配筋検査 チェックリストを手元に置くと、検査の速さと確かさが上がります。
やり直しを減らし、コンクリート打設までを滑らかにつなげられます。
ここでは原因から具体策、手順、数値の目安までをひと通りまとめます。
配筋検査の基本とよくある不具合
配筋は鉄筋の骨組みです。検査の目的は、図面(配筋図:鉄筋配置の図)と仕様に合うかを見切ることです。
現場で多い不具合は、かぶり厚さ(鉄筋からコンクリート表面まで)不足、あき(鉄筋間の間隔)不足、継手・定着の長さ不足、スペーサー(かぶり確保材)の不足や位置ズレです。
- 図面の読み違い・施工図との不整合
- かぶり厚さ・あき・ピッチ(鉄筋間の等間隔)のズレ
- 継手位置の集中、定着長さ不足、フック方向違い
- 踏み抜きや荷重で沈む、バーサポート(支え筋)の破損
- 写真・トレーサビリティ(材料追跡)の不足
原因と具体策:現場で効く打ち手
図面の不整合には「検図会議」と色分け
配筋図と躯体図、設備スリーブ図の差は早めに洗います。
検図会議で差分に付箋と色を付け、マーキングのルールを決めます。
開口補強は一覧にし、誰がいつ直すかをメモに残します。
寸法ズレ対策は「管理寸法リスト」と治具
かぶり厚さ、あき、ピッチは数値を先にリスト化します。
かぶりブロックやサイコロの高さは、図の値に合わせて選定します。
定規板やスケールで当てて測り、ズレはその場で是正します。
継手・定着は「d」を意識してリスト化
継手長さや定着は、鉄筋径d(例:D16ならd=16mm)で決まる指示が多いです。
梁・柱・壁で条件が変わるので、部位別にリスト化します。
圧接・機械式継手は証明書と位置を紐づけて管理します。
歩行・荷重対策は「動線」と養生
人が通る所に足場板を敷き、スペーサーが沈まないよう配慮します。
資材仮置きは主筋をまたぐ形を避け、荷重は分散します。
安全のため、手袋・保護眼鏡などの保護具は必ず着用します。
記録不足は「写真台帳テンプレ」で防ぐ
撮る位置・順番・必要カットをテンプレ化します。
部位名、方向、スケール、マーキングを写し込みます。
ミルシート(材質証明)と圧接記録は台帳に添付しておきます。
配筋検査チェックリストと手順
準備が整えば、検査は流れで行けます。迷いが減り、是正も早くなります。
手順は下の通りです。安全確認は最優先で行います。
- 事前準備:配筋図・施工図・仕様書、検査基準、管理寸法リスト、ミルシート・継手記録をそろえる。
- 位置・墨出し:芯、かぶりの基準ライン、開口位置を確認。躯体寸法の通りも合わせて見る。
- かぶり確保:スペーサーの種類・ピッチ・高さ、バーサポートの通しを確認。沈みがあれば差し替え。
- 配筋本体:径・本数・ピッチ、あき、定規筋、スターラップ(帯筋)のフック方向、定着長さを確認。
- 継手:位置の分散、種類、長さ、圧接・機械式の証明書と現物の照合。
- 付属:開口補強、添え筋、定着プレートまわりの補強、結束の間引きなしを確認。
- 写真・記録:全景→通り→詳細→是正前後の順で撮影。台帳に追記。
手順は守ります。迷った数値はその場で図書に立ち返ります。
打設前に再確認の短い巡回を入れると取りこぼしが減ります。
数値の目安と現場の例
数値は必ず設計図書と自社基準を優先します。ここでは読み方の例を示します。
現場に合わせて置き換えてください。
- 例1 梁:設計でかぶり厚さ35mm指示、主筋D25、スターラップD10@100。サイコロは35mmを選定。主筋のあきは図で40mm指示。フックは135度の記載を確認。
- 例2 スラブ:t=150、D13@200。ピッチはマーキングで200mmごとに印を付け、許容差は仕様書の値で確認。スペーサーは所定ピッチで敷き、踏み抜き防止に足場板を追加。
- 例3 柱:帯筋D10@100、継手は階高の指定範囲に分散。定着長さは図のd×係数で算定された値を現場で読み取り、スケールで実測。
粗骨材径が大きい現場では、あきの条件が厳しくなりがちです。
型枠との干渉や、インサート類の影響も同時に見ます。
干渉が出たら、指示系統を通じてすぐに是正します。
注意点・NG例
- スペーサーの材質混在や不足でかぶり不足になる。
- 結束の間引きや、二重配筋のすき間が不均一。
- 開口補強忘れや位置ズレ。設備と干渉したまま放置。
- 降雨後の赤さびに不安が出たら、清掃・評価方法を上長と共有。
- 写真にスケールや方向が写っておらず、台帳が後で使えない。
安全面では、針金の跳ねや鉄筋の切り口で手指を切りやすいです。
手袋・長袖・保護眼鏡は必ず着けてください。
高所はフルハーネスを使い、工具の落下も防ぎます。
まとめ
配筋検査は、原因をつぶす準備と、流れで見る手順で安定します。
チェックリストに「数値」「位置」「記録」を並べ、都度図書に戻るクセを付けます。
打設前の最終巡回と、是正後の写真までやり切ることが大切です。
要点のチェックリスト
- 図面の差分を色分けし、管理寸法をリスト化する。
- スペーサーとバーサポートでかぶりを確保する。
- 径・本数・ピッチ・あき・定着・継手を順に確認する。
- 開口補強と付属筋を忘れず、写真台帳で記録する。
- 安全装備を着用し、踏み抜き・落下を防止する。
次のアクションとして、自現場の図書から管理寸法だけを1枚に抜き出し、配筋検査 チェックリストに追記して現場に貼っておくと効果的です。
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