コンクリート打設 注意点と高温期の対策・手順

コンクリート打設 注意点を先にまとめます。高温期は硬化が早く、ひび割れや打重ね不良が起きやすいです。原因を押さえ、対策と手順を整えるだけで、品質と安全はぐっと安定します。今日の現場にすぐ生かせる形でお伝えします。

高温期に起きる不具合の原因

暑い日は練混ぜ温度(生コンの温度)が上がり、凝結(固まり始め)が早まります。打込み時間がのびると、打重ね(つぎ足し)部が乾き、コールドジョイント(継ぎ目不良)が出ます。表面は風と日射で乾き、プラスチック収縮ひび割れが出やすくなります。ブリーディング(水が上がる現象)が減ることで、仕上げの見極めも難しくなります。

輸送時間が長いとスランプ(やわらかさの指標)が落ちやすいです。遅延剤の使い方が合わないと、逆に仕上げが夜まで終わらないこともあります。人員が薄いとバイブレーター(締固め機)の当て漏れや過振動を招きます。型枠や支保工の締めが弱いと、漏れとたわみで品質がぶれやすいです。

具体策:品質と安全を両立する計画

温度と時間の管理

練混ぜ温度はできれば30℃以下を狙います。工場と相談し、プレクーリング(材料を冷やす)や早朝打設で対処します。配車計画は台数と到着間隔を細かく詰め、打重ね時間は45分以内を確保します。配管やバケットの経路短縮でロス時間を減らします。

配合・スランプの設定

仕上げ面はスランプ18±2cmなど、用途ごとの標準に合わせます。高温期はAE剤(空気を入れて作業性と耐久性を上げる)の活かし方を再確認します。遅延剤は必要量を設計者と協議し、過剰使用は避けます。試験練りや現場でのスランプ・空気量確認は必ず行います。

安全管理の先手

可動部の足場は荷重に合うかを再点検します。打設経路は転倒・挟まれのリスクを洗い出し、立入禁止と合図者を明確にします。ホース振回し部は人を入れない、合図は一人に統一。この3点は必ず守ります。熱中症はこまめな休憩と塩分補給、蒸れない装備で防ぎます。

当日の手順:前段取りから養生まで

打設前チェックリスト

  1. 配車計画と到着間隔、打設開始時刻を再確認。
  2. 型枠・支保工の締付け、継ぎ目の止水と隙間塞ぎ。
  3. 打込み経路と合図者、退避場所の明確化。
  4. 試験器具(スランプコーン、温度計、空気量計)の準備。
  5. 散水・日除け・養生資材(シート、散水ホース、養生剤)の配置。

打込み〜締固め〜仕上げ

  1. ホース先は短く動かし、層厚は30〜50cmで均一に。
  2. バイブレーターは1点5〜15秒、ピッチは30〜40cm。過振動は骨材分離を招きます。
  3. 打重ね部は先行層がまだ湿っているうちに重ねます。目安は45分以内。
  4. 表面のブリーディング水が引いたら、こて押さえへ。早すぎる仕上げはレイテンシ(弱層)を作ります。
  5. 仕上げ後はすぐに養生。散水や湿潤シート、養生剤で乾燥を防ぎます。

ケース別のコツ:スラブと立上り

スラブ(床)は面積が広く、風の影響を強く受けます。日除けネットとミスト散水で表面温度を下げます。打込みは二手に分け、端部と中央で同時進行にすると打重ねが安定します。仕上げは2〜3回に分けて、押さえすぎないのがコツです。

立上り(壁・梁)はコールドジョイントに注意します。打込み高さを管理し、こぼれ止めで漏れを防ぎます。開口周りは密度が落ちやすいので、細かくバイブレーターを当てます。型枠の締め増しは打込み途中にも行い、たわみを抑えます。

数値の目安:判断を早くする

  • 練混ぜ温度:できれば30℃以下、やむを得ずでも35℃以下を目安に。
  • 打重ね時間:45分以内。高温・強風時は30分を意識。
  • 養生期間:外気30℃前後なら湿潤養生3日以上、可能なら7日を確保。
  • 散水開始:仕上げ直後ではなく、表面強度が出たのちに優しく。

よくあるミスと回避

バイブレーターの過振動は骨材分離と沈下ひび割れの原因です。1点当たりの時間とピッチを守ります。仕上げの早押さえはレイテンシを作るので禁物です。ブリーディング水が引くまで待ち、タイミングを合わせます。

配車遅延でスランプが落ちたとき、現場での過度な加水は品質を大きく落とします。必ず工場へ相談し、正式な手当てで対応します。表面の乾燥は早い段階の散水で防ぎ、日除けと風避けを組み合わせます。安全面は合図の乱立が事故のもと、一人に集約します。

まとめ

高温期のコンクリートは、温度・時間・水分の3点管理が核です。計画で先回りし、当日は段取りと合図をシンプルに。終わったらすぐ養生、この一手で仕上がりは変わります。明日の打設に向け、チェックリストを班で共有しておきましょう。

  • 練混ぜ温度は30℃以下、打重ねは45分以内。
  • 配車計画と人員配置でロス時間を削減。
  • ブリーディングの見極め後に仕上げ、すぐ養生。
  • 安全は合図者の一本化と立入管理を徹底。

次のアクションとして、自社の打設計画書テンプレを見直し、今日の数値目安を追記して共有することをおすすめします。

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