コンクリート打設 注意点と手順|失敗防止チェック

コンクリート打設 注意点を先に押さえると、ひび割れやジャンカをぐっと減らせます。今日の現場で使える手順とコツをまとめたので、迷った時の拠り所にしてください。段取りと安全のポイントは、はっきり言い切ります。

なぜミスが起きるか(原因)

打設は人と時間と天気に左右されます。段取りの不足、配合と現場の条件ズレ、締固め(バイブレータで空気を抜く作業)のムラが重なると、欠陥が出やすいです。

打ち重ね時間の遅れや、配管の詰まりで打設速度が落ちることも原因です。暑さ寒さによる凝結(固まり始め)タイミングの変動も見逃せません。

つまり、原因は「予定と実際の差」が積み上がること。差を小さくする具体策を用意しましょう。

具体策(事前準備と現場運用)

打設計画を一枚に集約

打設順、人数配置、ポンプ経路、休憩と車両サイクルを一枚の図にします。型枠や配筋の弱点も書き添えます。迷いを減らすのが目的です。

  • ポンプ圧送距離と高さを確認(圧送能力と配合の整合)
  • 打設速度の目安を共有(1〜2階スラブで10〜20m³/時など、現場条件で調整)
  • 打ち重ね許容時間の目安を設定(配合計画書に従う。一般的には層打ち間隔を短く)

受入検査をルール化

スランプ(柔らかさの指標)と空気量、温度を必ず測ります。配合計画の許容差内かをその場で判断します。

  • スランプの変動は原因メモを残す(天気、待機時間、運搬距離)
  • 温度が高い日は遅延剤の有無を確認(メーカー指示に従う)
  • 試験体は打込み位置ごとに採取(品質のトレース用)

締固めと打ち重ねの徹底

バイブレータ(締固め機械)は、垂直に差し入れ、重ねながら抜きます。1か所の振動時間は短く、入れすぎて材料分離を起こさないようにします。

  • 層厚は40〜50cm目安、下層に5〜10cm食い込ませて打ち重ね
  • 壁や柱は四隅と鉄筋周りを先に丁寧に
  • バイブレータ先端の間隔は半径の1.5倍以内を目安に

仕上げと養生の考え方

レイタンス(表面の弱い層)を早い段階で押さえ込みます。仕上げ後は早期乾燥を避け、散水やシートで保湿します。

  • 風速と日射の強い日は打設時間を前倒し、保水養生を厚めに
  • 低温時は保温材を準備、脱型時期は無理をしない
  • 打継ぎは清掃と目荒らしを確実に、レイタンスを除去

手順(当日の流れ)

  1. 朝礼とKY(危険予知)で役割と合図を確認。避難経路と足場の点検もセットです。
  2. 受入検査。スランプ、空気量、温度、外観を記録。合わなければ無理に使いません。
  3. 型枠と配筋の最終チェック。かぶり、スペーサー、開口周り、止水部を重点確認。
  4. 先行部から計画順に打込み。打設ヘッドはできるだけ低く、落下での分離を避けます。
  5. バイブレータで締固め。入れすぎ注意、入れ忘れゼロの声掛けを続けます。
  6. 天端レベルを管理。レベラーや定規でこまめに平滑を確認。
  7. 仕上げ・養生。暑い日は速やかに保湿、寒い日は保温。写真と記録でトレース化。

具体例(ケーススタディ)

夏日・スラブ200m²の例

気温32℃、風あり。受入時温度は29℃、スランプは設計18cmに対し19cm。許容内として受入。サイクルは車両3台で回し、打設速度は約15m³/時を維持しました。

打ち重ねは7〜10分以内で回し、バイブレータは2台体制。仕上げは打込み後30分で天端押さえ、散水とシートで保湿。翌朝のひび割れはゼロでした。

冬期・立ち上がり壁の例

気温5℃、日陰。遅延剤なし。受入温度は13℃。打設は小断面で、層厚を40cmに保ち、四隅を先行して密実化。保温シートで覆い、脱型は2日後に判断しました。

寒さで仕上げ遅延が出ましたが、急がず保温を優先。表面の白華はなく、打継ぎ面の付着も良好でした。

注意点・安全(やってはいけないこと)

  • 受入検査を省略しない。数値が違う時は「なぜ」を現場で解きます。
  • バイブレータの横引きはしない。分離と鉄筋接触のリスクが上がります。
  • 長時間の打ち重ね放置は避ける。コールドジョイント(弱い継ぎ目)になります。
  • 高所でのホース単独作業はしない。合図役と足場確認をセットにします。
  • 仕上げを急いで散水を忘れない。初期乾燥は温度ひび割れの引き金です。

まとめ(チェックと次アクション)

  • 原因は「予定と実際の差」。計画一枚化と受入検査で差を小さく。
  • 締固めは重ねと時間を意識。入れすぎ・入れ忘れを防ぐ声掛けを。
  • 仕上げ後すぐ養生。暑さ寒さ対策は前日に決めておく。
  • 記録を残し、次回の配車と人員に反映する。

まずは自分の現場用に「受入→締固め→養生」の三段チェック表を作りましょう。次の打設から、迷いが減って動きがそろいます。

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