コンクリート打設 注意点を押さえると、不良の再発がぐっと減ります。
段取りとチェックがそろえば、品質と安全は両立できます。
この記事では、原因から具体策、手順までをやさしく一気通貫で整理します。
よくある不良の原因を知る
不良の多くは、材料条件と施工条件のズレから生まれます。
たとえばブリーディング(水が上がる現象)やコールドジョイント(打継ぎ不良)は、速度差や待ち時間が原因になりやすいです。
締固め(バイブレータで空気を抜く作業)の不足や入れすぎも、豆板や分離を招きます。
気温と風の管理が足りないと、初期ひび割れや表面の泣きが起きます。
具体策:計画段階で決めておくこと
まず打設計画書は簡潔で構いません。工程、人数、ポンプ車の位置、打込み順序、打継ぎ位置を図で決めます。
配合とスランプ(やわらかさの目安)は構造と打込み条件に合わせます。過度な高スランプは分離のもとです。
生コン受入の流量は、フネ詰まりを起こさない1時間当たり量に。ポンプ圧送(機械で送る作業)の負荷を見て配車間隔を調整します。
気温対策は季節で分けます。夏は打込み時間を前倒し、日射対策と散水設備。冬は保温材と初期養生の時間を増やします。
手順:現場での進め方
打設前チェック
型枠・支保工・鉄筋の清掃と固定を確認します。
隙間の止水、型枠の剛性、配管まわりの干渉を見ます。
バイブレータ本数、予備電源、スコップ等の小物も先に配置します。安全通路と退避経路は必ず確保します。
受入検査
納入伝票、スランプ、空気量、温度を確認します。
基準外なら焦らず、即座に製造所へ連絡します。
待機車両が増えても、妥協はしません。品質基準は守りきります。
打込みと締固め
部材ごとの打込み高さは40〜50cm程度を目安に層で進めます。
バイブレータは垂直に挿し、前層へ10cmほど貫入しながら気泡を抜きます。
1点あたりの振動は5〜15秒。過振動は分離の原因です。
鉄筋密度が高い梁・柱は、口径の小さいバイブレータを併用します。
打継ぎと仕上げ
やむを得ない打継ぎは、位置を構造と施工性で事前決定します。
再開時はレイタンス(薄い脆弱層)を除去し、湿潤状態を整えます。
スラブはブリーディングの収まりを待って、タイミング良く金鏝仕上げに入ります。
養生(硬化を守る作業)
打込み直後から表面の乾燥を防ぎます。
散水、シート、保温材を組み合わせ、早期乾燥と凍害を避けます。
初期24時間は特に注意します。人の立入りと荷重を制限します。
具体例:季節・部位ごとのコツ
夏季は風と直射で水分が飛びやすいです。
散水設備を事前に用意し、休憩も交代制で短く刻みます。
スランプは必要最小限にし、遅延剤(硬化を遅らせる添加剤)の活用も検討します。
冬季はコンクリート温度が下がります。
打込み温度の確認と、保温材・早強型の選択を考えます。
凍結の恐れがある場合は、夜間の保温を強化します。
狭あい部(配筋が密な場所)は、先行して通り道を作ります。
シュートやホースの取り回しを図示し、口径や先棒を使い分けます。
バイブレータの届きと退避位置を事前に確認します。
注意点・チェックリスト
- 配車間隔と人数は、打込み速度に合わせて事前に固定する
- スランプ・空気量・温度の外れは受け取らない
- 層打ち高さを守り、過振動と不足振動を避ける
- やむを得ない打継ぎは位置と再開手順を明記する
- 養生は直後から開始し、24時間は重点管理する
- 安全帯・ヘルメット・退避動線の確認を毎セットで行う
まとめと次アクション
コンクリート打設は、計画・受入・打込み・養生の小さな積み重ねで決まります。
原因を知り、具体策を段取りに落とせば、不良は大きく減らせます。
次の打設に向けて、今日の現場に合わせたチェックシートを作り、朝礼で共有しましょう。

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