コンクリート打設 雨天対応の判断と手順|品質を守る現場ノウハウ

結論:コンクリート打設 雨天対応の考え方

雨でも「やれる条件」と「やめる条件」をはっきり決めれば、品質と安全は守れます。コンクリート打設 雨天対応は、降雨強度の目安と養生が鍵です。迷ったらやめる、やるなら守る手順を徹底します。この記事で、判断基準と具体の段取りが一通りわかります。

雨で不具合が起きる原因

雨は表面水でセメント量が薄まり、強度低下や色ムラを招きます。ブリーディング(水が浮く現象)が増えると、レイタンス(表面の薄皮)が厚くなります。さらに、打設中の雨は仕上げタイミングを狂わせ、表面だけ硬く中がやわらかい層を作ります。風も重なると、表面乾燥と冷却でひびのリスクが上がります。

具体策:計画・材料・養生で備える

事前計画と判断基準

気象アプリと現地観天で「開始〜終了+2時間」を見ます。目安は小雨なら0~1mm/h、弱雨1~3mm/h、3mm/h超で再検討です。風速7m/s超は仕上げに影響します。打設規模とポンプ配置、逃げ場(打ち継ぎ:途中で区切る施工)を必ず用意します。やる・やめるの基準を施工計画書に書き、全員に口頭で共有します。

材料・配合の調整

スランプ(やわらかさの指標)は平常時より1cm硬めを基本にします。不要な加水はしません。遅延剤(硬化を遅らせる添加剤)は気温と工程で最小限に。ワーカビリティ(施工のしやすさ)は骨材の粒度とAE剤で確保します。仕上げ用に気泡の出すぎは避け、現場での勝手な配合変更はしません。

現場の養生と段取り

ブルーシートと防炎シートで屋根を作ると安心です。側面は風下だけ囲い、換気と明かりを確保します。排水溝とポンプを早めに作り、雨水がたまらないようにします。材料の待機位置を上げ、泥はねを防ぎます。仕上げ道具は増員と予備電源を用意します。

当日の手順:チェックリスト

  1. 朝礼で「雨の基準」「中断合図」「打ち継ぎ位置」を再確認します。
  2. 開始前にシートの張りと排水経路を見直します。たわみは棒で持ち上げます。
  3. 先行部は梁・スラブの骨(端部)から。雨で弱りやすいエッジを先に固めます。
  4. 荷卸し時はスランプと温度を測ります。記録を残し、異常なら受入れ停止を言い切ります。
  5. 打込みは浅く均一に。バイブレータは時短し、過振動を避けます。
  6. 表面水が出たら待ち、ブリーディング水を押し込まず、スポンジやワイパーで除去します。
  7. 仕上げは雨脚を見て小面積ずつ。ホウキ目は水が切れてから軽く入れます。
  8. やむを得ず中断なら、打ち継ぎ面を粗し、止水材を準備します。再開時はレイタンスを除去します。
  9. 打設後はシートで屋根を維持し、風下を軽く開け、蒸れを防ぎます。
  10. 2~3時間は見回り。水たまりは穴を開けて逃がし、表面の傷は早めに補修します。

現場例:100㎡スラブでのにわか雨対応

昼前に1~2mm/hの雨予報。開始を30分早め、スパンごとに区切りました。スランプは12→11cmに設定。荷卸しごとに温度を確認しました。シート屋根は中央梁にロープで谷を作り、雨水を一か所に集めて排水しました。

打設中に一時3mm/hの雨脚。仕上げ班を増員し、区画を半分に縮小しました。表面水はスポンジでこまめに除去し、金鏝は遅らせました。終盤で雨が上がり、ホウキ目を軽く入れて排水性を確保。翌朝、角部のレイタンスを研磨し、プライマーで補強しました。

注意点・やってはいけないこと

  • 加水でスランプを上げない。強度と耐久が落ちます。
  • 表面水を押し込まない。レイタンス層が厚くなります。
  • 雨の中でむりに鏝圧をかけない。はく離の原因です。
  • 受入れ基準をあいまいにしない。合図は一人に集約します。
  • 記録を残さないのはNG。天気、測定値、写真は後日の品質証拠になります。

まとめと次アクション

雨は敵ではなく、準備不足のサインです。小雨なら、養生と段取りで十分に対応できます。判断基準を先に決め、材料と人員を合わせることが肝心です。今日のうちに自社の「雨対応チェックリスト」を作り、班長と共有しましょう。次の打設で、迷いが一つ減ります。

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