足場点検手順の基本と不具合の見抜き方|現場ですぐ使えるコツ

足場点検手順の狙いと効果

足場点検手順が整うと、落下や挟まれの芽を早く潰せます。時間も短くまとまり、是正も先回りできます。現場の安心感が上がり、職人さんの動きも軽くなります。今日の巡回から使える形で、手順と見るコツをまとめます。

なぜ不具合が起きるか(原因)

原因は、設置条件のばらつきと、人の慣れです。地盤の沈み、材料の混在、仮設計画の変更で、想定とずれが出ます。作業が進むほど、部材の緩みや外し忘れも増えます。雨や風など環境も影響します。放置しないために、見る順番を決めます。

今日からできる具体策(考え方)

優先は「落下につながる部位」からです。手すり(墜落を防ぐ柵)、足場板(作業床)、出入口の三点を先に見ます。次に「荷重が集まる点」を押さえます。支柱、ジャッキ、緊結部です。最後に動線と避難経路を確認します。順番は守ります。

足場点検手順(チェックの道筋)

事前準備と記録

図面と計画を一度見直します。枠組足場(フレーム式)か、くさび式(緊結タイプ)かで着眼点が変わります。点検表とチョークを持ち、写真管理のフォルダを用意します。KY活動(危険予知)の一言も同時に記録します。記録は必ず残します。

  • 点検表:部位別のチェック欄を用意
  • 色分けチョーク:是正箇所に日付と印
  • 写真:遠景→中景→近景の順で3枚
  • 連絡先:是正担当と連絡手段を明記

組立前・使用前の点検

基礎の水平と沈下を見ます。ベース金物とジャッキの座りにガタがないかを触って確かめます。支柱の鉛直は、目視とスケールでざっくり合わせます。クランプ(締結金具)の締めは、増し締めで均します。先行手すり(先に付ける仮手すり)は欠けを許しません。

  • 作業床の幅:歩きやすい幅か(例:400mm以上目安)
  • 足場板の跳ね出し:支持点をまたいで十分なかかり
  • 手すり高さ:腰より上で安定(例:1m前後の目安)
  • 出入口:踏み外しが出ない段差とスロープ

使用中の巡回と是正

朝礼後に一周、昼前に気になる面だけ再確認します。緩みやすいのは、対角ブレース(筋交い)と足場板の固定です。動線の曲がり角は物の集積が起きやすいので、退避スペースを確保します。是正はその場で依頼し、完了写真で閉じます。

  1. 危険度の高い箇所に付箋とチョークで印
  2. 職長へ口頭とテキストで二重連絡
  3. 完了後に再確認、点検表へ時刻を記入

悪天候・地震後の再点検

雨上がりは沈下とすべり、強風後は養生シートのバタつきと転倒を見ます。地震後は緊結の緩みと建物取り合いのクリアランスを確認します。ローリングタワー(移動式)はキャスターのロックを必ず見ます。迷ったら使用を止めて、先に点検します。

具体例(写真がなくても見抜くコツ)

足場板の端が浮くときは、乗ったときの音が高くなります。コトンではなく、カンと響きます。クランプの緩みは、部材の接点に錆粉が出ます。指で触れると粉がつきます。支柱の傾きは、縦筋と外壁の目地で直感的に分かります。迷ったらスケールで測ります。

荷揚げの角では、手すり外しの戻し忘れが起きます。戻しの習慣をチェックします。昇降梯子(垂直はしご)は、上端の固定と踏み桟のすべりが出やすいです。ゴムの摩耗や泥を拭うだけでも効きます。小さな是正で事故の芽は減らせます。

よくある注意点とNG

「いつも大丈夫だった」は根拠になりません。毎日の環境で状態は変わります。点検は人任せにせず、目で見て手で触ります。手順は省きません。特に高所の先行手すり、足場板の固定、出入口の養生は飛ばしません。ここは言い切って守ります。

  • 材料の混在は避ける(規格違いは強度差が出ます)
  • 仮置きは通路を外す(動線をふさがない)
  • 写真は同じ角度で撮る(比較しやすくする)
  • 是正期限を決める(曖昧にしない)

まとめ(明日やること)

点検は「落下に直結→荷重→動線」の順で見ます。記録は点検表、チョーク、写真の三点をそろえます。是正は印→連絡→完了確認で閉じます。悪天候と地震後は使用前に再点検します。習慣にすれば、時間はむしろ短くなります。

  • 朝礼前に点検表を印刷し、持ち場を割り当て
  • 昼前に是正フォロー、夕方に完了写真で締め
  • 週初めに基礎と緊結の重点点検を入れる

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