配筋検査 チェックリストで迷わない現場手順と具体例

最初に:配筋検査はチェックリストで楽になります

配筋検査 チェックリストを使うと、見る順番がそろい、やり直しが減ります。かぶり厚さ(鉄筋から型枠までの距離)やピッチ(間隔)、定着長さ(鉄筋の必要な埋め込み長さ)を先に押さえると、検査が流れます。今日は原因→具体策→手順→例→注意点→まとめの順で、現場で役立つ要点だけをお話しします。

不具合の原因:抜けはどこで生まれる?

配筋の不具合は、設計情報の読み違いと段取り不足から起きがちです。図面のかぶり表示と部位の実寸が合っていない、スペーサー(かぶり確保材)の数量と位置が足りない、定着・継手のルールが各部位で混在などですね。もう一つは、検査の順番がばらばらで、戻り確認が増えることです。

  • かぶり不足:型枠金物や開口補強との干渉で薄くなる
  • ピッチ不整:端部で割り付けが合わず累積誤差
  • 定着不足:梁・柱端部で長さが出ない
  • 継手の位置・本数ミス:重ね長さやズラし不足
  • スペーサー不足:沈みや浮きで高さが保てない

具体策:優先順位と「測る」道具を決める

対策はシンプルで、優先順位を決めて同じ道具で同じ測り方をします。最優先は安全と構造性能に直結する三つ、かぶり・定着・ピッチです。次に開口補強、付加筋(補助の鉄筋)、アンカーやインサート(あと施工用金物)との干渉を見ます。最後に表示・写真・是正指示までを一連で終わらせます。

使う測定道具と表示の合わせ方

  • スケールと差し金:かぶり・ピッチ・定着を直読。差し金は直角確認に便利
  • かぶりバー・スペーサー見本:必要厚さの見える化に有効
  • チョーク・油性ペン:是正箇所に一筆で印。誰が見ても分かる位置に
  • チェックリスト票:紙でもアプリでもよいが、同じ項目順で回す
  • スマホ+広角:写真は通り芯、寸法、全景→局所の順で

手順:現場での検査フロー(戻らない回り方)

  1. 着手前ミーティング:図面の注意記号(かぶり、定着、継手)に付箋。作業員へ共有します。
  2. 外周→内側の回り順を固定:外周はかぶりリスクが高いので先に見ます。階段や開口部は別枠で。
  3. 三点セットの測定:かぶり→ピッチ→定着。数値は代表点+リスク点で最小3点ずつ。
  4. 干渉・納まり確認:インサート、スリーブ、スタッドとの距離を実寸で。
  5. 写真とマーキング:印+写真をその場で。是正は口頭でなく、印と数値で伝えます。
  6. 是正後の再確認:同じ順番、同じ道具で再測。記録に追記し、サインで締めます。

写真管理のコツ

全景→中景→近景→寸法の順で撮ります。通り芯札とレベル表示が入ると後で効きます。連番と部位名をファイル名に入れ、チェックリスト番号とひも付けると探しやすいです。

具体例:数値の当て方と比較

梁主筋D16@200(ピッチ200ミリ)で、かぶり40ミリの例を挙げます。かぶりは型枠内法から主筋外面まで40ミリを確保。スペーサーブロックは400〜600ピッチで直列配置します。定着長さはSD295の基準で、概ね40d前後(dは呼び径、D16なら約640ミリ)を確保します。

  • 良い例:端部で割付を調整し、外周側は特にかぶりを厚めに見て確保
  • 悪い例:スペーサーが少なく、人が乗ると主筋が沈む。結果かぶりが不足
  • 是正:スペーサーを増し、結束(番線で固定)を追加。再測して最小値を記録

開口補強では、スリーブ外周から鉄筋までの離隔を50ミリ以上とするなど、設計の標準に合わせます。梁成が小さい部位は、曲げ半径やフック(折り曲げ端部)の干渉が出やすいので、先に割付線を床に書くと早いです。

注意点:雨天、段取り、伝え方

雨天や低温時はスペーサーの足元がすべりやすく、かぶりが変わりやすいです。踏み板を敷いてから測ると安定します。結束忘れは翌日の打設前に露見しがちなので、検査の最後に「動かしてもズレないか」を手で確認します。是正は「理由→数値→締切」の順で伝えると通りやすいです。

溶接の可否や継手の種類は、仕様書の制限があります。迷う箇所は、その場判断を避け、監理者へ即相談します。手順は守り、危険作業は止めます。無理に進めるより、10分の確認が後の1日のやり直しを防ぎます。

まとめ:要点と次の一手

配筋検査は、優先順位と測り方を決めるだけで、ぐっと楽になります。かぶり・ピッチ・定着を同じ順で見て、写真と印で確実に残します。数値は代表点+リスク点、是正は理由と締切を添えます。小さな段取りが、大きな品質の差になります。

  • かぶり・定着・ピッチの三点を最優先で測る
  • 外周→内側の回り順で戻りをなくす
  • 印+写真で記録し、是正は数値で伝える
  • 迷いは仕様書と監理者で確認し、安全を最優先

次アクションとして、明日の検査に使うチェックリストを1枚だけ作り、道具と回り順を班で共有しましょう。今日の要点をそのまま写せば大丈夫です。

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