配筋検査 チェックリストを使うと、見落としが減り、是正も早くなります。
この記事は現場で迷わないための実務ガイドです。
ベースはシンプルに、すぐ作れて回せる形にまとめました。
安全と品質は妥協しませんが、負担は増やしません。
配筋検査チェックリストの狙いと効果
チェックリストは、記憶に頼らない仕組みです。
属人化を減らし、誰が見ても同じ基準で判定できます。
検査時間を短縮しつつ、写真と記録の質を底上げします。
結果として、是正の再発も抑えられます。
見落としが起きる原因
図面と現場のギャップ
図面の読み違いや、最新リビジョンの反映漏れが起きます。
開口(穴あけ)やスリーブ(配管用筒)と鉄筋の干渉も起きやすいです。
かぶり厚さ(鉄筋とコンクリート表面の距離)の考え違いも定番です。
時間制約と段取り不足
打設前は工程が密で、検査時間が削られがちです。
要所の順番や測定の役割分担が曖昧だと、重要点が後回しになります。
写真の撮り忘れは、段取りと合図の不足が原因です。
具体策:事前準備で7割決まる
標準チェックリストを作る
工種ごとに3枚以内の定型を用意します。
用語は短く、専門語には補足を入れます(例:スターラップ=せん断補強筋)。
判定欄は「適合/是正/保留」とし、数量や寸法の記入欄を必ず置きます。
図面マーキングと色分け
最新図を1セット印刷し、注意箇所に色を付けます。
赤=是正、青=確認済、緑=要計測と決めて共有します。
開口補強筋、定着長(鉄筋の埋込み長さ)、継手位置を強調します。
写真ルールを先に決める
構図、スケール(定規)の入れ方、通し番号を定義します。
全景→要所→寸法→是正前後の順で撮ると迷いません。
フォルダ名は「日付_部位_階」で統一すると探しやすいです。
手順:現場での流れ
1. 開始前のすり合わせ
関係者で10分ミーティングを行います。
役割(読む人、測る人、記録する人)を固定します。
安全装備(手袋・安全帯・ヘルメット)は必ず着用します。
2. 要所から先に確認
- かぶり厚さ:スペーサー(保持材)位置と数量を確認
- 主筋径・本数・ピッチ(間隔)を実測
- 定着長・曲げ半径・継手の重ね長さ
- 開口補強・スリーブ周りの補強筋
- 梁端・柱接合部のスターラップ本数増し
寸法はメジャーとスケールを併用し、記録はその場で記入します。
数値は設計図書を優先し、迷ったら監理者へ即相談します。
3. 是正・記録・承認
不適合はその場でマーキングし、是正前後を写真で残します。
チェックリストは当日中にPDF化し、関係者へ共有します。
コンクリート受け入れ前に、承認者のサインを必ずもらいます。
例:スラブと梁のチェック項目
スラブ(床板)の要点
- 配筋ピッチ:設計値と一致。増し筋は通り芯基準で確認
- かぶり厚さ:スペーサーの高さと間隔を目視+実測
- 開口補強:四周の補強筋の径・長さ・定着を写真で明示
- スリーブ:束ね禁止、近接距離と補強の有無
- 止水板や電気配管との干渉を解消
一般例として、屋内スラブのかぶりは30mm程度が多いですが、
必ず設計図書の数値を優先してください。
数値は現場条件で変わります。
梁(はり)の要点
- 主筋径・本数:端部での定着長と曲げ形状
- スターラップ:ピッチ変更区間と本数増しの範囲
- 柱梁接合部:余長の干渉とかぶり確保
- スリーブ:梁成の1/3以内のゾーニングと補強
- 継手位置:継手禁止区間に入っていないか
梁端部は是正が難しく、写真の抜けが出やすい場所です。
必ず全景→端部→ピッチ→定着の順で残しましょう。
番号札を使うと後追いが楽になります。
注意点:安全と品質は最優先
安全面のポイント
鉄筋上の移動は転倒リスクが高いです。
足場板を敷き、立入区分をロープで明示します。
打設前の針金(結束線)端部は折り返し、けがを防ぎます。
品質・記録のポイント
検査は「測る→書く→撮る」を同じ順で回します。
誰が見ても再現できる記録が品質を守ります。
記録は日付・部位・図番・判定・是正期限を必ず入れます。
チェックリストの雛形(抜粋)
- 基本情報:工事名/階/部位/図番/検査日/立会者
- 項目:主筋径・本数・ピッチ/かぶり厚さ/定着長/開口補強/継手位置
- 判定:適合/是正/保留(理由)
- 写真:全景/要所/寸法/是正前後(番号対応)
- 承認:是正完了日/承認者署名
まとめ
配筋検査は、事前準備で勝負が決まります。
標準チェックリスト、色分け図面、写真ルールの3点を整えましょう。
手順は要所優先で、測る・書く・撮るを固定します。
記録は当日中に共有し、承認を確実に取ります。
- 原因は「図面ギャップ」と「段取り不足」
- 具体策は「標準化×色分け×写真ルール」
- 手順は「役割固定→要所計測→是正記録→承認」
- スラブと梁は要点を写真で見せる
- 安全装備と動線確保は絶対条件
次のアクションとして、まず自社用のA4一枚リストを作り、
今週の検査で試してみましょう。
現場での気づきを追記し、2回の改善で完成度が上がります。
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