コンクリート打設 段取りで迷うなら、先に押さえるのは三つだけ。人と物と情報の同時到着です。ここを外さなければ、品質も時間もぶれにくくなります。この記事は、原因から具体策、手順、例、注意点まで一気にたどれる内容にしました。
なぜ段取りが崩れるのか(原因)
よくあるのは、数量と打設量の不一致です。型枠(コンクリートの型)変更や梁成の微修正が、計算に反映されていないことが多いです。次に、ポンプ車と人員のタイミングずれ。配車と休憩、昼の気温を読む力が弱いと、品質と安全の両方が不安定になります。最後は情報共有不足。打設順序や合図者を決めずに始めると、指示が遅れ、コールドジョイント(打継ぎ不良)を招きます。
改善の具体策(計画レベル)
前日までに、四つを必ず整えます。数量の再確認、施工体制表、受入検査の基準、そして天候対策です。数量は立上りとスラブで分け、打込み速度の想定も書きます。体制表は職種と人員、休憩、合図者、責任者を明記します。受入はスランプ(軟らかさ)、空気量、温度の基準を共有し、合わない時は即停止と決めます。天候は気温、風、降雨を分けて準備し、遮光シートや保温材を用意します。
当日の手順(チェックリスト)
- 朝礼で施工計画書の要点を読み合わせ。指差し呼称で合図経路と退避場所を確認します。
- 型枠、支保工、足場の最終点検。アンカーボルトの固定、墨出し(位置標記)の再確認をします。
- 初荷の受入検査。スランプ、空気量、温度を測定し、適合しなければ受けません。
- ポンプ車のブーム経路と電線、風向を確認。玉掛けや圧送は合図者を必ず置きます。
- 打設順序どおりに開始。隅や梁底など充填しにくい箇所から先に入れます。
- バイブレータ(締固め機)は重ね打ち。1点3〜5秒、10〜15cm重ねて抜き、型枠を叩いて気泡を上げます。
- 打継ぎ(計画継ぎ目)は時間と位置を厳守。レイタンス(薄膜)は後で確実に除去します。
- 天端の均しと仕上げはタイミングが命。浮水を待ち、鏝圧は過度にかけません。
- 養生は直ちに開始。散水、シート、保温などで温度と乾燥を管理します。
- 記録を残します。試験値、打込み量、開始終了時刻、気象、写真をセットで保存します。
ポンプ車と人員配置のコツ
合図者をポンプ車と打込み先に1人ずつ置きます。視認できない区間は無線を使います。ホース先端は2人で保持し、足元は滑り止めを敷きます。ブームの旋回範囲には入らないと徹底します。万一の詰まり用に、清掃水と工具を近くに置きます。
打込み速度と品質のバランス
一般的な目安は、10〜20m³/hです。梁や柱が多い場合は下限、広いスラブは上限に寄せます。速度が速すぎると締固めが追いつかず、遅すぎると打継ぎのリスクが上がります。配合やスランプ12±2cmのような設定と、現場の体制を合わせて調整します。難所は人を増やすのが先で、材料の軟らかさに頼らないことが大切です。
小さな事例(良い例/悪い例)
良い例。立上りとスラブで打設班を分け、バイブレータの担当と目視確認の担当を固定。速度は15m³/hを上限に、隅部を先行。昼の高温帯は休憩をずらし、散水養生を前倒し。結果、仕上げ遅延なしで表面も良好でした。
悪い例。初荷のスランプが基準外でしたが、そのまま受入。バイブレータの本数も不足し、梁成の端部に空隙が発生。午後の雷雨で表面が荒れ、やり直しと補修で半日ロス。受入で止めていれば、全体の遅れは出なかった案件です。
注意点とリスク管理
- コールドジョイント防止:打継ぎ位置と可使時間を見える化。タイマーを置きます。
- 高温対策:遮光、散水、遅延剤の採用を事前承認。仕上げは冷却後に入ります。
- 低温対策:配合温度の確認、保温材で養生。凍害の恐れがある日は中止します。
- 雨天:ブルーシートで覆い、水が溜まる前に排水。降雨予測で開始時刻をずらします。
- 型枠・支保工:許容荷重を再確認。早期脱型はしません。
- 近隣配慮:ポンプ車の待機位置と誘導員を配置。洗い水は養生トレイで回収します。
- 安全装備:ヘルメット、手袋、防水靴、保護眼鏡。ホース先端には決して顔を近づけません。
まとめ(今日の持ち帰り)
- 数量・体制・受入基準・天候、この4点を前日に確定します。
- 当日は受入で妥協しない。合図者を置き、速度は人に合わせます。
- 難所から先に入れ、重ね打ちで確実に締固めます。
- 仕上げと養生はタイミングが命。記録を残して次へつなげます。
次の一歩として、現場用の「打設チェックシート」を自作しましょう。今日書いた10項目をA4一枚に落とし込み、朝礼で読み合わせるだけでも、品質と時間は安定します。自分の現場仕様に更新し続けるのが、いちばん効きます。

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