結論とベネフィット
コンクリート打設 施工管理の要は、打ち重ね時間(継ぎ足しの間隔)と流れの段取りです。
適切な計画と現場の合図がそろえば、コールドジョイント(継ぎ目不良)はぐっと減ります。
この記事では、原因から具体策、当日の手順までを一連で整理します。
明日の打設でそのまま使えるチェック付きで進めます。
コールドジョイントの正体と発生メカニズム
コールドジョイントは、先に打った層が硬まり始めた後に新しいコンクリートがのることで、層間に弱い面ができる現象です。
見た目は筋や線状の継ぎ目で、漏水や剥離のリスクになります。
原因は一つではなく、時間、流量、締固め(バイブレータ:締め固め機)の不足が絡みます。
気温や配合(レシピ)次第で進行も変わるため、現場ごとの見極めが大切です。
主な原因を分解(現場要因/計画要因)
現場要因では、ポンプ車の停止や人員の遅れ、指示の混乱が多いです。
バケット待ちや型枠内の移動経路が狭いなど、物理的なボトルネックも影響します。
計画要因では、打設順序の設定不足、配車の間隔、打設量と人員の釣り合いの甘さが目立ちます。
受け入れ検査(現場試験)の流れが滞り、初動が遅れるのも定番です。
防止の具体策
1. 打設計画を具体にする
スパンごとの打設順序と打ち重ね限界時間の目安を、平面と断面で書き込みます。
障害物や開口は先行して充填し、追っかけで梁やスラブにつなぐ流れを決めます。
配車間隔は余裕を持たせつつ、空白が出ないように5〜10分単位で工程化します。
寒中・暑中(低温・高温時)なら、配合や養生を事前に調整します。
2. 人員配置と役割の明確化
指揮1名、ホース先端2名、バイブレータ2名、ならし1〜2名、受け入れ試験1名を基本線にします。
指揮は時計係も兼ね、最終打設点からの経過時間を声に出して管理します。
合図は笛や短い言葉で統一し、停止・再開・緊急を色分けします。
安全要員は兼務にせず、足場と退避を常に見張ります。
3. 受け入れ検査の段取り
スランプ(やわらかさ)と空気量、コンクリート温度は、試験器具と人を先着させて待機します。
合格基準と許容差をホワイトボードに大きく書き、全員が見える位置に置きます。
NG時の対応手順(配合変更や返送)を、施工体制台帳の別紙で共有します。
初便は写真と時刻を確実に残します。
4. 締固めと打ち重ねの管理
バイブレータは2台以上を常用し、1点あたり5〜15秒、重ねは半分程度を目安にします。
先行層の表面は一度ならし、レイタンス(薄いセメント膜)が出たら軽く除去します。
打ち重ねは先行層がまだ指で押せる柔らかさの間に行い、迷ったら直ちに増員して追いつきます。
壁や柱は一面完了後に次面へ流し、面間の待ちを減らします。
5. 養生と仕上げ
仕上げ面は泌水の収まりを待ち、むりに押さえ込みません。
風が強い日は散水やシートで乾燥を防ぎ、初期ひび割れを避けます。
翌朝の点検で継ぎ目の線や段差を重点確認し、疑わしければ責任者立会いで判断します。
当日の手順(時系列チェックリスト)
- 朝礼で打設順序・合図・退避を共有(図示)
- 型枠・配筋・埋設の最終確認(写真)
- 試験器具配置と試験員待機、時計合わせ
- 初便受け入れ検査(スランプ・空気量・温度)
- 先端・締固め・ならしの連携テストを空打ち
- 障害部から充填開始、層厚は30〜50cmを維持
- バイブ重ね打ち、ホース移動は一定リズム
- 打ち重ね時間を口頭でカウント、遅れは即応援
- 最終便の見込み時刻を全員に再共有
- 仕上げ・養生・清掃・写真・片付けまでを完了
具体例と数値の目安(現場で使うヒント)
打ち重ね時間の目安は30分前後ですが、気温・配合で変わります。
暑い日は20分を切ることもあり、寒い日は余裕が出ます。
スランプの許容差は±2.5cm、空気量は±1.5%が一般的な設定です(仕様書を必ず確認)。
圧送量は25〜40m3/hが多く、平面の広いスラブは低めでも安定重視が安心です。
ありがちな失敗と避け方
- 初便待ちで全員集合し、後半に息切れする → 試験と先端だけ先行し、他は段階招集にします。
- ポンプ停止を見落とす → 指揮は常にホッパーを見る役をつけ、無線で即共有します。
- 型枠内で人が詰まる → 進入路と退避をテープで明示し、資機材は前日撤去します。
- 暑中でコールドジョイント → 早朝開始、日陰養生、急結対策は配合設計者と事前協議します。
まとめと次アクション
コールドジョイントは、時間・流れ・締固めの三点管理で多くを防げます。
打設計画を具体にし、当日の役割と合図をそろえ、数値の目安で会話すると迷いが減ります。
次の打設までに、順序図と時刻表、試験手順のボードを作り、小さくリハーサルしてみてください。
写真と時刻の記録をひとまとめにし、次現場の改善に回すと効果が続きます。
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