結論から言うと、コンクリート打設の段取りは「事前の情報整理」と「当日の役割分担」でほぼ決まります。PRIMARY_KWであるコンクリート打設 段取りを固めれば、品質ムラと遅延をぐっと減らせます。ポイントはスランプ(柔らかさ指標)と配車計画、そして安全動線を同時に見ることです。
なぜ段取りでつまずくのか(原因)
つまずきの多くは、図面・配合計画・気象の情報がバラバラで、判断のタイミングが遅れることです。型枠(コンクリート受けの枠)や鉄筋(補強材)の受け入れ確認が曖昧だと、当日になって手戻りが出ます。もう一つは配車計画の詰め不足で、ポンプ車(圧送機)や生コン車の到着間隔が合わず、打設速度が乱れます。
気象と配車の読み違い
暑中・寒中コンクリート(高温・低温期の施工)では、温度管理が品質を左右します。気温や風でブリーディング(水上がり)や打ち継ぎ(途中継ぎ目)の状態が変わります。気象を見誤ると、仕上げや養生(保護と乾燥管理)が遅れ、レイタンス(薄い弱層)も出やすくなります。
具体策:チェックリストで整える
- 打設計画の確定:数量、打設順序、打設速度(目安1〜2m/h)
- 配合・スランプの確認:受入検査でスランプ試験(柔らかさ)・空気量を現場測定
- 配車計画:台数、間隔、バックアップ車の有無、待機場所
- 機械・工具:ポンプ車能力、ホース径、バイブレーター(締固め用振動機)の本数と予備
- 型枠・鉄筋・インサート類の最終点検、清掃と散水の可否
- 安全動線:人・車・圧送ホースの交差回避、立入禁止の明示
- 人員配置:打込み、締固め、均し、仕上げ、記録、合図者の役割
手順:前日〜当日〜打設後
前日まで
- 図面・配合計画の整合を確認し、要領書(作業の約束事)を配布します。
- 試験練り(事前の配合確認)があればデータを共有し、目標スランプ・強度を再確認します。
- 配車計画を生コン工場と再通話し、到着間隔を10〜15分で仮置きします。
- ポンプ車の設置位置とアウトリガー(支持脚)地耐力を確認し、養生板を準備します。
当日・受入検査
- 1台目でスランプ試験・温度・空気量・塩化物量を測定します。不適合は受入を止めます。
- 最初の打込みはゆっくり始め、圧送圧と分離の有無を見ます。ホース先端の人は合図者と常時連絡します。
打設中の基本
- 打設順序どおりに進め、層厚は30〜50cmを守ります。落下高さは1.5m以内に抑えます。
- バイブレーターは10〜15秒/点、ピッチは30cm程度で、上下層に軽く差し込みます。
- 立上り(壁・梁)では、隅角部に先行して流し、ハチの巣(空隙)を防ぎます。
- 打ち継ぎ面は粗しと清掃を行い、レイタンス除去を徹底します。
仕上げ・養生
- スラブ(床)ではブリーディング収まりを見て、金ゴテ開始を遅らせます。早すぎるとひび割れの原因です。
- 散水やシートで湿潤養生を行い、風対策を続けます。寒中は保温、暑中は遮熱を優先します。
- 記録(写真・打設量・時間・気象)を即座に残し、是正があれば日報に反映します。
具体例:200m²スラブのケース
スラブ厚150mm、総量約30m³、スランプ18±2cmを想定します。ポンプ車1台、6m³車を6台、間隔12分で組みます。打設は2時間、仕上げに3時間、合計5時間を計画し、予備に1時間の余裕を見ます。人員は打込み2、締固め2、均し2、仕上げ2、受入検査1、合図者1の計10名で回します。
リスクは気温30℃超での急乾燥です。散水設備と遮光ネットを事前設置し、減水剤の使用可否を工場と共有します。打設後30分でブリード確認、1時間で1回目の金ゴテ、その後は表面硬化を見ながら2〜3回で仕上げます。
注意点・リスク管理
暑中・寒中コンクリート
暑中はコンクリート温度が上がりやすく、初期ひび割れが出やすいです。打設時間を朝方に寄せ、日射と風の影響を減らします。寒中は凍害に注意し、加温・保温と凝結遅延への配慮を行います。どちらも温度管理の記録は必ず残します。
打ち継ぎ位置の設計意図
梁や壁の打ち継ぎは、鉄筋の定着とせん断に関係します。設計図と要領書の位置をずらさないことが大切です。やむを得ず場所が変わる時は、監理者と即時協議します。
安全のポイント
- 圧送ホースの振れで人が挟まれない動線を作ります。合図は一元化します。
- ポンプ車周りは立入禁止帯を明示し、アウトリガー下は踏ませません。
- 打設中の高所は親綱・手すりを先行させ、足元の清掃をこまめに行います。
まとめ
- 情報を一枚に集約し、配車・人員・品質の目線をそろえます。
- 受入検査と締固めの基本を外さず、仕上げと養生に時間を残します。
- 気象の変化を前提に、予備の時間と機材を必ず用意します。
次アクションとして、自現場の打設計画を上のチェック項目に写し込み、配車表と役割分担を今週中に確定しておきましょう。写真と数値の記録テンプレも、同時に準備しておくと安心です。
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