現場監督のための鉄筋数量拾い完全ガイド

鉄筋数量拾いの基本(施工管理の実務)

最近の現場でよくある課題が「鉄筋 数量拾いのバラつき」。同じ配筋図でも、拾い方次第で±10%は平気でズレます。結果、発注過不足→工程遅延→コスト増。この記事では、現場監督・施工管理技士が明日から使える実務的な積算手順とチェックポイントを、具体的な数字で整理します。

必須の図面読み(配筋図・特記仕様書)

数量拾いの前提は、配筋図・標準詳細・特記仕様書の「前提条件」を固めること。かぶり厚さ、定着長さ(例:40d、50d)、継手方法(重ね・機械式)、加工半径、開口補強の有無、鉄筋種別(SD295A/SD345)を最初に固定します。ここが曖昧だと全ての数字がブレます。

単位重量と算定式(鉄筋 単位重量)

基本式:単位重量(kg/m)=0.006165×d^2(d=呼び径mm)。代表値の目安はD10=0.617、D13=0.995、D16=1.58、D19=2.23。社内基準表・仕入先表に合わせて必ず統一してください。

スラブの鉄筋数量拾い手順(D13@200の例)

拾いの原則は「本数→長さ→重量→ロス率」。先に本数を確定し、次に1本当たりの実長(かぶり控除・定着・折曲げ)を足し込みます。

本数の求め方(N=INT+1の鉄則)

本数Nは、対象寸法W(mm)をピッチP(mm)で割って整数化し、端部分を+1。式:N=INT(W/P)+1。例:幅8,000mmのスラブに@200ならN=INT(8000/200)+1=40+1=41本(片方向)。

長さ・重量・ロスの見込み

1本長さは「スパン実長−両側かぶり+定着(必要に応じ)」で算出。重量=延長(m)×単位重量(kg/m)。現場ロス(定尺切断・継手・端材)は5〜10%を目安に、開口・段差が多い場合は上振れ想定を。

事例と数字:8m×12mベタ基礎の積算

条件:8.0m×12.0m(96㎡)のベタ基礎。上下2層、D13@200(両方向)、かぶり60mm、定着は直線で端部止め。簡易モデルで端部定着余長は考慮せず、長さはスパン実長で算定。

・X方向鉄筋(12.0mを走る):本数=INT(8000/200)+1=41本。1本長さ=12.0m。延長=41×12.0=492m。

・Y方向鉄筋(8.0mを走る):本数=INT(12000/200)+1=61本。1本長さ=8.0m。延長=61×8.0=488m。

・1層あたり延長=492+488=980m。上下2層=1,960m。

・重量(D13):1,960m×0.995kg/m≒1,951kg。

・ロス率10%見込み:1,951×1.10≒2,146kg(≒2.15t)。

コストの目安(例):材料180円/kg+加工運搬80円/kg=計260円/kg。総額≒2,146kg×260円=約558,000円。鉄筋工の歩掛目安:1班(3人)で1.8〜2.2t/日→本件は約1日想定。開口・段差が多いと+0.5日見込み。

最新トピック:BIM×積算の実務連携

最近はBIMモデルから鉄筋 数量拾いを自動集計するワークフローが浸透。精度は高い一方、端部定着・加工半径・最小曲げ径、機械式継手の位置など「規則化しにくい条件」は手修正が必須。現場側で検図→バーリスト(加工帳)へ落とす役割は、当面なくなりません。

拾い漏れを防ぐチェックリスト(施工管理)

  • かぶり厚さ(底・側・上)を図面・特記で固定したか
  • 定着長さ・重ね長さ(例:40d/50d)を部位別に確定したか
  • 開口補強(スリーブ・人通口)の追加筋を全て拾ったか
  • スターラップ・帯筋のフック形状と余長を反映したか
  • 柱頭・柱脚、梁端の折曲げ・ハカマ筋を追加したか
  • 機械式継手・ガス圧接の位置と本数を分離計上したか
  • 定尺取り(例:12m材)と切断取り合いでロス率を再計算したか
  • 鉄筋種(SD295A/SD345)・径別に重量を集計し単価適用したか
  • バーリスト(加工帳)と配筋図の整合(本数・径・記号)を相互チェックしたか
  • 納入分割と工程(クレーン手配・荷下ろし動線)を織り込んだか

現場で効く実務Tips(まとめ)

・端部は「INT+1」の本数ルールを徹底。特に段差・隅欠き周りの端数に注意。
・重量は「延長×単位重量」で径別に積み上げ、ロス率は現場条件で5〜10%を使い分け。
・定着・重ねはdで計算。例:D16で40d=640mm。拾い表にd換算欄を作るとミスが激減。
・定尺取りは12m基準で試算→余尺を開口補強等へ回すとロスが下がる。
・バーリストは「加工形状スケッチ+寸法根拠」を残し、発注・検収・出来高まで一貫管理。
・BIM数量は鵜呑みにしない。端部・フック・継手のルール化外は必ず人が拾い直す。
・週次で「数量−納入−出来高」を照合し、過不足は即日リカバリー。材料待ちを作らない。

数量拾いは「ルール化」と「再現性」。今日の現場から、まずは自分用のチェックリストと径別単位重量表、定尺取り計算のテンプレを用意して、拾いと加工帳を同時並行で回してみてください。過不足ゼロと手戻り削減が、すぐに体感できます。

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