配筋検査 チェックリストで現場ミスを減らす実践ガイド

配筋検査 チェックリストを使うと、見落としが減り、是正も最小で済みます。先に結論です。原因を押さえ、現場で回せる形に落とすと、検査は10分短縮し、品質は安定します。今日から使える要点だけをやさしくまとめます。

なぜミスが起きるのか(原因)

一番は、図面の読み方の差です。符号や注記の解釈が人によりぶれます。ここで齟齬が出ると、現場は直線的にずれます。

次に、測り方があいまいです。かぶり厚(鉄筋から外側コンクリートまでの厚さ)の測定点や本数が曖昧だと、良否が揺れます。結果、後で揉めます。

最後は、記録が後追いです。写真とチェック表がバラバラだと、是正の証跡が残りません。打設前の判断が鈍り、リスクになります。

具体策:チェックリストの作り方

構成の基本(誰でも同じ結論に)

  • 見る場所を限定(例:柱・梁・スラブで分ける)
  • 基準を明記(図番・ディテール・特記の参照)
  • 合否の言い切り(OK/NGと理由欄)
  • 撮影位置の指定(方向・距離・スケール併記)

専門語は短く補足します。定着長さ(鉄筋がコンクリートに埋まる長さ)、あばら筋(梁の横方向の鉄筋)、スペーサー(かぶり確保材)などです。言葉の共通化だけで、判断がそろいます。

数値の入れ方(迷いを0に)

  • 設計値をそのまま転記し、許容差を明記(例:±10mm目安。最終は監理指示に従う)
  • 定着長さは計算式も併記(例:目安40d。D16なら約640mm。必ず設計優先)
  • ピッチ(等間隔)の許容は「最大値」で表記(例:@150以下)

数値は「例」として示し、最優先は設計・監理の指示とします。迷ったら止める。ここは言い切ります。

現場用フォーマット(紙でもスマホでも)

  • A4一枚で1エリア、チェック20項目以内
  • QRや図番で写真フォルダとひも付け
  • サイン欄は施工・監督・監理の三者

スマホ入力でも紙でも同じ順番です。道具が変わっても、流れが変わらないようにします。

手順:朝礼から打設前までの流れ

  1. 朝礼で基準の共有。要注意点を一言で(例:梁端部の定着)。
  2. 先行確認。鉄筋工と一緒に1スパンだけ試し測り。スケールとかぶりゲージ(かぶり厚を測る器具)を持参。
  3. 本確認。チェックリスト順に東→西など一定方向で回る。左右往復を避け、抜け落ちを防ぐ。
  4. 写真撮影。同じ構図で「全景→中景→近景→スケール」の4枚を基本に。
  5. 是正と再確認。口頭でなく、図面の写しに赤で指示。完了後は同じ項目を再撮。
  6. 打設前ミニレビュー。3分で良否と残課題を共有。打設可否は監理と合意。

道具は、スケール、かぶりゲージ、チョーク、赤ペン、水平器、マーキングテープ。これで十分回せます。

例:梁とスラブのチェックポイント

梁(端部と腰の見落としを防ぐ)

  • 主筋の本数・径・位置。図番で確認し、芯位置は通り芯からの寸法で。
  • 定着長さ(鉄筋の埋込み長さ)。例としてD16×40d≈640mm。設計の指示値を優先。
  • あばら筋(横方向鉄筋)のピッチと折り返し。最大@150などの「上限」で判断。
  • かぶり厚。スペーサー(かぶり確保材)の配置間隔を確認。角部は寄りやすいので追加。
  • スリーブ・インサートとの干渉。近接時は補強筋の有無を要確認。

梁端部は情報が密です。3点/スパンでスポット測定し、写真は端部を多めに残します。

スラブ(面での精度をそろえる)

  • 上端・下端の配筋位置。サポート筋(位置保持の補助)の有無を確認。
  • かぶり厚。スペーサーブロックの間隔と材質。人通路の痕で沈まないかも見る。
  • 開口まわりの補強。斜め補強や増し筋の有無。図面の注記に従う。
  • 継手位置。ズラし寸法(継手を重ねない距離)を確保。
  • 段差・レベル。打設時の作業足場が干渉しない導線も確認。

広い面は「帯で切って」見ます。通りごとに帯を作り、各帯で同じ順番に回ると抜けません。

注意点:写真、是正、共有のコツ

  • 写真はスケール併記と方向表示。床なら通り芯標識を入れると探しやすいです。
  • 露出が白飛びしやすいので、逆光は避け、足元は影で隠さない。枚数は1エリアあたり最低12枚を目安。
  • 是正は「誰が・どこを・いつまで」を赤入れ。再撮は同アングル。同一ファイル名規則で保存。
  • 日報にチェック表のサマリ(OK項目数/是正数)を1行で追記。朝礼で翌日フィードバック。

共有は短く、具体的に。数で語ると、関係者が動きやすくなります。

まとめ:すぐに始める3ステップ

  • 図面から「数値と根拠」を抜き出し、A4一枚に整理。
  • 現場の回り順を決め、測り方を統一。
  • 写真とチェック表を同じ名寄せ規則で保存。

まずは次の打設前エリアで試してください。一度流れが決まると、後は繰り返しで精度が上がります。迷う点は監理に早めに相談し、設計の意図とそろえましょう。

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