コンクリート打設 段取りが決まると、品質と安全、そして時間が安定します。
今日は「なぜ乱れるのか」を見直し、すぐ効く具体策と手順を整理します。
明日の打設で迷わないために、やわらかく要点だけを押さえていきますね。
打設が乱れる原因を見極める
原因を押さえると、段取りの優先順位がはっきりします。
多いのは、配車の遅れや台数不足、打設順の不整合、合図の不統一です。
品質面では、スランプ(柔らかさの指標)のばらつき、打継ぎ(コールドジョイント)の発生が目立ちます。
- 計画未共有:打設計画書が職種間で読まれていない
- 配車ミス:ミキサ車の台数と回転率の見込み違い
- 機械選定:ポンプ車(圧送機械)の能力と配置が不適合
- 型枠・鉄筋:締結やかぶり不足のチェック漏れ
- 気象読み違い:高温・低温・風・雨で打込み速度が崩れる
- 人員不足:ホースマンやバイブレータ(締固め機)が足りない
- 受入試験の停滞:スランプ試験に時間がかかり車が詰まる
具体策:打設計画書の作り方
打設計画書は、現場の共通言語です。
「数量・順路・速度・合図・退避」を要にして、1枚に見える形でまとめます。
数字と図をそろえ、誰が見ても動けるレベルにします。
- 数量と配合:m³、スランプ12±2.5cm、空気量4.5±1.5%
- 打設順路:型枠強度と水平移動距離を踏まえゾーニング
- 速度目安:10〜20m³/h/台(現場条件で調整)
- 合図体系:指揮合図員、笛・無線のルール統一
- 安全動線:退避場所、感電・挟まれ防止、立入禁止帯
- 品質管理:受入試験、温度、試験体本数、写真位置
- 緊急対応:ポンプ停止時の打継ぎ処理、雨天時の中止判断
生コン手配と配車の考え方
プラント選定は距離と交通を優先します。
配車は「必要量÷時間÷車1台容量×回転率」で計算します。
例)90m³を4時間、4m³車、回転率1.2なら、90÷4÷4×1.2≒6.8で7台体制を検討します。
荷下ろしの滞留を避けるため、受入試験の所要時間を1台あたり5〜7分で見込みます。
渋滞や踏切などのボトルネックは事前に現地確認し、無理な定時納入は組みません。
配合表と納入時刻表は、当日朝に全員へ再共有します。
人員配置と役割分担
人は余裕を一歩だけ多く見ておくと、事故と手戻りが減ります。
指揮合図、ホースマン、ならし、バイブレータ、仕上げ、端部の押さえ、写真・記録、安全監視を明確にします。
バイブレータは25〜50mm径を主体に、1点5〜15秒、ピッチ40cm程度を基準にします。
当日の手順:チェックリスト
- 朝礼・KY:危険予知と役割確認。合図と退避を統一します。
- 気象確認:気温・風・雨雲。打込み温度5〜35℃を外れたら調整します。
- 型枠・支保工:締結ボルト、根太・大引き、サポート負担の最終確認。
- 鉄筋・スリーブ:かぶり、スペーサ、配管固定、漏れ止めの点検。
- レベル・墨:基準レベル、打上り±5mm目標、余盛の考えを共有。
- 受入試験:スランプ・空気・温度・塩化物。試験体も採取します。
- 打設開始:周辺から中央へ、あるいは高い側から低い側へ。順路を守ります。
- 締固め:挿入は層ごとに。前層へ10cm食い込ませて一体化します。
- 打継ぎ処理:やむを得ず止まる場合は段差を設け、粗面化とレイタンス除去。
- 仕上げ・養生:表面の押さえ、散水や養生シート。乾燥風は早めに対策します。
- 清掃・記録:配管洗浄、周辺清掃、写真・出来形・温度の記録を残します。
具体例:200m³スラブの段取り
500m²、厚さ0.4mのスラブで約200m³を想定します。
ポンプ2台(各15〜20m³/h)、車は4m³×7〜8台回し、所要6〜7時間を狙います。
スランプは12cm、初回は試験に時間をかけ、品質安定後に速度を上げます。
配置は中央に1台、端部寄りに1台。
始点と終点を逆サイドで設定し、同時に追い込み、冷たい打継ぎを避けます。
仕上げ班は2時間遅れで立ち上げ、仕上げ遅延での踏み荒らしを防ぎます。
タイムライン例:
8:00 受入・試験、8:20 立上り開始、10:30 1/3完了、12:00 中間確認、14:00 仕上げ本格化、15:30 打設完了、16:30 養生点検。
要所で写真と温度を記録し、次回の改善に生かします。
季節と安全の注意点
夏は高温・乾燥で仕上げが早まります。
打込み温度が高ければ、配車の間隔を詰め、日陰養生や散水を増やします。
冬は低温で凝結が遅く、凍結の恐れがあります。保温養生と遅延剤の選択を検討します。
雨天は、開始前に排水経路と雨養生を決めます。
ゲリラ雨なら一時停止もためらわず、表面の再仕上げと打継ぎ処理を徹底します。
夜間は照度不足が事故の元です。照明配置と感電対策を強めます。
安全では、ホースの振れと挟まれ、ポンプ詰まり時の衝撃に注意します。
立入禁止帯を設け、足場板のたわみと手すりを確認します。
合図が乱れたら、いったん止めて立て直す。ここは言い切ってよい大事な原則です。
まとめ
段取りの肝は「数量・順路・速度・合図・退避」の5点でした。
数字で計画し、全員に共有し、当日はチェックリストで淡々と進めます。
記録を残し、次回へつなげると現場はぐっと楽になります。
- 配車は式で算定し、実走条件で補正する
- 受入試験は流れを止めず、品質は妥協しない
- バイブレータは1点5〜15秒、ピッチ40cmを目安に
- 季節対応と養生を先に決めておく
- 迷ったら止めて整える。安全は最優先
次のアクションとして、自社の打設計画書を1枚図で再設計し、朝礼で共有してみてください。
明日の現場で、きっと効果を実感できます。
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