施工計画書 書き方|原因から手順・実例まで現場で通るコツ

結論:施工計画書は「伝わる順番」で書く

施工計画書 書き方で迷うときは、相手の確認に必要な順番でまとめるのが近道です。目的、体制、安全、品質、工程の五つを芯にします。点検しやすい見出しと図で通りやすくなります。今日の現場でもすぐ試せます。

原因:通らない計画書の共通点

差し戻しが多い理由は、読み手の不安が解けていないからです。誰が、いつ、どうやって、どのリスクを抑えるのかが散らばりがちです。専門語は多いのに、現場の絵が浮かばないこともあります。期待する成果物と工程表(作業日程の表)のつながりが弱いのも原因です。

もう一つは、法令や元請基準の引用だけで終わることです。引用は大切ですが、現場条件への当てはめが欠けると弱くなります。写真や略図がないと、仮設計画(足場や養生の配置)も伝わりにくいです。結果として、質問が増え、承認が延びます。

具体策:5つの柱で組み立てる

迷ったら、次の五つを同じ順番で置きます。読み手はどこに何があるか、すぐ分かります。現場が変わっても、骨格は変えません。各章の最後にチェックリストを入れると、差し戻しが減ります。

  • 目的と範囲:何を、どこまで、いつまで行うか。
  • 体制と連絡:体制図と連絡網。代理人と責任分担を一行で。
  • 安全計画:リスクアセスメント(危険の洗い出し)と対策。
  • 品質計画:検査項目、サンプル、許容差(許せる誤差)。
  • 工程・段取り:工程表と搬入計画、重機(クレーン等)の使用計画。

誰に何を伝えるかを決める

読み手は元請、発注者、協力会社、近隣です。全員に全てを語る必要はありません。元請にはリスク低減と工程の確実性を。発注者には品質の裏付けを。協力会社には手順と安全ルールを。近隣には影響最小化の配慮を示します。章ごとに主読者を一言で書くと、ズレが減ります。

図と数値で「不安」を消す

文章だけだと不安は残ります。平面図に動線や立入禁止を重ねた略図を一枚。搬入車の台数と時間帯を数値で。仮設トイレや洗い場の位置も簡易図で示します。根拠が要る数値は出典や計算条件を括弧で添えます。

手順:最短で通す作り方

空で書き始めず、情報を先に集めます。3回の小さなレビューで仕上げます。期日は先に決め、逆算で進めます。締切の前日には版を固定します。

  1. 事前ヒアリング:元請の様式や承認フロー、必要添付を確認。過去の差し戻し要因も聞きます。
  2. 骨子作成:目次だけを15分で作る。五つの柱+現場特有の章(騒音・粉じん等)。
  3. 図と写真の先出し:略図、仮設図、工程表(ガントチャート)を先に用意。
  4. 初稿:各章3〜5文で要点を。専門語には短い補足を括弧で。
  5. 一次レビュー:安全担当と職長に10分で確認。現場の実情と矛盾がないかを最優先。
  6. 二次レビュー:元請の期待に沿うかを同僚と確認。提出前に体裁と抜けを直します。
  7. 提出と説明:提出時に要点サマリー1枚を添付。口頭の補足も準備。

事前ヒアリングで外さない質問

  • 様式の指定はあるか。ページ上限は何ページか。
  • 必須の添付は何か(仮設計画図、工程表、体制台帳など)。
  • 承認に要する日数と、差し戻し時の再提出期限。
  • 近隣配慮で特に気にしている点(時間帯、搬入ルート)。

実例:型枠工事の施工計画書サンプル

型枠工事を例に、要点だけの構成を示します。数字は現場に合わせて差し替えます。図と写真は1章ごとに一枚を意識します。ここでは骨子と記載のコツを並べます。

  • 目的と範囲:RC造3F建ての1階壁・柱の型枠組立と解体。施工範囲はグリッドA〜F/1〜6。工期は4/10〜4/18。
  • 体制と連絡:現場代理人1名、職長1名、作業員6名。連絡手段は携帯と無線。災害発生時は直通番号を明記。
  • 安全計画:転落・墜落、はさまれ、倒壊を重点。リスクアセスメントは「危険源→発生要因→対策」の表で。先行手すり、開口ふさぎ、合板の反り確認を追加。
  • 品質計画:型枠精度は±3mm、通り・鉛直は±5mm。コンクリート打設前の墨確認は2名で相互チェック。支保工ピッチとセパ間隔を図示。
  • 工程・段取り:搬入は朝8時と10時の2便。クレーン2.9tを使用。組立2日、検査半日、打設前日までに是正完了。
  • 環境配慮:騒音は10時・15時の休憩時間に高音作業を回避。粉じんは集じん機と散水で抑制。

ポイントは、検査者が見る順に情報を並べることです。例えば支保工のピッチは図の横に数値を添えます。写真は「良い例/悪い例」を並べ、判断の基準を合わせます。工程表はクリティカルな作業に色を付け、遅延時の代替案を一行で書きます。

注意点:差し戻しを減らすコツ

  • 引用だけで終わらせない:法令や基準は「現場への当てはめ」を必ず一文添える。
  • 禁則と中止基準を明記:風速、雨量、気温などの中止基準は数値で言い切る。
  • 写真・図の整合:矢印、尺度、凡例を統一。図番と本文で参照を一致させる。
  • 承認フローの見える化:提出先、承認者、期日を欄外に。連絡遅延を防ぎます。
  • 更新管理:版数、日付、修正履歴をフッターに。古い版の混入を防止。

安全に関しては、曖昧さを残さないことが最重要です。立入禁止の範囲、作業半径、吊り荷下立入禁止は図と現地表示で二重化します。KY(危険予知)のテーマは計画書のリスク表から転記し、朝礼で共有します。迷ったら「止める・呼ぶ・待つ」を合言葉にします。

まとめ:今日からできる小さな改善

  • 五つの柱で骨子を固定し、章末にチェックを置く。
  • 図と数値で不安を消し、禁則と中止基準は数値で言い切る。
  • 三段階レビューで、現場の実情→元請の期待→体裁の順に整える。
  • 更新管理と承認フローを欄外で見える化する。

次の一歩は、今の現場で一枚の「要点サマリー」を先に作ることです。目次と図の当たりを決めてから本文に入ると、早くて通りやすい計画書になります。明日の提出でも、まだ間に合います。

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