最初に結論:コンクリート数量拾いは“整合”と“外す”が肝
コンクリート数量拾いは、型枠や配筋と整合をとり、打継ぎと開口を正しく外せば、だれでも安定します。
最初にルールを決め、色分けで見える化し、最後に検算で締める。
この流れを崩さないことが、拾い漏れと二重計上を防ぐ一番の近道です。
今日の現場からすぐ使える形で、手順とコツをまとめます。
ミスの原因:図面差、単位ぶれ、二重計上
まず原因を押さえます。図面差(意匠と構造の不一致)は定番です。
開口位置や梁(はり)の寸法が微妙に違い、体積がずれます。
単位ぶれも怖いです。スラブ厚150を0.15mにせず、150のまま掛けてしまうなどです。
ほかに、打継ぎ(打設を分ける境)を見落として二重計上、もしくは未計上が起きます。
現場変更も要注意です。配筋(鉄筋の配置)変更でかぶり厚が動き、出来形が変わります。
階段や庇などの三角形・勾配形状は、図形の近似を誤ると誤差が積み上がります。
最後に、開口(スリーブやシャフト)を外し忘れると、材料ロスが出ます。
逆に、過度に外してしまい、実施工より少なく拾うこともあります。
具体策:ルール化・色分け・チェック表
対策はシンプルです。拾いのルールを事前に書面化します。
「寸法は全てm」「開口は100×100以上を外す」「打継ぎは軸組図に従う」など、曖昧をゼロにします。
これをチームで共有し、図面に付箋のように貼っておきます。
次に色分けマーキングです。梁は青、柱は赤、スラブは緑、壁は橙など。
外す要素は斜線で灰色、打継ぎは紫点線といった具合に、意味を固定します。
色分けは単なる見やすさではなく、二重計上の検出にも効きます。
最後にチェック表(チェックリスト)で網羅性を担保します。
- 図面整合:意匠・構造・設備の3点照合
- 単位確認:長さm・面積m²・体積m³に統一
- 開口ルール:外す閾値と例外を明記
- 打継ぎ位置:躯体符号ごとに確定
- 検算:別手段で±2%以内を目標
手順:準備→拾い→検算→記録
事前準備(図面とルールの固定)
最新版の図面をそろえ、版数を角に明記します。
凡例(図記号の意味)を確認し、構造図を基準にします。
拾いルールをA4一枚にまとめ、机の見える位置に置きます。
エクセルのテンプレートも、項目名と単位を固定しておきます。
拾いの流れ(部位ごと→階別→通り別)
拾いは、部位で分けると安定します。柱→梁→スラブ→壁→その他の順が定番です。
階ごとに区切り、通り芯で管理すると、後で差分が追いやすくなります。
各部位で、外す要素を先に抽出します。開口寸法、スリーブ位置、打継ぎ線を色分けします。
その後に体積を出し、外す体積を差し引きます。
検算と記録(別ルートで確かめる)
検算は必須です。梁や壁は、通り全長×断面で一次計算し、
その後、部材表の本数×一本当たり体積で二次計算します。
二つが±2%ならOK、超えたら再確認です。
最後に、前提条件と版数、開口の扱いをメモして保存します。再利用が利きます。
具体例:小規模RCの拾い例(梁・スラブ・階段)
例として、梁300×600、芯々長さ5.0mを2本、スラブ厚150で3.0×4.0m、階段は幅1.2m・蹴上15段・踏面260とします。
梁は0.3×0.6×5.0=0.9m³が1本、2本で1.8m³。
ただし、柱にめり込む分を片側0.05m控えるなら、長さは4.9mで0.882m³×2=1.764m³です。
スリーブφ100が2か所なら、0.1×0.1×0.15≒0.0015m³×2=0.003m³を外します。
スラブは0.15×3.0×4.0=1.8m³。
開口600×600が1枚なら、0.6×0.6×0.15=0.054m³を外します。
階段は、斜板の平均厚で近似します。
蹴上と踏面から傾斜長Lを求め、L×幅×平均厚で出し、踊り場は別計上です。
近似が不安なら、踏段ごとに小分けして合算し、二通りで検算します。
注意点:季節・出来形・余裕率
暑中や寒中は、施工性のためにスランプ(軟らかさ)や配合が動きます。
数量拾い自体は変わりませんが、打設計画と型枠(コンクリートを形にする枠)の存置期間で手戻りが出ます。
打継ぎの見直しがあれば、拾いも即時更新します。
出来形の丸みや面取りも、仕上がりで差が出るので留意します。
余裕率は、型枠やポンプのロスを見て、1~3%を目安にします。
大スラブで打設距離が長い、複雑な梁成が多いなど、条件で上下させます。
根拠をメモに残せば、後日の説明が楽です。
最後に、現場変更は日々起きます。変更履歴を台帳化すると、拾いの信頼性が上がります。
まとめと次アクション
コンクリート数量拾いは、原因を知り、ルール化し、色分けと検算で固めれば安定します。
部位→階→通りの順で拾い、開口と打継ぎを先に外す。
二つの方法で検算し、±2%に収める。
この型をチームで共有し、次の案件にも使い回しましょう。
- 図面整合と単位統一は最初に決める
- 開口と打継ぎは先に外す
- 色分けで二重計上を防ぐ
- 検算は別ルートで±2%以内
- 根拠と版数を記録し再利用
次アクションとして、今日の物件で「部位別テンプレ」と「色分け凡例」を作り、小スパンの梁から試してみてください。検算手順もテンプレ化すると、さらにぶれません。
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