配筋検査 チェックリスト|原因と手順と具体例

配筋検査 チェックリストを持つだけで、見落としが減り、是正も早く進みます。迷わない道具と手順をそろえ、今日からまわせる形にします。やり方はむずかしくありません。要点をおさえ、同じ順路で見ることがいちばんの近道です。

なぜ配筋検査で不適合が出るのか(原因)

不適合の多くは、図面の読み違いと、検査の順番ぶれから生まれます。たとえば、かぶり厚さ(コンクリ面から鉄筋までの距離)の思い込みや、ピッチ(鉄筋の間隔)の測り忘れです。スペーサー(かぶり確保材)の不足や種類違いも多いですね。継手(鉄筋のつなぎ)の位置と間隔、定着長さ(曲げや端部の必要長さ)の見落としも原因になります。

すぐ使える具体策(事前準備と体制)

図面照合セットをつくる

配筋図と構造図、標準詳細、変更指示をひとかたまりにします。面ごとに付せんを入れ、見たいページへすぐ飛べるようにします。設計値の抜き書きカードを作ると早いです。例:外壁かぶり35、内壁30、スラブ20〜30、梁主筋D25@200などです。

測定道具を最小で確実に

スケール、曲尺、ピッチゲージ(簡易の定規でも可)、かぶり棒(目安棒)、タイマーカー(結束確認用)、チョーク、スマホと予備電池を持ちます。写真は同じ構図で撮れるようにガイドを決めます。転落を防ぐ安全帯と手袋は必須です。安全の装備は迷わず使います。

役割を分けてダブルチェック

読み手、測る人、記録の人で分けます。声出しで項目を読み、測定値を復唱してから記入します。時間がない日は、重要度の高い項目だけでも二重に見ます。かぶり、ピッチ、継手、定着は毎回外しません。

現場での検査手順(チェックリスト)

同じ順路で回ると抜けが減ります。下から上、外周から内側の流れで見ます。以下を順にどうぞ。

  1. かぶり厚さ(コンクリ面から鉄筋まで)を要所で測る。設計値を基準に、足りない所はスペーサーを追加します。外部は余裕を持ち、内部も均一にします。
  2. 鉄筋径と本数を照合。異形鉄筋(表面に節のある鉄筋)の径表示が図面と合うか、刻印も確認します。
  3. ピッチと通り(直線性)を見る。目印を打って3点以上で測ります。150/200など、設計の並びにそろっているかを見ます。
  4. 継手の方法と間隔。重ね継手、圧接、機械式継手の種類を確認します。同断面内の重ね位置が集まりすぎていないかを見ます。
  5. 定着長さとフック。端部の余長、梁端の曲げ、スターラップ(あばら筋)の掛かりを確認します。
  6. 開口補強。スリーブ周りの補強筋の径、ピッチ、定着を図面で照合します。
  7. スペーサーとサポートの種類・間隔。コンクリート用のものか、間隔が足りているか。樹脂やモルタル製など、仕様に合うかを見ます。
  8. かぶりを邪魔するモノの除去。タイラップ(仮固定バンド)の切り残し、木片、モルタルだまりを外します。
  9. インサート・アンカー・ボックスの位置。トータルで干渉がないか、型枠と通りを合わせます。
  10. 写真記録と是正メモ。同一方向で全景→中景→近景→寸法の順に撮ります。是正は番号付けし、再撮で同構図にします。

具体例でイメージする(スラブ・梁・壁)

スラブの見方

スラブは上側と下側の配筋の層を意識します。かぶりはサイコロ(スペーサーブロック)で確保します。スラブ開口は早めに補強を入れ、端部の定着を忘れないようにします。水勾配がある床は、かぶりが薄くなりやすいので要注意です。

梁の見方

梁は主筋の通りと、スターラップのピッチが要です。梁端の定着と、柱へのかかりを丁寧に見ます。梁下端のかぶりは型枠側で変動しやすいので、スペーサーを増やします。スリーブは引張側に寄らないよう、位置の相談を早めにします。

壁・柱の見方

壁は縦横の配筋が均一か、開口周りの補強がそろっているかを見ます。柱は帯筋(スターラップ)の密ピッチ区間が図面どおりかを重点で確認します。柱主筋の継手位置が重ならないよう、段違いにしているかも見ます。かぶりサポートの種類は、コンクリと相性のよいものを使います。

注意点とNG例(安全・品質)

高所は必ず先に親綱と安全帯を用意します。通行路は単管などで区切り、検査中は立入禁止にします。工具の置きっぱなしは落下につながるので、腰袋に戻します。型枠建込み中の同時作業は、声かけと責任者の一本化で衝突を避けます。

品質面では、かぶり不足のまま結束を固めてしまうのがNGです。スペーサーの種類違いも、後で発見されがちです。写真の撮り忘れは、良い施工でも伝わりません。全景→中景→近景→寸法の順で、同じ枠組みでそろえると伝わります。

まとめ:明日からの運用と小さな工夫

配筋検査は、原因を知り、順路を決め、ひと目でわかる道具に落とすと安定します。まずは現場用のA4一枚のチェックリストを作り、面ごとに付せんで回せる形にしましょう。写真台帳のテンプレもセットで用意すると、是正と再検査が早くなります。無理に全部は見ません。かぶり、ピッチ、継手、定着は必ず押さえます。

  • かぶり・ピッチ・継手・定着を毎回ダブルチェック
  • 図面と抜き書きカードで迷いをなくす
  • 同じ順路で回り、写真は同構図で記録
  • スペーサーと安全装備は迷わず多めに
  • 是正メモは番号で管理し、再撮で完了

次のアクションは、現場用の簡易チェックリストを自社仕様に直すことです。一度作れば、新人への教育と品質の平準化に効きます。

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