コンクリート打設の気を付けるポイント 夜間・高温低温で失敗しない段取り

コンクリート打設の気を付けるポイントを押さえるだけで、手戻りが減り、品質と安全が安定します。夜間や猛暑・厳寒でも同じ型で段取れるコツを、現場の先輩目線でやさしくまとめます。明日すぐ使えるチェックと手順に落とし込みます。

なぜミスが起きるのか(原因の整理)

打設は人と時間と材料が同時に動く仕事です。遅延や情報ズレがあると、一気に品質と安全に響きます。夜間は照度不足や合図の聞き取りづらさ、高温・低温は硬化(固まる過程)の速さが変わるのが原因です。

また、スランプ(柔らかさの指標)の不一致、配車の間延び、合図者不在、導線の交錯も定番のつまずきです。型枠や支保工(支え)に余裕がないと、安全側に逃げづらくなります。小さな要因が重なる前に、計画で先回りします。

具体策(計画編:品質と安全の土台)

配合・スランプ・打設順序を合意

  • 設計と生コン工場で配合とスランプを事前合意。現場での加水は避けます。
  • 部位ごとに打設順序と打込み高さを図で共有。合図者と避難導線も記入します。
  • 打継ぎ(作業の切れ目)の位置と処理方法を先に決めます。

受入検査と試験体の段取り

  • 受入検査は温度、スランプ、空気量を標準器で確認。結果は記録簿へ。
  • 試験体(強度確認用の供試体)は必要本数+予備を確保し、保管場所と養生を確定。

夜間・高温低温の温度管理

  • 高温時は配車を短く、開始を早朝へ。日陰養生と散水計画を入れます。
  • 低温時は打込み温度の確認と毛布養生。凍結リスクは予備ヒーターで回避。
  • 照明は陰影が出ない配置に。手元と足元を分け、合図位置を明るくします。

当日の手順(運用編:迷わない流れ)

  1. 朝礼・KY:危険予知を短く具体に。合図者、退避場所、連絡経路を確定。
  2. 受入検査:スランプ・温度・空気量を測定。差が大きければ工場に即連絡。
  3. 圧送の準備:配管の固定を再点検。折れ・漏れがないか全員で目視。
  4. 打込み開始:周辺の人止めを徹底。高さは落下1.5m以内を目安にコントロール。
  5. バイブレーター(締固め機械):深さは層をまたぐように挿入。打ち過ぎ・当て過ぎを避けます。
  6. 打継ぎ部:レイタンス(白い薄膜)を除去し、再乳化を防いでから再開。
  7. 仕上げ:トンボ(ならし道具)で平し、ブリーディング(水浮き)収まりを待って押さえ。
  8. 養生:風除け・散水・保温を選択。踏み込み時期は無理せず、記録を残します。
  9. 片付け:洗い水の処理場所を守る。配管・型枠の緩みと漏れ跡を最終確認。

実例で学ぶ(季節・時間帯ごとの工夫)

猛暑日のスラブ打設

開始を6時台に前倒しし、配車間隔を短縮しました。スランプは18±2cmを目安に設定し、日陰の待機場を確保。表面の乾きが早いので、霧吹きの散水とシート養生を重ねて温度差を抑えます。

休憩を小刻みに入れ、合図者を2名で交代。仕上げはブリーディングの収まりを見極め、早押さえによるピンホールを防止します。記録は温度と開始・終了時刻をセットで残します。

冬の夜間での梁・柱

打込み温度を受入で確認し、仮囲い内に温風機を準備。柱から梁の順に進め、打継ぎ時間の間延びを合図者が調整します。型枠とのすき間風を塞ぎ、直風が当たらないようにします。

バイブレーターは短く確実に。気泡の上がりを目で追い、過振動による分離を防ぎます。仕上げ後は保温マットを密着させ、角部の冷えに注意します。

よくある落とし穴と回避策(注意点)

  • 現場での加水:強度低下の原因。工場と協議し、配合で解決します。
  • コールドジョイント(継ぎ目の不良):配車遅延を想定し、予備車と人員を手配。
  • レイタンス放置:打継ぎ前に研磨や洗浄で確実に除去します。
  • 配筋かぶり不足(鉄筋表面の被り):スペーサーの数量と配置を事前にチェック。
  • 照度不足:手元・足元・合図位置を個別に照らす。発電機の燃料も余裕を。
  • 型枠の早期解体:設計や社内基準の養生日数を守り、記録で裏づけします。

まとめ(明日からの動き方)

打設は段取りの勝負です。配合・順序・合図の三点を固め、温度と照明で守りを固めます。迷ったら記録に立ち返り、再現できる形に整えます。

  • 事前合意:配合・スランプ・打継ぎ処理
  • 当日運用:受入検査→打込み→締固め→仕上げ→養生
  • 季節対策:高温は早出と散水、低温は保温と風対策

次アクションとして、あなたの現場に合わせた「打設チェックリスト」と「合図者配置図」を1枚にまとめてみましょう。朝礼で配るだけで、全員の目線がそろいます。

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