コンクリート打設 段取りを極める:失敗原因と当日手順

コンクリート打設 段取りのコツは、原因を見抜き、当日を時間で割って管理することです。配車と人の動きがそろえば、ムリな打継ぎ(途中の継ぎ目)を避けられます。この記事だけで、明日の打設を安心して回せるはずです。

なぜ打設が乱れるのか(原因)

乱れの多くは、計画と実際の差です。生コンの到着ずれ、ポンプ車(圧送機)の能力見込み違い、型枠・配筋(鉄筋)準備の遅れが重なると、打設速度が落ちます。
天候の変化も効きます。夏はスランプ(軟らかさ)の低下、冬は硬化の遅れで段取りが崩れます。
もう一つは合図の不足です。合図があいまいだと、バイブレータ(締固め機)やならしのタイミングがずれ、締め固め不足や打継ぎにつながります。

乱れを防ぐ具体策(チェックリスト)

前日までの確認

  • 打設計画書(段取り表)を配布。開始・休止・終了の予定時刻を1枚に。
  • 配車計画:ミキサ車の台数と間隔を決定。目安は5〜8分間隔、渋滞時は10分。
  • ポンプ車能力の見積り:実効20〜25m3/時を基本に、水平・立上り距離で補正。
  • 受入検査の体制:スランプ、温度、空気量の記録表と温度計を準備。
  • 人員配置:打込み2、バイブ2、ならし2、合図1、記録1、予備1を確保。
  • 資機材:バイブ2台+予備1、散水、ブルーシート(養生)、コードリール点検。

当日の安全ポイント

  • 立入禁止の明示と足元整備。スラブ上は単管(支柱)と桟木で通路を確保。
  • 合図は一人に集約。合図者の高視認ベストで混乱を防ぎます。
  • 型枠の締付け再確認。コーナーと開口部は二重チェック。ここは言い切ります。

当日の手順(時間割で管理)

T-60分:立上げ

全体朝礼で役割と合図を再確認します。受入場所、待機列、退避経路をチョークで書きます。
ポンプ車はブーム展開後、試し圧送。漏れや逆止弁を確認し、吐出量を共有します。

T時刻:1台目受入

受入検査は迷わず実施します。スランプ、温度、空気量を測り、記録に残します。数値が規格外なら即工場に連絡し、無理に水を足しません(品質低下)。
初打ちは隅から。先に梁や壁の根元を満たし、ジャンカ(すき間)を防ぎます。

T+30〜90分:定常打設

  • 打込みとバイブを1.5m間隔で追走。挿入は10〜15秒、重ねは半分以上を徹底。
  • ならしはトンボとコテで段差を消し、ブリーディング(水上がり)を見ながら薄ならし。
  • 受入は5〜8分間隔。到着間隔が開けば、他作業を止めてポンプを優先。

T+90分:中盤の山

レイタンス(薄いセメント膜)が出やすい時間帯です。表面水を引かせてから仕上げます。
配車が詰まったら、ヤードで一時待機。無理な追い打ちは離れ(ひび)を呼びます。

T+終了:養生へ

仕上げ後は即養生。夏は散水と遮光、冬は保温シート。風が強い日は蒸発が早いので、間隔を詰めて散水します。
コールドジョイント(打継ぎ不良)を疑う箇所は、マーキングし記録に残します。

具体例:30m3の中規模スラブ

想定は25m3/時の実効能力、配車7分間隔、4t車で来場です。計算では約1時間半ですが、立上げや仕上げを入れて2時間半の計画にします。
人員は打込み2、バイブ2、ならし2、合図1、記録1、予備1。受入は合図者と記録が兼務します。

  • 1〜2台目:梁と壁の根元を重点。ジャンカ防止を最優先。
  • 3〜5台目:スラブの平場を帯状に。打設方向を一本化して逆流を防止。
  • 6〜8台目:仕上げ追い込み。表面水を見て、遅延剤散布は指示に従う。

この規模でも、到着が10分以上あくと危険域です。合図者は工場に連絡し、次便の出発調整をお願いします。迷ったら早めに打設速度を落とし、無理な継ぎを作らない判断が安全です。

注意点とよくあるミス

  • 水でスランプを調整する行為はNG。品質と強度に直結します。
  • バイブの入れ過ぎもNG。材料分離で表面が弱くなります。
  • 開口まわりの型枠は、内側からも外側からも目視。外し跡の割れを防ぎます。
  • 温度管理。外気30℃超なら散水と開始前倒し、5℃未満なら保温を追加します。
  • 記録の抜け。受入検査と写真は、後日のクレーム対応の命綱です。

まとめと次の一手

打設の乱れは、配車・人員・合図の三つのズレが原因です。前日の見える化、当日の時間割管理、確実な受入検査で、品質と安全を両立できます。
次は自社の標準チェックリストを作り、現場ごとに見直すだけで、段取りの精度はぐっと上がります。

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