コンクリート打設 気を付けるポイント|打重ね時間と段取りで品質を守る

結論とベネフィット:まず守るべき一点

コンクリート打設 気を付けるポイントは、打重ね時間の死守と段取りの見える化です。ここを外さなければ、コールドジョイント(打継ぎ不良のすき間)を避けやすいです。配車と人員を先に固め、当日の記録と合図を一本化します。結果として、やり直しが減り、品質と工期が安定します。

原因:なぜ打重ね時間で品質が揺れるのか

コールドジョイントの仕組み

先に入れたコンクリートの表面は、時間でレイタンス(うわ水と微粉の膜)が出ます。この膜が固まりはじめると、新しいコンクリートと一体化しにくいです。だからこそ、層が生きているうちに次の層へつなぐ必要があります。振動締固め(バイブレータ:棒状の締固め機)も、膜を破って混ざるように入れます。

温度と品質の関係

外気温が高いと水和反応(固まる反応)が速く進みます。夏は打重ねの許容時間が短くなり、冬は長くなります。ただし、遅延剤(凝結を遅らせる混和剤)を使うと条件が変わります。試験成績書と配合票を事前確認し、目安時間を全員で共有します。

具体策:段取りと人員の組み方

配車計画と圧送のリズム

ポンプ圧送(コンクリートを送る作業)は、車到着の間隔でリズムが決まります。先行で1台、以降は10〜15分間隔を基本に、スパンと数量で微調整します。渋滞や積込の遅れも見込み、予備1台を手配しておくと安心です。台数表は打設班と鉄筋・型枠班にも配り、全員で時計を合わせます。

スランプと空気量の管理

スランプ(柔らかさの指標)と空気量は、打込みやすさと耐久性に直結します。受入試験で外れると、締固め時間が延び、打重ねが遅れます。試験担当とポンプマンの距離を近くし、判定が出たら即共有します。合図は手旗か無線で統一し、曖昧な指示は避けます。

手順:当日の運用フロー

開始前のすり合わせ

朝礼で「層厚」「打重ね時間」「合図」を一枚のチェック表にします。危険予知(KYT:危険の想定と対策)も、はさまれと転落を最優先で確認します。足場板、開口ふさぎ、立入区分は開始前に完了させます。安全だけは妥協せず、止める権限を全員に与えます。

受入試験と記録

受入では、スランプ、空気量、温度、塩化物を測ります。結果は即時に打設責任者が確認し、打重ねのリミット時刻もホワイトボードへ書きます。出荷時間と到着時間も並記し、遅れを早めに察知します。写真は近接と全景の2枚を基本にし、記録を日報へ流します。

締固めと見える化

バイブレータは、挿入間隔30〜40cm、重ね挿し5〜10cmを守ります。型枠からのにげ水や気泡の止まりは、面付け係が声をかけます。層の進み具合をチョークで柱や梁側面に書き、時刻も残します。見える化で、次の層のタイミングが合わせやすくなります。

例:柱・梁・スラブの段取り

柱から梁へのつなぎ

柱は2〜3層に分け、最上層を梁下端より少し上で止めます。梁型枠の内部は先に清掃し、レイタンスを出さないようにします。梁へ移る直前に、柱最上部へ再振動を短く入れ、接面の膜を壊します。次いで梁の腹、底、上端の順に一定速度で進めます。

スラブの配分と見張り

スラブはポンプ口元に2名、先行ならし2名、締固め2名を基本とします。配筋の密な周辺は、細径のバイブレータを予備で用意します。水勾配(排水の傾き)は通り芯で糸を張り、ならし係の足元を安定させます。押さえは遅らせすぎず、表面水が引くタイミングを合図で合わせます。

季節ごとの時間目安

暑中(気温30℃目安)は、打重ねの許容を30〜45分と短めに見ます。平常(20℃前後)は45〜60分、寒中(5℃以下)は60〜90分が目安です。これは一般的な感覚値で、配合や遅延剤で変わります。必ず事前の試し練りや受入結果で補正してください。

注意点・トラブル対応

遅延時の意思決定

車列が途切れたら、まず残り量と経過時間を確認します。許容を超えそうなら、投入位置の変更や層厚の調整で時間を稼ぎます。超過が明確な場合は、無理をせず打継ぎに切替えます。打継ぎ面は目荒し(表面を粗くする)と清掃、レイタンス除去を確実に行います。

再振動と材料の追加

再振動は、初期凝結前の短時間なら有効ですが、遅すぎると逆効果です。加水は原則禁止です。スランプ調整はプラントで行い、現場での水足しは避けます。表面の白華や粉吹きが出たら、養生(湿りを保つ)を早めて乾燥を防ぎます。

安全のポイント

  • 配管のはじき出しに注意。吐出前は周囲退避、合図で開始。
  • 高所は親綱とフックを徹底。足場の縁は立入制限。
  • 開口部は先行ふさぎ。資材は通路に置かない。
  • 夜間や雨天は滑り止めと照度を確保。無理せず一時中止も判断。

まとめと次アクション

打重ね時間を守るには、原因を知り、段取りを前日に固め、当日は記録と合図で合わせることです。季節で目安を変え、迷ったら無理をせず打継ぎに切替えます。安全は最優先で、止める勇気を全員で共有します。次は自現場の配車表とチェックリストを作り、朝礼で時刻の共有から始めましょう。

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