結論から言うと、コンクリート打設 手順は「事前計画」と「受入検査」と「打ち重ね時間の管理」でほぼ決まります。ここを外さなければ、やり直しが減り、仕上がりも安定します。この記事では原因から具体策、手順、例、注意点までを一気に整理します。
なぜ不具合が出るのか(原因の整理)
不具合の多くは、締固め不足(バイブレーターの当て方不足)と打設速度のムラです。コールドジョイント(打ち重ねの不連続)は、可使時間(使える時間)超過や連絡ミスが原因になります。天候の急変やポンプ待ちでの滞留も、ブリージング(水分上がり)や収縮ひび割れを助長します。
型枠の剛性不足や配筋のかぶり不足も、表面欠陥や寸法狂いを招きます。仕上げを急ぎすぎて、まだ水が上がっている段階で抑えると、はく離の原因になります。要は、時間と流れの管理、そして確認の省略が重なると、後追いで直せない不具合になります。
具体策:事前計画と当日の体制
まず施工計画(段取りの設計)で、打設順序とブロック分け、人員と機材の数を決めます。ポンプの能力、1台当たりの生コン車の回転時間、可使時間を表で見える化します。打ち重ね時間の目安は30〜60分ですが、気温と配合で短く見込みます。
当日は、責任者、ポンプ口、バイブレーター係、ならし、仕上げ、合図役を明確にします。トラブル時の代替手順も先に決めます。無線や合図旗など、連絡手段をそろえ、合図は統一します。
受入検査(品質の入口管理)
生コン受入では、スランプ(軟らかさ)、空気量、温度を必ず記録します。設計値から外れると、締固めや仕上げが難しくなります。必要に応じて随時の再確認も行い、塩化物量の証明書も確認します。
手順:現場での動き方
- 打設前確認:配筋(鉄筋の組み)とかぶり、型枠の締め付け、足場と通路、打設順序の合意を確認します。清掃と散水(湿らせ)も忘れません。
- 試し打ち:最初の一荷でスランプ試験と流動を確認します。必要なら、吐出量を調整します。
- 打込み:層厚は30〜50cmを目安に薄層で行きます。振動(バイブレーター)は垂直に入れ、前層に10cmほど食い込ませます。
- 締固め:1点の振動は5〜15秒、ピッチ(間隔)は30〜40cmが目安です。型枠や配筋に当てすぎないよう、ゆっくり引き抜きます。
- 打ち重ね:可使時間内に次層へつなぎます。待ちが出そうなら、ブロック割の見直しや人員シフトで流れを切らさないようにします。
- ならし・不陸調整:トンボやレーザーでレベルを確認し、表面の骨材露出がないように軽く整えます。
- 仕上げと養生:ブリージング水が引いたらコテ押さえを開始します。散水養生、シート養生、養生剤(保護材)を使い、初期乾燥を防ぎます。
天候別の対応(高温・低温・雨天)
高温時は初期凝結が早くなります。打設ブロックを小さくし、人員を厚めにします。散水と日よけで表面乾燥を抑えます。
低温時は凝結が遅く、凍害のおそれがあります。保温シートや養生マットを準備し、終業後も温度を保ちます。雨天はシートで覆い、表面水がのった状態での仕上げは避けます。
例:150mmスラブ 50m³の段取りモデル
床スラブ厚150mm、面積約330m²、計50m³を想定します。人員は7名(合図1、ポンプ口2、バイブ2、ならし1、仕上げ1)を基本とします。バイブレーターは2台、予備1台です。
生コン車は1台当たり最大6m³、回転25〜30分で手配します。打設速度は12〜15m³/時を目安にし、ブロックは2〜3分割でつなぎます。休憩はブロック間のタイミングで短く入れ、打ち重ね時間を守ります。
注意点・チェックリスト
- スランプと空気量は各ロットで再確認します。
- 層厚は30〜50cm、前層へ10cm食い込みを徹底します。
- バイブの挿入は真っ直ぐ、ゆっくり引き抜きます。
- 型枠と支保工の緩みを中間でもう一度見ます。
- 打ち重ね時間は気温に応じて短く見込みます。
- 表面水が引く前の仕上げは行いません。
- 端部とかぶりの締固めは丁寧に、当てすぎ厳禁です。
- 通路と退避場所を先に確保します。
- 昼夜で担当が変わるなら、引き継ぎを文書化します。
- 写真と温度・試験結果をセットで残します。
まとめ:今日の現場で使うポイント
品質は、入口の受入と時間の管理で決まります。具体策は、打設順序と人員の見える化、試験の徹底、天候対応の準備です。手順は薄層、確実な締固め、無理のない仕上げ、そして丁寧な養生です。
次のアクションとして、明日の配車計画と打ち重ね時間の基準を、現場の地図と一緒に1枚にまとめておきましょう。合図と役割のカードも作り、朝礼で共有します。
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