コンクリート打設 段取りで失敗しない基本と手順

コンクリート打設 段取りが整うと、品質と安全、そして工期が安定します。今日は失敗を避けるための基本と手順を、現場目線でまとめます。誰でもすぐ使えるチェックとコツを押さえましょう。

なぜ失敗する?原因を先に押さえる

原因は大きく、時間・人・品質の三つです。時間は搬入遅延や打設速度の読み違いで、コールドジョイント(打ち継ぎ不良)を招きます。人は役割不足でバイブレータ(締固め機)や打込みが滞ります。品質は受入検査の甘さで、スランプ(軟らかさ)や温度が合わず、ジャンカ(豆板:空隙欠陥)につながります。

もう一つは天候と周辺条件です。高温・低温・雨で硬化や仕上げが変わります。道路事情や近隣配慮も圧送(ポンプで送る)の停止要因になります。この二つは前日段取りでほぼ潰せます。

具体策:段取りの考え方

打設計画書と数量・時間の見積もり

打設計画書(現場の計画書)には、数量、配合、搬入台数、打設順、打設速度を必ず入れます。速度は一般に10〜20m³/hを目安にし、型枠・配筋状況で補正します。外気温と日射も見込み、スランプ18±2cmなど許容幅を書きます。搬入間隔は5〜10分を基準にし、最大でも15分を超えない設定にします。

配合報告書(生コンの配合情報)と試験計画も添付します。試験体(供試体:品質確認用の円柱)本数、採取タイミング、空気量や温度の記録様式を前日に準備します。遅延時の代替手段も書いておくと迷いません。

人員配置と役割分担

最低限の役割は、ポンプ口元、打込み先端、バイブレータ、ならし、仕上げ、受入検査、交通誘導の七つです。延床や複雑形状なら、先端と締固めを二重化します。指揮者は一人に絞り、ハンドサインと無線を併用します。新規メンバーには、打設順と危険点を図で説明しておきます。

受入検査と品質管理

受入検査(現場での受け取り確認)は、伝票、荷下ろし前のスランプ、空気量、コンクリート温度を順に確認します。外気温35℃超や5℃未満では、打込み温度の許容を事前に協議します。減水剤やAE剤(微細な空気で耐久性向上)は現場添加の可否を決めておきます。記録は写真と数値をセットで残します。

当日の手順(時系列で迷わない)

受入〜試験体採取

1. 到着時刻と車番を記録します。2. 伝票と配合、数量を照合します。3. スランプ・空気量・温度を測定し、合格なら荷下ろし開始です。4. 初台は試験体を採取し、標識を書きます。5. ポンプ圧送の吐出圧を確認し、速度を合わせます。

打込み〜締固め〜仕上げ

コールドジョイント回避のため、打設ブロックは連続性を優先します。層厚は30〜40cmを守り、バイブレータはピッチ30cmで垂直に挿入します。型枠や配筋に当てすぎないよう、2〜3秒/点を目安にします。打込み先端は足元の安定を確保し、合図で速度を微調整します。

ならしはトンボで均す前に、粗骨材が偏らないようスクリード(水平ならし用具)で一度通します。仕上げはブリーディング(水上がり)の収まりを見てからコテを入れます。急がず、遅らせすぎず、表面の“光り”を合図に動きます。

養生と初期不良のチェック

打設直後は散水やシートで養生(乾燥防止)します。高温時は直射を遮り、低温時は保温マットを用意します。ジャンカや豆巣が疑われる箇所は早期に叩き音や目視で確認し、写真と位置を残します。翌朝に再点検し、補修可否を判断します。

具体例:30m³スラブをポンプ圧送する場合

数量30m³、スランプ18cm、目標速度15m³/h、搬入台数5台(6m³/台)を想定します。搬入間隔は約12分で設定し、予備1台を待機にします。先端2名、締固め2名、ならし1名、受入1名、指揮1名、交通2名の計9名で組みます。所要時間は2時間強、仕上げ開始は打込み後60〜90分の見立てです。

当日は開始前に風と雲行きを確認します。にわか雨の予報なら養生シートをすぐ展開できる配置にします。道路の混雑時間を外し、1台目は15分前倒しで呼びます。これで連続性が保て、コールドジョイントのリスクを下げられます。

注意点・よくあるつまずき

  • ポンプ停止時の待ち時間が長いと打継ぎ面が乾きます。5分超なら表面処理と連絡を徹底します。
  • バイブレータの“掛けすぎ”は分離を招きます。秒数管理と交差確認を行います。
  • 雨天時は表面水を放置せず、スポンジやスクイージーで優しく除去します。
  • 冬期は試験体の保温忘れに注意します。保温箱と温度記録をセットで準備します。
  • 写真は全体→手元→計器の順で撮ります。後で探しやすくなります。

まとめ(チェックリスト)

  • 計画:数量・速度・搬入間隔・天候を一枚に集約する。
  • 人員:先端と締固めは二重化、指揮は一人にし合図を統一する。
  • 品質:受入検査は数値+写真、試験体は初台で確実に採取する。
  • 手順:層厚30〜40cm、バイブレータは30cmピッチで2〜3秒。
  • 養生:高温は遮熱、低温は保温。初期不良は当日と翌朝で二重確認。

次アクションとして、今日の現場に合わせた打設計画書と人員配置図を作り、朝礼で共有してみてください。迷いが減り、スムーズに回りやすくなります。

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