土間コンクリート数量拾いと施工管理

現場監督が外さない土間コンクリート管理

土間コンクリートは数量拾いと打設計画の精度が、そのままコストと品質に跳ね返ります。本稿では「数量拾い」を起点に、発注、打設、養生までを一気通貫で解説。具体的な数値・計算式・チェックポイントを示します。

数量拾いの基本と実例

体積の基本式と余裕率

基本は体積 V = 面積 A × 厚さ t。発注量は余裕率とポンプ残コンクリートを加味します。

  • 余裕率の目安: 2〜3%(不陸補正、ロス)
  • ポンプ配管残量の目安: 125A配管50mで約0.61m3(断面0.0123m2×50m)

実例: 倉庫土間 20m×15m、t=150mm

  • 面積 A = 300m2
  • 体積 V = 300×0.15 = 45.0m3
  • 余裕2% = 0.9m3、配管残0.6m3
  • 発注量 ≒ 45.0 + 0.9 + 0.6 = 46.5m3(0.5m3刻みで発注)

勾配付与が下地整正で吸収できない場合、体積が+1〜3%増えることがあります。事前に不陸測量で検証しましょう。

鉄筋量の概算(メッシュ)

例: D10@150ダブルメッシュ

  • 1m当たり重量 D10 = 0.617kg
  • 1m2当たり総延長 = 6.67m×2方向 = 13.33m
  • 1m2当たり重量 ≒ 13.33×0.617 = 8.22kg/m2
  • 300m2で ≒ 2,466kg → 継手・端部増しで+10% ≒ 2.7t
  • 重ね長さの目安: 30d〜40d(D10なら300〜400mm)

目地数量の計画

収縮目地ピッチは「板厚の24〜30倍」が目安。t=150mmなら3.6〜4.5m。20×15mなら4.5mグリッド計画で効率的。

施工方法と打設計画

下地・型枠・配筋

  • 路盤: 砕石t=100mm程度、締固め(目標締固め度95%以上)
  • 防湿: ポリエチレンシート0.15mm、継目重ね150mm以上
  • スペーサ: 50mmサイコロを1m2あたり2〜3個
  • 型枠: 周囲捨型枠はレーザーでレベル管理、基準ピンを10m毎

生コン受入と手配

  • 呼び強度例: 24N/mm2、スランプ12±2.5cm、空気量4.5±1.5%
  • 温度: 受入時5〜35度を目安(高温時は遅延剤検討)
  • 吐出能力: 実効25〜35m3/hを基準に打設班を編成
  • 打重ね許容: 初期凝結前(60〜90分目安)で連続打ち

打設・均し・仕上げ

  • 打設方向: 目地方向に合わせ一方向流し
  • 締固め: バイブレーターは200〜300mmピッチで短時間挿入
  • 均し: スクリード+トンボでレベル合わせ、レーザーレベル併用
  • 金鏝仕上げ: 3回仕上げを基準(1回目30〜60分、2回目60〜120分、3回目120〜180分目安、気温で調整)

カッター目地

  • 切断時期: 12〜24時間以内(早切りでひび割れ回避)
  • 切断深さ: 板厚の1/3(t=150mmなら50mm)
  • 交点部は角欠け防止の補強バーやシールを検討

当日の品質管理ポイント

受入検査

  • スランプ・空気量・コンクリート温度をロット毎に測定
  • 試験体: Φ100×200mm×3本を標準、28日強度確認
  • 荷卸し時間: 練混ぜから90分以内で完了を基本

ひび割れ・反り対策

  • 蒸発速度1.0kg/m2/h超は危険域。散水、蒸発抑制剤、風防ネットで抑制
  • 養生: シート養生7日、または養生剤2回散布(初期と再散布)
  • 日較差が大きい日は夕方打ちに変更し温度差低減

安全・段取り

  • 歩経路の確保と立入規制、片押しで誘導員配置
  • 照明は300lx以上確保、夜間は作業員増員で転圧・均し遅延を防止

よくある失敗と数値で見る対策

  • 発注不足で欠打: 例 45m3に対し46.5m3発注で回避。配管残量と余裕率の事前算定が鍵
  • 表面ひび割れ: 気温32度、風速3m/s、RH40%で蒸発速度は約1.2kg/m2/h。散水+蒸発抑制剤+早切りで低減
  • ジャンカ: バイブ挿入間隔>300mmや長時間停止が原因。200mmピッチ、3〜5秒/回で改善
  • 反り上がり: 片面乾燥で発生。養生シート全面密着と目地ピッチ4.5m以内で抑制

チェックリスト(現場で即活用)

  • 数量拾い: 面積、厚さ、余裕率2〜3%、配管残量計算済みか
  • 鉄筋: メッシュ数量と重ね長さ30d〜40dを確保
  • 受入条件: スランプ・空気量・温度基準と試験体準備
  • 打設計画: ポンプ能力、打重ね時間、通路・照明・誘導員
  • 仕上げ: 人員配置と3回仕上げのタイムテーブル
  • 目地: ピッチと切断時期12〜24h、深さt/3
  • 養生: シート7日または養生剤2回、風対策と散水計画

まとめ

土間コンクリートは「数量拾いの精度」と「当日の段取り」で仕上がりが決まります。面積×厚さに余裕と配管残を足す、メッシュ重量を把握する、蒸発速度と目地ピッチを数値で管理する。この3点を押さえれば、発注ミスとひび割れリスクを大幅に低減できます。現場監督・施工管理の皆様は、上記チェックリストを打設前打合せの標準様式として活用してください。

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