現場監督必見|足場の数量拾い完全ガイド

「足場 数量拾い」がぶれる理由と対策

最近の現場でよく聞くのが、見積段階の「足場 数量拾い」が本施工でズレる問題。外周の拾い忘れ、開口控除の考え方、メッシュシートの重ね代、昇降設備の基数など、微差の積み上げが予算・工期に直結します。この記事では、枠組足場を前提に、面積の計算式から部材点数の概算、単価の目安まで、現場監督・施工管理技士がすぐ使える実務的な積算手順をまとめます。

枠組足場の数量拾い 基本手順(実務版)

前提条件の整理(ここで勝負が決まる)

最初に決めるべきは以下の前提です。これが曖昧だと後で全てがブレます。

  • 方式:枠組足場(1.8mスパン、枠高1.8mまたは1.7m)
  • 対象面:外周全周 or 一部、コーナー形状(隅切り・曲面)
  • 高さ:GLからの足場高さH(m)と最上段構成(作業床/手摺のみ)
  • 開口・バルコニーの扱い:控除の有無と控除率(0〜20%の範囲で取り決め)
  • 作業床有効幅:600mm/900mm/1,500mm(布板枚数に直結)
  • メッシュシートの仕様:目合い、重ね代(通常200〜300mm)
  • 昇降設備:階段ユニットの基数・位置
  • 壁つなぎピッチ:たて6m×よこ9mを基本(構造・下地により調整)

足場 面積の計算式(m²)

基本は「外周長L(m)×高さH(m)」。改修工事で開口を控除する取り決めがある場合のみ、控除率rを掛けます。

面積A=L×H×(1−r) 例:控除なしならr=0、20%控除ならr=0.20

注意:面積は原則控除なしが一般的。控除採用時もメッシュシートや布板は控除しないケースが多いので内訳は分けて拾うのが安全です。

部材点数の概算(枠・手摺・布板・筋交)

見積段階のブレを抑えるため、下記の近似で十分に戦えます。

  • 水平スパン数N=ceil(L ÷ 1.8)
  • 段数S=ceil(H ÷ 1.8)
  • 枠(1.8m)=N×S
  • 手摺(1.8m・上下2段)=N×S×2(内外両側を想定する場合は×3)
  • 布板(0.5m・作業床段数Sf・有効幅1.5mなら3枚)=N×3×Sf
  • 筋交(ブレス)=枠数×0.30〜0.40(立地や風荷重で変動)
  • 巾木=N×作業床段数Sf
  • メッシュシート面積=A×1.15(重ね代15%見込み)
  • 壁つなぎ=ceil(H ÷ 6)×ceil(L ÷ 9)

ベースジャッキ、ジョイント、クランプ類は「枠数と同数+端部・コーナーで1割上乗せ」を仮置きにし、実施設計時に協力会社拾いで精査します。

具体例:7階RC外装改修で試算(数字で腹落ち)

条件:L=120m、H=21m、控除なし(r=0)、作業床幅1.5m、最上2段は手摺のみ、昇降階段2基、標準風環境。

  • A=120×21=2,520m²
  • N=ceil(120÷1.8)=67
  • S=ceil(21÷1.8)=12
  • 作業床段数Sf=S−2=10
  • 枠=67×12=804本
  • 手摺(2段)=67×12×2=1,608本(1.8m)
  • 布板=67×3×10=2,010枚(0.5m)
  • 筋交=804×0.35≒282本
  • 巾木=67×10=670本
  • メッシュシート=2,520×1.15=2,898m²
  • 壁つなぎ=ceil(21÷6)×ceil(120÷9)=4×14=56箇所

コスト目安(地域・期間で変動):

  • 足場本体(組立・解体・月極1〜2カ月想定)=1,100〜1,500円/m² → 約277〜378万円
  • メッシュシート=120〜200円/m² → 約35〜58万円
  • 階段ユニット2基=15〜30万円/基(期間加算)→ 約30〜60万円
  • 養生・運搬諸経費=面積×100〜150円 → 約25〜38万円

合計レンジ:370〜530万円程度。組立は300〜400m²/日(8人工)を基準に、2,520m²なら7〜9日、解体は1割短縮が目安。雨天と搬入制限で+1〜2日を見込むのが安全です。

見落としがちな注意点と「効く」対策

数量が跳ねるポイント

  • セットバック・庇:ブラケット足場の追加。1段あたりN×庇箇所で布板・手摺が増える。
  • 開口部:面積控除しても手摺・巾木は控除不可が多い。内訳で按分し、交渉余地を残す。
  • コーナー:直交クランプ・ジャッキの上乗せ1割。シートも重ね増。
  • 昇降動線:階段の基数不足は工期ロス。1,000〜1,500m²ごとに1基が体感値。
  • 風対策:台風期は筋交比率を0.4、シートは一時撤去分の手間計上。
  • 安全法令:フルハーネス常用で親綱・支柱・アンカー金具の拾いを忘れない。

チェックリスト:足場 積算・数量拾い

  • 外周長L(m)と高さH(m)を平面・立面で両確認したか
  • 控除ルール(r)を発注者と文書合意したか
  • 作業床幅・段数(Sf)を用途別に決めたか
  • 昇降階段の基数・位置を工程と連動させたか
  • 壁つなぎの可否位置(開口、ALC目地、タイル部)を事前確認したか
  • メッシュシート重ね代と風対策(台風期)を織り込んだか
  • コーナー・段差・庇の追加部材(ブラケット、直交クランプ)を上乗せしたか
  • 搬入経路・ヤード制限による人工効率低下を見込んだか

まとめ:明日から使える実務Tips

  • 面積AはL×Hでまず固め、内訳は「本体」「シート」「昇降」で分けて拾うと交渉が強い。
  • NとSは1.8mピッチで天井関数を使い、Sf=S−2を標準初期値にする。
  • 部材点数は近似(枠=N×S、筋交=枠×0.35、布板=N×3×Sf)で素早く当て、詳細は協力会社に精査依頼。
  • 単価はレンジで提示し、風期・長期・夜間の係数を別建てで示すと後戻りがない。
  • 昇降階段は1,000〜1,500m²/基を目安に増やし、移動ロスを工程短縮で回収。
  • 親綱・アンカー・シート撤去復旧は「出来形に紐づく手間」として別行で拾う。

足場の数量拾いは、先に決める「前提」と「内訳の切り方」で8割が決まります。この記事の計算式とチェックリストをテンプレ化しておけば、見積ブレを最小化し、現場の安全と工程を同時に守れます。

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