コンクリート打設 段取りの基本と現場手順|ミスを防ぐ実例とチェック

コンクリート打設 段取りを整えると、やり直しが減り、品質と安全が安定します。先に全体像を決めて共有するだけで、当日の迷いが消えます。ここでは原因と具体策、手順と実例をまとめ、すぐ現場で使える形にしました。

なぜ段取りで品質差が出るのか(原因)

打設は生コン(生コンクリート)の時間勝負です。遅れが出るとコールドジョイント(打継ぎ不良)になりやすいです。スランプ(やわらかさ)や温度がズレると、仕上がりと強度も不安定になります。

圧送(ポンプ送込み)の能力と配車が合わないと、現場は待ち時間とあふれで混乱します。型枠の締め不足や支保工の弱さは、ふくらみや漏れを起こします。動線や合図が曖昧だとヒューマンエラーが増えます。

今日からできる具体策(計画と体制)

  • 打設計画シートを1枚に集約。打設順序、層厚、切羽(打込み先端)、退避路、合図方法を明記します。
  • 受入検査を徹底。スランプ、空気量、温度を記録し、写真も残します。数値が外れた荷は受け入れません。
  • ポンプ能力と配車の整合。理論値の6〜7割を実力値として組みます。遅延剤(硬化を遅らせる薬剤)は気温で調整します。
  • バイブレーター(締固め機)は担当と範囲を固定。層厚20〜30mmで確実に刺し、隣接部と重ねます。
  • レベル(高さ)管理はレーザーとスタッフ(尺棒)で二重確認。見える化のためマーキングを多めに。
  • 打継ぎ位置と止め時間を事前合意。レイタンス(表面の弱い層)処理までをセットで決めます。
  • 安全は最優先。高所・開口は親綱と手すりを先行、可動部周囲は立入禁止を明確にします。

実務の手順(時系列の流れ)

  1. 前日:関係者ミーティング。打設順序、合図、退避、非常時の停止ルールを口頭と図で共有します。
  2. 機材点検:ポンプ、ホース、バイブレーターを通電・目視。予備機と延長ケーブルを手元に置きます。
  3. 受入検査:スランプ、空気量、温度を試験。記録と写真を残し、外れ値は受入れません。
  4. 試し打ち:1区画だけ流し、締固めと流動を確認。型枠のにじみや配筋の浮きをチェックします。
  5. 本打設:上手(かみて)から下手(しもて)へ、逃げ道をふさがない順序で進めます。切羽を小さく保ちます。
  6. 層厚管理:20〜30cmで層を刻みます。厚く盛らず、段差はその場でならします。
  7. 締固め:バイブレーターは垂直に挿入し、1点5〜15秒。前の挿し位置と5〜10cm重ねます。
  8. レベル合わせ:レーザーで基準を確認。余盛りは早めに引き、トンボやコテで仕上げにバトンを渡します。
  9. 止め方:予定の打継ぎ位置で止め、表層をラフ化(目荒らし)し、レイタンスを除去します。
  10. 養生:散水やシートで乾燥を防止。気温が高い日は早めに遮熱、低い日は保温を徹底します。

受入検査のコツ(品質の入口)

荷ごとにスランプ、空気量、温度を取り、そのままラインに流さないことが肝心です。温度が高い日は遅延剤の有無を運転手に再確認します。写真は計器と荷札が一緒に写るように撮ります。

バイブレーター配備(締固めの要)

本機2台+予備1台を基本にします。ホース長さは配筋へ絡みすぎない長さを選びます。先端を鉄筋に強く当てないようにし、離型剤(型枠用オイル)が多い面は入念に締めます。

現場例で読む数量と時間の目安

例:スラブ100m³、ポンプ車は理論50m³/h。実力は30m³/hと見込み、正味約3.5時間に休憩と試し打ちを足して4.5時間を計画します。配車は初便10m³、以降20〜25分間隔で8台を回します。

人員はポンプ口2名、切羽2名、バイブレーター2名、レベル1名、誘導1名、材料受け1名、監督1名の計10名が目安です。夏期は打設スタートを早め、昼前に山を越えると楽になります。冬期は保温マットを先置きし、養生時間を長く見ます。

よくある失敗と予防の要点

  • コールドジョイント:配車間隔が空くと発生。止め位置を決め、遅延剤で時間の谷をならします。
  • ジャンカ(豆板):締固め不足が原因。層厚を薄くし、挿し間隔を狭くします。型枠のすき間も塞ぎます。
  • 型枠の膨らみ・漏れ:事前の増し締めとサポート追加で防止。打設前に再度一周チェックします。
  • かぶり不足:スペーサー(保持材)を密に配置し、踏み抜き防止の足場板を敷きます。
  • 仕上げむら:レベル印を多く出し、仕上げ班に余盛りを早めに渡します。強風時は乾きに注意します。

まとめと次アクション

段取りは、計画の見える化、検査の徹底、締固めとレベルの基本、この3点で安定します。ポンプ能力は実力値で組み、止め方と養生までを先に決めます。安全は合図と立入禁止を明確にし、先行養生で守り切ります。

次の打設では、今日の計画シートを現場用にアレンジしてみてください。終わったら、時間・数量・不具合の実績を追記し、次回へ活かすと学びが早く定着します。

コメント

タイトルとURLをコピーしました