コンクリート打設 事前チェックリストがあれば、当日の迷いが減り、品質と安全が両立します。チェックを習慣にすることで、段取り替えのロスも小さくなります。今日は現場でよくつまずく点を、やさしく一緒に整えていきましょう。
なぜ当日トラブルが起きるのか(原因)
多くは情報のズレと準備不足です。配車時間と人員が合わない、型枠やスリーブに小さな不備がある、こうした差が当日に膨らみます。さらに気温や雨など環境の読み違いも、硬化や仕上げのタイミングを乱します。原因を分けて見える化し、前日に手を打つのが近道です。
まず整えるべき具体策(体制・計画)
計画はシンプルに、でも要点は外さずにまとめます。打設計画(打込み順序と区画の図)、人員表、機械配置図、連絡網の四点セットを用意します。気象と交通の代替案も、予備の計画として書き込みます。決めたら朝礼で共有し、合図は一つに統一します。
事前チェックリスト(前日まで)
人員・機械の確認
- 人員配置:打込み、締固め、受入検査、仕上げ、記録で役割を固定
- 機械:バイブレーター(振動機)本体と予備、延長コード、発電機の燃料
- 道具:スコップ、トンボ、レイキ、レベル、モルタル受け、洗浄用水
- 安全:通路と退避動線、立入禁止札、照明、KY(危険予知)記録
型枠・配筋・埋設の確認
- 型枠:目違いと隙間のコーキング、セパの締め、脱型剤のムラ
- 配筋:かぶり厚さ、スペーサー数、結束の甘さ、補強筋の通り
- スリーブ・止水板:位置と固定、止水板の継手重ね長さ
- 打継ぎ面:レイタンス処理、湿潤状態、段差の当て板
受入検査・品質の確認
- 配合:設計強度、スランプ(軟らかさ)、空気量、粗骨材最大寸法
- 試験体(テストピース):本数、採取場所、養生箱、温度計
- 配車:数量、車間、ルート、場内の回し方と洗い場
- 気象:気温・風・降水の予測、暑中・寒中対策の準備
段取り・連絡の確認
- 打込み順序と打込み速度の目安を図で共有
- 合図役と停止権限を明確化、緊急時の声かけ用語を統一
- 近隣への連絡、騒音・洗浄水の管理計画
- 写真計画:要所の撮影位置と枚数、誰が撮るか
当日の手順とポイント
1. 受入検査(荷おろし前)
- 伝票確認:現場名、配合、数量、出荷時刻
- スランプ・空気量の測定と温度確認
- 試験体採取とラベル記入、養生箱へ
- 不適合は受入停止をためらわない、代替を即時連絡
2. 打込み(流し込み)
- 隅・梁型の小さな部位を先に満たし、柱・梁へと広げる
- 層厚は30–50cmで均一、打込み速度は人員に合わせて調整
- 打継ぎは時間を空けすぎない、コールドジョイント(打継ぎ不良)を避ける
3. 締固め(バイブレーター)
- 挿入ピッチは30–40cm、既打込みに10cmほど貫入
- 1点3–10秒、気泡が止まったら抜く、型枠へ当てない
- 過振動で材料分離を起こさない、角と鉄筋周りは丁寧に
4. 仕上げ・養生
- スラブは一発目でレベルを出し、二度押えで面を整える
- 風・直射日光は急乾燥の敵、散水やシートで保湿
- 打込み後の見回りで漏れ、はらみ、型枠の異常をチェック
具体例:スラブt=300mm、夏期のケース
30℃前後の日は、硬化が早く進みます。受入検査を素早く終え、車両の回転を止めないことが肝心です。打込み班を1.5倍にして、バイブレーターも予備を現場に出します。仕上げは広がりすぎず、区画を小さく刻み、日陰側から進めます。遅延剤の使用は出荷側と事前に取り決め、現場判断での追加は避けます。
よくある注意点とNG対応
- 雨の開始を甘く見る:ブルーシートと水替えポンプを事前配置、雨筋が出る前に覆う
- 配管スリーブの浮き:打込み前にワイヤで二重固定、先にモルタルで抱かせる
- 洗浄水の管理忘れ:場内に沈砂槽、洗い場を固定、流出防止マットを敷く
- 写真の撮り忘れ:役割を一人に集中、チェックリストに撮影欄を追加
- 人が余る:余剰人員は通路管理と清掃に回し、散漫な指示を避ける
まとめと次アクション
打設の肝は、前日の見える化と当日の一体運用です。コンクリート打設 事前チェックリストに沿えば、ムダな迷いが減り、品質も安定します。まずは自分の現場用に、四点セット(計画・人員・機械・連絡)をひとまとめにしましょう。次の打設までに、今日のリストを班で共有し、改善点を一つだけ追加すると、次回の動きががらっと変わります。
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