環境です。どれか一つでは足りません。小さく足し算して、全体で余裕をつくります。

計画:時間と順序を先に決める

  • 早朝スタートを基本に。日の出〜10時をコア時間に設定
  • 打込み順序は「日陰→日向」「遠い→近い」の流れで
  • ポンプ2系統やタンデム配車で待ち時間を最小化
  • 数量は3〜5%の余裕枠を計画書に明記

材料:温度とワーカビリティの確保

  • 混和剤(遅延剤)の採用を配合設計に反映
  • 打込み時温度は目安として35℃以下を狙う
  • スランプは現場条件に合わせて1ランク上を検討
  • 受入で温度・スランプ・空気量を必ず確認

スランプは「やりすぎると分離(砂利と水が分かれる)」ので注意です。狙い値と許容差を事前に共有します。空気量(耐凍害や仕上げ性の目安)もセットで見ます。

人員:二班体制と合図の一本化

  • 打込み班と仕上げ班を分け、重複タイムを作る
  • バイブレーター(締固め器具)はスペア含め3台以上
  • 合図者は一人に固定し、無線かハンドサインを統一
  • 安全要員を別立てで配置し、熱中症と挟まれを監視

環境:日よけと保水で表面を守る

  • 直射部はシートや簡易テントで日陰を作る
  • 打設直後から散水ミストや養生マットで保水
  • 風上側に防風ネット。表面乾燥を抑える
  • 鉄筋・型枠の表面温度が高い場合は事前散水で冷却

手順:前日〜当日の運び

段取りは前日で7割決まります。チェックリストで抜けを消しましょう。小さな準備が当日の余裕になります。

前日準備

  • 計画書と打設図を班で読み合わせ。順序と合図を決定
  • 機材点検:バイブレーター、トンボ、レーザー、発電機
  • 養生材の段取り:散水ホース、マット、シートを手元に
  • 安全:通路の確保、落下・転倒ポイントの是正

当日の受入検査(品質のゲート)

  • スランプ(やわらかさ)と空気量を測定
  • コンクリート温度を温度計で確認。目安35℃以下
  • 塩化物量の証明書、納入書の整合を確認
  • 試験体(供試体)を採取。ロットごとに3本を基本

数値が外れたら、現地で無理に水を加えないのが原則です。製造者と即時に連絡し、配合や再車を検討します。ここで粘ると、あとが楽です。

打設〜仕上げ〜養生の流れ

  1. 打込みは層厚30〜40cmを目安に。重ねて締固め
  2. バイブレーターは10〜15秒、ピッチ25〜30cmで均一に
  3. 余盛りを残し、タイミングを見てトンボでならす
  4. ブリーディング(水の浮き)後に金ゴテで軽く押さえ
  5. 仕上げ後はただちに養生。マットと散水で保水開始

角や端部は乾きやすいので、先に保護します。貫通スリーブや柱際は打込み量を少なめにし、追加で丁寧に詰めます。焦らず、でも止めずがコツです。

具体例:8月の基礎スラブでの段取り

面積300㎡、厚さ150mm、強度30のスラブを想定します。気温は朝25℃、正午33℃の予報です。今回は6時半ポンプ着、7時打設開始の計画にしました。

  • 配車:7m³車を15分ピッチ。計量は余裕5%で発注
  • 材料:遅延剤を少量添加。スランプ18cm、空気量4.5%狙い
  • 人員:打込み4名、締固め3名、均し2名、仕上げ4名、安全1名
  • 設備:ポンプ1+予備ホース、バイブ3台、ミスト2台、養生マット一式

結果、10時30分に打ち切り、11時に一次仕上げ完了です。表面温度が上がる前に養生へ移れたので、ひびはゼロ。受入検査も狙い値内で安定しました。

注意点:安全と品質の両立

  • 熱中症対策:こまめな水分と塩分、休憩所は日陰に
  • ポンプ圧に注意。詰まり時は逆送や分解を焦らない
  • 高所・開口部は先に手すりと覆い。落下物管理を徹底
  • 仕上げ遅れを人手で解決しすぎない。面積配分で解決
  • 打継ぎ位置は事前合意。もし発生したら記録と補修手順を即決

記録も品質です。受入数値、打設順序、写真、気温・表面温度、養生開始時刻を残しましょう。次の打設で必ず効いてきます。

まとめと次アクション

夏場は「高温・乾燥・遅延」が原因です。対策は計画、材料、人員、環境の四点で足し算します。手順は前日準備と当日の受入検査を要にして、打設〜仕上げ〜養生へ一気通貫で進めます。

  • 数値で決める:温度は35℃以下、層厚30〜40cmを目安
  • 人を重ねる:二班体制と合図の一本化
  • 面を守る:日よけと保水養生を即スタート

次は、あなたの現場の配車表と手順書を今日の内容で見直してみてください。狙い値と許容差、合図、養生の開始条件を書き足すだけでも効果があります。

コメント

タイトルとURLをコピーしました