コンクリート打設 事前準備の完全チェックと当日運用

結論から言うと、コンクリート打設 事前準備をきちんとやると、当日の待ちやムリが減り、品質と安全が安定します。段取りの見える化で、班長も協力業者も迷いません。この記事は、原因から対策、手順までを一気に通しで学べる内容です。

よくある不具合の原因を先に押さえる

不具合はたいてい、情報のズレと環境条件の見落としから起きます。コールドジョイント(打継ぎ不良)やブリーディング(水浮き)は、配車の間延びや振動不足が引き金です。スランプ(柔らかさ)のバラつきは、待機時間や気温で変わりやすいです。型枠(かたわく・形を作る枠)や支保工(しほこう・支えの骨組み)のたわみも、荷重計算と点検不足が原因になりがちです。

事前準備の具体策(チェックリスト)

  • 打設計画書(段取り図と手順書)を1枚要約で共有。範囲・打込み方向・層厚・バイブレーター(振動機)配置を明記。
  • 配車計画は5〜7分ピッチを基本に、打込み能力(m3/h)とポンプ能力で逆算。渋滞と距離は余裕を見ます。
  • 品質条件を数値で確定。配合、スランプ、空気量、温度の許容幅と試験頻度を整備。
  • 気象リスク対策。夏は打込み温度、散水、養生(ようじょう・保護)材。冬は保温と初期凍害対策。
  • 型枠・支保工の再点検。支持脚間隔、火打ち、緊結部の増し締め、たわみ計算の再確認。
  • 逃げ道と通路の確保。ポンプ車の旋回・退避、バケット動線、誘導員の配置。
  • 人員の役割表。ポンプ口元、配管、打込み、締固め、均し、試験、連絡の担当を固定。
  • 連絡系統。無線チャンネル、合図(手信号)の統一、緊急停止の合言葉を決める。
  • 試験体採取と記録の用具セット。温度計、スランプコーン、エアメーター、タグと記録紙。
  • 清掃・洗い水の受け。スラッジ(泥水)受け槽、シート、防汚の養生で後始末を短縮。

当日の手順を時系列で運用する

前日までにやること

  • 関係者で10分ミーティング。危険予知(KY)と役割、合図、最悪ケースの対応を合わせます。
  • 計量チェック。バイブレーターの本数と予備、延長ケーブル、発電機の燃料を確認。
  • 見える化。範囲にチョークで層厚と打込み順を書き込み、写真も全員で共有します。

当日朝の立上げ

  • 気温・風・湿度を確認し、許容値から外れそうなら即リスケ判断。無理はしません。
  • 最初の1車は確認便。スランプと温度で当日の傾向をつかみ、以降の配合微調整を指示。
  • ポンプ圧送の立ち上げ時は、圧力計と漏れをダブルチェック。配管支持ももう一度見ます。

打設中のポイント

  • 層厚は30〜40cmを目安に一定。重ね振動で層間をなじませ、ダマを作りません。
  • バイブレーターは引き上げ速度をゆっくり(約1〜2cm/秒)。打撃はしません。
  • 口元のペースメーカーを1人に固定。配車との連絡を集約し、間延びを防ぎます。
  • 監督は端部・柱際・開口部を重点巡回。ジャンカ(豆板)や漏れは即止めて手直し。

打設直後〜4時間

  • 初期仕上げは表面水の引きを見てから。早すぎるこて押さえはレイタンス(弱層)原因です。
  • 暑熱時は散水ミストと風避けで乾き過ぎを防止。寒冷時はシートと保温材で温度を守ります。
  • 打込み温度と気象の記録、試験体のタグ管理をその場で完了。あと回しにしません。

実例でイメージする(夏・床スラブ200m3)

現場は3階床スラブ、面積1,400m2、厚さ15cm、夏日で外気32℃。ポンプ2台、バイブレーター4本+予備2本です。1台あたりの実打込みは35m3/h、合計70m3/hで計画し、配車は6分ピッチに設定。先行して日陰側から始め、最も乾きやすい南面は後半に回しました。

最初の1車でスランプ18cm、温度31℃。以降は練り混ぜ水を微調整し、温度は現場散水と遮熱で29℃に下げました。層厚35cmで3層に分け、口元1名が全体のテンポをコントロール。結果、実打設時間は約3時間10分、コールドジョイントなし、表面の色むらも軽微で収まりました。

見落としやすい注意点と安全

  • 配管のカップリングは必ず相互確認。抜け・はぜは重大災害に直結します。
  • 電源コードの被覆破れは当日朝でも交換。感電や漏電の芽はつぶします。
  • 型枠のビス抜け・緊結不足は荷重がかかった途端に出ます。打込み前に端部だけでも再増し締め。
  • 疲労対策。真夏は45分作業・15分休憩のローテ。冷感タオルと塩分水は班ごとに常備。
  • 通路のすべり止めと段差解消。こぼれたモルタルはすぐ回収し、足場板は乾いたものに交換。

まとめと次の一手

打設の良し悪しは、配車と人の動き、そして気象対応で決まります。数値で合わせ、役割を固定し、連絡を一本化する。これだけで、当日の迷いがぐっと減ります。今日の現場では、上のチェックリストをそのまま朝礼で読み合わせるところから始めてみましょう。

次の一手として、現場用の「1枚打設カード」を作ると便利です。範囲図、層厚、配車、連絡先、緊急停止の合言葉を載せ、写真と一緒に保管。次回からの立ち上がりが早くなります。

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