コンクリート打設 施工手順を整えると、品質ばらつきや手直しがぐっと減ります。今日の記事は、原因から具体策、当日の動きまでを一つの流れでまとめます。若手の方でも、明日の段取りにすぐ使える形にしました。
なぜ失敗が起きるのか(原因)
打設の不具合は、計画の曖昧さと当日の情報不足から生まれやすいです。たとえば、打設順序や人員配置が曖昧だと、コールドジョイント(打継ぎ不良)が出やすくなります。気温や風の影響を軽視すると、ブリーディング(水分上がり)や早い乾きで仕上がりが荒れます。
受入検査が形だけだと、スランプ(軟らかさ)や空気量の外れに気づきにくいです。バイブレーター(締固め機)も、入れ過ぎや不足で空隙や分離を招きます。小さなズレが重なり、仕上げや養生で無理が出るのです。
失敗を減らす具体策(計画と体制)
打設計画の要点
- 区画と順序を図示し、打設速度の目安を共有(1〜2m/時が目安。スラブは帯状に)。
- ポンプ車の配置と配管ルートを明記。折れや詰まりのリスクを事前に潰します。
- 人員表を作成。先行・締固め・均し・仕上げ・清掃の担当を固定します。
- 連絡体制を一本化。無線チャンネルと合図を合わせ、逆流や事故を防ぎます。
- 打継ぎ位置を指定。段差とレイタンス(表面の弱層)処理を手順書に記載します。
品質管理の型
- 受入検査:スランプ12±2.5cm、空気量4.5±1.5%、温度5〜30℃を目安に記録。
- 試験体:1ロットごとに確保。養生と強度確認の責任者を明確に。
- 環境対策:高温時は散水・遮熱、低温時は保温材を準備。風速と直射日光も確認。
- 清掃計画:打設後すぐに配管洗浄、型枠(かたわく)周りのモルタル除去を徹底。
当日の施工手順(フロー)
- 朝礼・KY:危険源と合図を全員で共有。墜落・はさまれ・跳ね返りに注意します。
- 受入検査:スランプ・空気量・温度を測定し、結果を掲示。外れは即座に相談。
- プレパクト:型枠・支保工の増し締め、型枠内のごみ除去、散水で吸水を抑えます。
- 打込み:層厚30〜50mmで均一に。ポンプ筒先は常にコンクリート内を維持。
- 締固め:バイブレーターは30〜40cm間隔、5〜15秒/点。既往層へ10cm差し込み。
- 均し:トンボで粗均し→定木でレベル出し→金ごてはタイミングを見て最小限。
- 打継ぎ処理:段差を整え、レイタンスを除去。乳剤(接着材)や目荒らしを実施。
- 養生:散水・シート・保温材で湿潤を維持。初期3日を大切に、5〜7日を目安に。
- 後片付け:配管洗浄と通路清掃を即時に。残コンの処理場所と記録を残します。
具体例:200mmスラブの打設ケース
延床500㎡のスラブで、ポンプ1台・仕上げ3名・締固め2名の体制です。帯状に幅3mで進め、1時間あたり50〜70㎡を目安とします。スランプ12cm、呼び強度27、外気28℃の設定です。
開始1時間はブリーディングの様子を見つつ、踏み荒らしを避けます。日射が強いので散水で床温を下げ、打継ぎは柱頭部手前で区切ります。休憩前にはバイブレーターの電源とコードを整理し、つまずきと漏電を防ぎます。
注意点(安全とNG集)
- 安全帯と開口養生は必ず実施。打設前に足場板の跳ねとガタを点検します。
- 配管のカップリングは二重確認。圧抜き前の分解はしません。飛散防止カバーを使います。
- バイブレーターは型枠接触を避ける。鉄筋(てっきん)に強く当て続けないように。
- 打継ぎは濡れたまま放置しない。レイタンス除去と再打込みの合図を一本化します。
- 高温・低温・強風は計画変更も検討。無理に続行せず、品質と安全を優先します。
まとめ(明日から使うコツ)
打設の鍵は、計画の見える化と数値の共有です。層厚、速度、締固め間隔など、基準を声に出して合わせます。受入検査と養生を丁寧にすれば、仕上げが楽になり、クレームも減ります。
まずは自現場の型として、区画図・人員表・チェックリストの三点セットを作りましょう。次の打設で、今日の型を小さく試し、写真と記録で改善を回すと、現場が安定していきます。

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