コンクリート打設 段取りを整えると、遅れとムダが減り、品質と安全がぐっと安定します。今日の現場でそのまま使える形で、原因と具体策、手順までを一気に整理します。要点を押さえれば、当日の判断も落ち着いていけます。
段取り不足で起きること(原因)
段取りが曖昧だと、車両待ちや人待ちが増え、ポンプの停止が出やすくなります。停止が増えると打重ね時間(打込み間隔の限界)が伸び、目違いやコールドジョイント(打継ぎ不良)が出やすいです。さらに導線が交差すると接触や転倒のリスクも上がります。
品質面では、スランプ(柔らかさの指標)や空気量のズレを見落としやすく、仕上がりムラや強度低下につながります。天候に合わない配合や養生不足も、早期ひび割れの主因になります。
具体策:計画の柱を決める
まず施工計画の骨子をシンプルに決めます。打込み順序、区画割、ポンプ配置、搬入頻度、人員の役割分担を一対一にします。複線化よりも、詰まる所(ボトルネック)を一つずつ解消する考えが効きます。
配合・受入検査の前提合わせ
- 配合と呼び強度(設計強度の呼称)を再確認
- スランプ目標と許容差、暑中・寒中の外加剤(凝結調整剤など)運用
- 受入検査の測定点と記録様式を当日メンバーで共有
打込み順序と区画割
- 基本は遠い側から近い側へ、下流から上流へ
- 梁・スラブは梁先行か同時進行かを事前合意
- 打重ね限界(目安45分)を越えない区画サイズに分割
手順:前日から当日、打設後まで
- 前日準備
型枠・支保工の最終点検、アンカー位置、止水部や開口の再確認をします。ポンプの設置位置とブーム到達範囲、配管固定、退避場所も現地マーキングします。 - 当日朝の工具・資材確認
バイブレーター(内部振動機)台数と延長コード、替えホース、予備の棒径を準備します。散水用ホース、ブルーシート、養生シートも手元に置きます。 - KYと役割分担
危険予知(KY)で導線、重機旋回、手元合図の声出しをそろえます。指差し呼称は現場で必ず行います。 - 受入検査
スランプ、空気量、温度、塩化物を測り、記録します。ずれた場合は無理に使わず、工場と即時相談します。 - 打込み開始
遠点から順に、層厚は30〜50cmで均一にします。バイブレーターはピッチ25〜40cm、挿入時間は1点5〜15秒を守ります。型枠を叩く過振動は避けます。 - 打重ね管理
各区画の開始と終了時刻を板に書き出し、45分を目安に次層へ。遅れそうなら作業員を増員し、通路を広げて追いつきます。 - 仕上げ・天端整正
梁天端はレベラーやスクリー ドを用い、スラブはトンボと金鏝で二回仕上げ。気温30℃超は早期乾燥に注意します。 - 養生
散水やシートで湿潤養生(乾燥を防ぐ処置)を開始。暑中は打込み直後から、寒中は保温と防凍を優先します。交通荷重は所長確認まで入れません。 - 撤収・清掃
残コン処理は指定場所で行い、洗い水の流出を止めます。翌日のエフロ対策として水溜まりを残さないようにします。
数量と時間の簡易計算例
例:スラブ200m²、厚さ150mm。必要量は200×0.15=30m³です。ポンプ能力25m³/h、実効7割と仮定すると17.5m³/h。打込み所要は約1.7時間、段取り含めて2.5時間が目安です。
ミキサ車4m³積みの場合、必要台数は8台。現着間隔は10〜12分程度に設定します。搬入路が細いなら2隊列は避け、待機場所を一時拡張する方が安全です。
注意点:品質と安全で外さないコツ
- 落下高さは1.5m以内。高所はホースを下ろして層状に。
- バイブレーターは前層へ5〜10cm貫入。ジャンカ(豆板)を防ぎます。
- 打重ね時間は気温で短縮。30℃超は30分を目安に詰めます。
- 暑中は早期散水と日射遮蔽、寒中は温度計でコンクリート温度を監視。
- 導線の交差は作らない。資材置き場は片側に寄せ、退避帯を確保します。
- 残コン・洗い水は所定の環境手順に従い処理します。
まとめ
- 段取りの肝は「順序・頻度・人員」を一対一で固定すること。
- 受入検査と打重ね管理を数値で運用し、記録を残す。
- 天候に応じた配合・養生の切り替えを早めに決める。
- 導線と待機場所は図示し、現地マーキングで迷いを消す。
次アクションとして、次回打設のチェックリストを現場用に1枚で作り、朝礼で確認する流れをチームで決めましょう。写真テンプレと記録様式も同時に更新しておくと、品質と証跡が安定します。
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