コンクリート打設段取りを整えると、当日の迷いが減り、品質と安全が両立します。PRIMARY_KWである「コンクリート打設段取り」を軸に、原因から手順と注意点までを通しで押さえましょう。明日の段取り会議で、そのまま使える形でまとめます。
なぜ段取りでトラブルが起きるのか(原因)
原因は、情報の抜けと時間の読み違いが多いです。配車台数や打設順、試験の所要などが曖昧だと、待ちや詰まりが発生します。動線や足場の不備も危険の種になります。天候と温度の読みが浅いと、スランプ(流動性の指標)や仕上げ時刻がずれます。打ち継ぎ位置の決め方が曖昧だと、コールドジョイント(打継ぎ不良)につながります。
打設計画の具体策(計画書と段取り表)
基本は「数量・時間・人・機械・品質」を見える化することです。数量から打込み速度を設定し、配車ローテを先に固めます。1ポンプの目安は12〜20m³/時です。スラブはスランプ18±2.5cm、柱梁は12±2.5cm程度が一般的です。配合や塩害対策などは設計と協議し、事前承認を得ます。
- 打設順序とブロック割り:遠い側から近い側へ、上流から下流へ。
- 配車計画:4〜5m³車×6〜8台で20分間隔など、現場導線で調整。
- 機械:ポンプ車は能力と届き、予備ホースと発電機を手配。
- 人員:ポンプ2、打込み2、締固め2、仕上げ2、合図者1が目安。
- 受入検査:スランプ、空気量、温度、強度用供試体の本数を明記。
- 打ち継ぎ:位置と形状、再開時の処理(洗い出し・レイタンス除去)を決定。
- 天候対策:暑中・寒中・雨天の代替手順と資材(養生シート、散水)を準備。
当日の手順とチェックリスト(安全最優先)
開始前:受入と準備
- 朝礼で危険予知。合図者とバック誘導を明確にします。
- 生コン受入検査:ミキサ車ごとにスランプ・空気量・温度を測定。結果を記録。
- 配合の現場加水は禁止。必要なら工場協議で再配合にします。
- 足場と手すり、開口ふさぎを再確認。落下と挟まれを防ぎます。
打込み・締固め
- ポンプは先端を型枠面に当てず、ホース暴れに注意します。
- 打込み高さは1.5m以内を目安。流し込みすぎは分離の原因です。
- バイブレーター(締固め機)は1点5〜15秒、ピッチ40cm程度で重ね打ち。
- 鉄筋のかぶり(表面からの厚み)を保持。スペーサーの転倒に注意。
- 作業床は清潔に。こぼしはすぐ撤去。連絡系統は無線で一本化。
仕上げ・養生
- 仕上げ開始の目安は踏み跡深さ1〜2mm。早過ぎても遅過ぎても不良の元です。
- 打ち継ぎは立ち上がりに取り、段差を小さく整えます。
- 初期養生は乾燥と温度低下を防ぐこと。散水やシートで湿潤を保ちます。
- 記録:開始・終了時刻、気温・風速、試験結果、養生方法を写真付きで残します。
数値で見る段取り例(30m³スラブ)
床スラブ30m³、1ポンプで15m³/時の計画です。打込みは約2時間、受入・試験や仕上げ移行を含め3.5時間を見ます。4m³車を8台ローテ、到着間隔は12〜15分で調整。人員は計9名、うち仕上げ2名は終盤で増援が良いです。
- 配合:24N、スランプ18cm、空気量4.5±1.5%。
- 試験:1台目・中間・終盤で品質確認、供試体は3本×3セット。
- 打設順:遠い隅→中央→手前。梁との取り合いは先行立上りなし。
- 養生:初日シート+散水、翌日以降は湿潤維持3日以上を基本。
- 安全:ホース付近は立入制限。感電・転倒を重点KYに設定。
よくある失敗と注意点(リカバリ含む)
- コールドジョイント:搬入遅延で中断時は、継ぎ目を洗い出し、レイタンス(粉状の弱層)除去。再開前に打継ぎ剤を塗布します。
- スランプ低下:高温時は搬入時間を短縮し、日陰待機。現場加水は避け、工場に相談します。
- 仕上げ遅れ:鏝の入りを待ち、焦らず段取り替え。小面積で区切ると安定します。
- 雨天:一時強雨は中断し覆い。水鏡は除去してから再仕上げ。縁押さえを丁寧に。
- 寒中:保温シートとヒーターで10℃程度を確保。初期強度の立ち上がりを守ります。
まとめ(要点と次アクション)
- 数量・時間・人・機械・品質を一枚に集約。迷いを減らします。
- 受入検査と連続打設で品質を安定。現場加水はしません。
- 安全は合図と動線で担保。足場と開口ふさぎは必ず再点検。
- 養生は乾燥と温度を守ることが核心。写真と記録で再現性を持たせます。
次アクションとして、明日の打設に向けて「配車ローテの実測」だけ先に確認しましょう。入口の待機スペースと誘導動線を歩いて計り、段取り表に反映すると、当日のリスクがぐっと減ります。
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