コンクリート打設 施工管理の基本と手順|不良を防ぐ現場ポイント

コンクリート打設 施工管理でつまずきがちな方へ。この記事は、不良を減らし品質と安全を両立するための要点を、現場目線でまとめました。今日の打設から使えるチェックの流れを示し、迷いを小さくします。

よくある原因と背景を知る

ブリーディングとレイタンス

ブリーディング(水が上がる現象)が強いと、表面にレイタンス(弱いモルタル層)が出やすくなります。仕上げ遅れや過度な加水でも増えます。上面の強度や付着が落ち、ひびや剥離の入口になります。

スランプ不適合と温度上昇

スランプ(やわらかさの指標)が設計と合わないと、充填不足や沈下ひびの誘因になります。夏季はコンクリート温度が上がり、凝結が早まります。搬入遅延や待機での経時変化も見落としがちです。

打ち継ぎ不良と締固め不足

打ち継ぎ(別ロットのつなぎ)に乳剤不足や清掃不足があると、コールドジョイント(不連続面)になります。バイブレーター(締固め機)不足や挿入間隔過大も空隙の原因です。端部や梁成の深い部位は特に要注意です。

具体策:計画と事前準備

打設計画と配車・圧送計画

  • 打込み順序と区画を図で明記。打設速度の目安も書きます。
  • 配車間隔は5~10分を基準に、打設量と到達距離で調整します。
  • 圧送(ポンプ)経路は最短・最少曲りに。ゲート前の待避も確保します。

受入検査(スランプ・空気量・温度)

  • スランプ・空気量・温度を全車で確認。記録は写真+数値で残します。
  • 不適合はその場で協議し、原則受入れません。加水での調整は不可です。
  • 供試体(テストピース)は打込み代表で採取。番号と打設位置を明記します。

気象対策(夏季・冬季・雨天)

  • 夏季:開始時間を前倒し。散水シートと日除けを準備。打込み直後の乾燥を防ぎます。
  • 冬季:基礎温度の事前確認。凍結の恐れがあれば保温材と養生時間延長を手配。
  • 雨天:レイタンス流出防止のため一時中断も検討。打設面はブルーシートで保護します。

手順:当日の進め方

  1. 朝礼・KY:役割と合図、緊急時の退避を共有します。重機と人の動線を分けます。
  2. 最終確認:型枠の締付け、セパのトルク、配筋のかぶり・スペーサーを見ます。通りとレベルも再確認。
  3. 受入検査:スランプ・空気量・温度を測り、合否を記録します。供試体を採取します。
  4. 打込み:柱→梁→スラブの順が基本。落下高さは1.5m以内に抑えます。打継ぎ面は乳剤(接着材)を均一に。
  5. 締固め:バイブレーターは30~40cmピッチで垂直挿入。1点5~15秒、前点に半分重ねます。型枠や主筋への接触は最小に。
  6. 仕上げ・養生:表面のレイタンス除去、金鏝は過度に遅らせません。直後から保水・保温養生を開始します。

この流れは必ず守ります。安全は止めて考える勇気が大事です。異常が出たら、一度止めて全員で確認します。

現場の具体例

夏日の午後でスランプが下がる

午後からの梁・スラブでスランプ低下。配車間隔が開き、到着時温度は31℃でした。対策は開始時刻の前倒し、日陰ヤードで待機、圧送経路の短縮です。打設速度を上げ、最終仕上げは散水養生で肌荒れを抑えました。

打ち継ぎ面の処理が甘い

前日の柱と当日の梁の打継ぎで、表面清掃が不十分でした。施工前にレイタンスをはつり、洗浄後に乳剤を規定量。初層は細骨材多めのリッチなモルタルを薄く流し、直後に本体を打込みました。引張試験の結果は良好でした。

見落としやすい注意点

  • 配管の初圧送りは砂セメントで行い、ダマを防ぐ。始めの1バケットは廃棄も検討。
  • スランプ調整の加水は禁止。必ずプラントと協議して配合で対処します。
  • 端部・スリーブまわりは棒で突き増しし、空隙を作らない。
  • 型枠の膨らみは中段で一時停止して外観確認。異音や漏れは即時是正。
  • 雨跡は早めにレイタンス除去。再仕上げはタイミングを見て薄塗りで。
  • 写真は「広角→中→寄り」の三段で記録。メジャーと黒板を入れておきます。
  • 養生は72時間を基本に。風が強い日は蒸発係数に注意し、保水材を追加します。

まとめと次アクション

不良の多くは、原因が読めていれば防げます。打設計画、受入検査、締固め、養生。この4点を手順で確実に回すことが大切です。まずは次回の打設に向けて、自分用のチェックリストを1枚作りましょう。配車間隔、検査項目、締固めピッチ、養生方法を、現場条件に合わせて書き込みます。小さな準備が、手戻りとクレームをぐっと減らします。

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