長尺シート数量拾い(保存版)端部・階段・ロス

導入(課題提示・なぜ今)

長尺シートの数量拾いは、面積だけで進めると端部や階段で必ず不足が出ます。
ロール巾(1,820mmが一般的)の割付と、立ち上がり・巾木・見切りの扱いで差が出ます。
この記事では「長尺シート 数量拾い」を、現場でそのまま使える拾い表と手順に落とし込みます。

通路やEVホール、階段でのロス率も具体数字で示します。
拾い漏れでの追加手配や手待ちを避けたい方は、保存して参照してください。
端部納まり(見切り材の納め)まで一緒に押さえましょう。

本論(長尺シート 数量拾いの考え方と端部納まり)

基本は「面積」ではなく「ロール割付」で拾います。
ロールの有効貼幅(実際に使える幅)は、耳処理や溶接ジョイント分を差し引いて約1,800mmと見ます。
通路幅が1,650mmなら1条で足りますが、1,900mmなら2条が必要です。

端部納まりは、アルミ見切り(見切り材)か同材立ち上げで数量が変わります。
同材立ち上げ100mmなら、壁沿いの延長×0.1m分を別途加算します。
巾木(ソフト巾木など)を別材で入れる場合は、長尺の立ち上げは不要です。

手順・段取り(拾い表の作り方と確認)

1) 図面でゾーン分け:通路・ホール・居室・階段を分け、ロール方向(流し方向)を決めます。
2) ロール巾割付:各ゾーンの幅を有効貼幅1,800mmで割り、必要条数を切り上げます。
3) 長さ確定:各条の長さは通路の実長+入り隅・出隅の逃げ10〜30mmを見込みます。

4) ジョイント位置:溶接(熱溶接棒)を行う前提で、障害物(スリーブ・床点検口)を避ける線に寄せます。
5) 端部納まり:見切り材ならL型見切りの延長、同材立ち上げなら高さ×延長を別計上。
6) 階段:踏面(ふみづら)+蹴上(けあげ)一体で1段あたりの必要寸法を算出し、段数で掛けます。

7) ロス率設定:整形の通路は5〜8%、切欠きが多い室は10〜12%、階段は15〜20%を目安に上乗せ。
8) 接着剤(のり)拾い:アクリル系で300〜400g/㎡、ウレタン系で250〜350g/㎡を目安に面積掛け。
9) 付属材:溶接棒はジョイント延長×必要数量、アルミ見切りは端部延長×本数で拾います。

コストと工期の目安(数値と前提)

施工歩掛の目安は、下地が平滑(2m直定規で3mm以内)かつ障害物少なめで15〜25㎡/人日程度。
2人1班で30〜50㎡/日、階段は0.5〜0.8階/日(幅1,200mm、15段×2直階の想定)です。
接着剤は100㎡で30〜40kg、溶接棒はジョイント延長100mあたり約1.5〜2kgをよく使います。

ロール長は20〜25mが一般的で、通路1条が25mを超える場合は継ぎが発生。
継ぎは動線と平行に取り、溶接ジョイントで押さえます。
工程は「下地調整→仮敷き→接着→圧着(30〜50kgローラー)→溶接→端部納め」で、乾燥時間を確保します。

事例・数字(㎡・m・mm・人数・日数・ロス率)

事例A:学校の通路 1階 40m×1.8m、2階 40m×1.8m、幅は共通。
有効貼幅1,800mmで各通路は1条でOK。必要長は各40m+逃げ0.1m×2=40.2m/条。
ロール長25mの場合、1フロアは25m+15.2mの2カット構成、端材が少し出ます。

数量:1階 40.2m×1条=40.2m、2階も同様で計80.4m。
ロールは25m×4本=100mで余裕19.6m(予備・端材)。ロス率は約8〜10%。
接着剤:面積は1.8m×80m=144㎡、アクリル系で約45〜58kg。溶接延長はジョイント0本のため最小。

事例B:オフィス階段(幅1,200mm、踏面300mm、蹴上160mm、15段×1直階×2本)。
1段あたり必要寸法は幅1.2m×(0.3+0.16)=0.552㎡、15段で8.28㎡/本、2本で16.56㎡。
段鼻金物(ノンスリップ)を使う納まりなら、踏面を短めに差し引きます(段鼻重なり分10〜15mm)。

階段のロス率は切欠きが多く15〜20%、結果として実手配は約19〜20㎡。
工期は2人1班で0.5〜1日/本、下地パテ(速乾パテ)と乾燥待ちで+半日を見ます。
端部見切り(アルミL)は、側桁沿いの延長×2面で拾います。

チェックリスト(拾い漏れ防止)

  • 通路幅を有効貼幅1,800mmで割り、条数を切り上げたか
  • ロール長20〜25m前提で継ぎ発生位置を決め、動線と平行に逃がしたか
  • 同材立ち上げ(100mm等)か巾木別材かを区分し、延長で別計上したか
  • 柱・点検口・床コンセント周りの切欠き分をロス率に上乗せしたか(+2〜3%)
  • 階段は1段あたりの幅×(踏面+蹴上)で算出し、段数×本数で合算したか
  • 段鼻金物・アルミ見切り・ソフト巾木など付属材の延長と固定ビスを拾ったか
  • 接着剤は㎡あたり300〜400gで拾い、プライマーの要否も確認したか
  • 下地平滑度(2mで3mm以内)と含水率を確認し、パテ量と乾燥時間を工程に入れたか
  • 溶接棒はジョイント延長で拾い、色番(色合わせ)指定まで明記したか
  • 温度・湿度の条件を確認し、圧着ローラーと重ねローラー(端部用)を手配したか

まとめTips(現場で外さないコツ)

数量拾いは「面積+ロール割付+端部」の三点セットで考えると、ブレません。
整形は5〜8%、切欠き多めは10〜12%、階段は15〜20%のロス率を最初に設定しましょう。
同材立ち上げと巾木の切替は、見積段階で早めに確定しておくと手戻りを防げます。

手順は図面上で拾い表を固め、現調で寸法と障害物を上書きし、最終手配量を決めます。
下地と乾燥時間はケチらず、圧着と溶接の品質を守るのが、後のクレームを減らす近道です。
迷ったらロールを1本多めに。通路の端材は階段の小片で救えることが多いですよ。

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