最近の現場で増えた「雨天時の外壁工事」課題
気象庁の統計でも短時間強雨は増加傾向。現場では「午前は晴れ、午後はスコール」で工程が崩れ、外壁のシーリング剥離、塗装の白化、ALCやモルタルの雨染みなど品質不具合が後を絶ちません。現場監督・施工管理としては、工程死守と品質確保の両立が肝。この記事では「雨天時 外壁工事 対策」を、数量・方法・判断基準まで実務目線で深掘りします。
雨天時 外壁工事 対策の基本方針
原則は3つ。「濡らさない」「触らない」「乾かす」。感覚ではなく数値で意思決定するのが施工管理の仕事です。特に重要な指標は、露点差(表面温度−露点温度)3℃以上、下地含水率15%以下(木部・ボード系目安)、降雨量2mm/h以上は外部仕上げを見合わせ。風速8m/s超はメッシュシートや飛散のリスクが上がるため養生強化または中止を検討します。
工程調整と意思決定の基準(露点・含水率)
前日16時と当日7時の2回、気象アプリの雨雲レーダーと露点を確認。露点差が3℃未満なら結露リスクが高く、塗装・シーリングは避けます。含水率計で下地をランダムに10点測定し、最大値が15%以下で合格。ALCなど多孔質下地は乾燥時間が長くなるため、前日から送風・日覆いを計画。降水確率だけでなく「何時に何mm/h降るか」を見て、午前中だけの部分施工や面積縮小も有効です。
足場・養生の最適化(足場 養生)
メッシュシートは1.8m幅を基本に二重掛けで重ね幅100mm以上。コーナー部は風圧が集中するためラッシングピッチを1.5m→1.0mに詰めます。開口部や入隅は水平養生を追加し、雨筋侵入を抑制。最上段には仮設のひさし養生(ポリカ波板等)を600mm出しで設置すると、壁面200〜300mmの濡れを軽減できます。排水は足場板端部に水切りテープ、雨水が溜まる箇所には簡易樋で落とし先をコントロール。
シーリングと塗装の施工条件・乾燥時間
シーリングは施工温度5〜35℃、露点差3℃以上が目安。プライマーは10〜30分の乾燥後、目地幅15mm×深さ8mm(バックアップ材径10〜12mm)を標準に吐出。肌止まり(皮張り)30〜60分、指触乾燥3〜6時間、完全硬化は1日あたり2〜3mm進行。雨掛かりNG時間は製品にもよりますが2〜6時間が多く、この間はブルーシートでタープ養生を。塗装は素地含水率15%以下、1層あたり膜厚80μm×2回(計160μm)の指定なら、各層の乾燥は気温20℃湿度65%で3〜4時間を確保。湿度85%超は白化・艶引けのリスクが高く中止判断です。
サイディング・ALC・モルタルの個別注意点
窯業系サイディングは透湿防水シートの重ね150mm以上、開口部は200mm以上、タッカー穴は防水テープで処理。雨天時の釘打ちは割れ・浮きの原因となるため避ける。ALCは目地シーリングが命。吸水が多いためプライマーは指定量を厳守し、降雨直前の打設は避ける。モルタルは下地養生7日を確保し、上塗り前に打継ぎ部の含水率確認。雨筋汚れ対策に上端に5mm程度の滴り位置をつくると効果的です。
事例・数字で見るコストと効果
RC6階建(外壁1,800㎡、目地シーリング延長900m、塗装2回塗り)の現場。梅雨時期に週3日の降雨想定で、シーリングは雨掛かりNG時間を確保するため、1日あたり150m→90mに計画変更。代わりに足場外周の二重メッシュ+タープ養生を300㎡分導入(資機材費12万円、組立解体人工6人工)。結果、1週間あたり実施工日4→5日に改善、工期を3日短縮。足場損料3.5万円/日、外部班の待機ロス(4人工×2.5万円)を2日分回避し、計約28万円を圧縮。養生コストを差し引いても約16万円の純効果でした。品質面でも白化・剥離ゼロで、後補修費を抑制。
雨天時 外壁工事 対策:手順とチェックリスト
- 前日16時:5分更新の雨雲レーダーと風予測を確認。降雨量2mm/h以上の時間帯を把握し、面積・職種を再配分。
- 当日7時:露点差を確認し3℃以上を確保。路面・壁面の乾き具合を触診+含水率計で10点測定、最大値15%以下でGO。
- 朝礼:中止基準(雨量・風速・露点差)を共有。代替作業(内部・清掃・資材段取り)も提示。
- 足場点検:メッシュの重ね100mm、結束ピッチ1.0m、コーナー補強、タープの勾配と排水経路を確認。
- 材料管理:シーリングと塗料は10〜30℃で保管。缶の結露防止に前日から屋内仮置き。
- 施工中確認:30分ごとに風雨を確認し、雨雲の接近15分前に打設・塗装を停止。未硬化部は即時養生。
- 完了時:写真で含水率・露点差・気温湿度・施工時間・面積(㎡)・延長(m)を記録。翌日の工程判断材料に。
まとめ:明日から使える現場監督Tips
・「降水確率」ではなく「降雨量(mm/h)と時間帯」で工程を組む。・露点差3℃、含水率15%、中止風速8m/sをルール化。・タープや二重メッシュの局所養生で「濡らさない面」をつくる。・シーリングの雨掛かりNG時間を見越して打設順序を工夫(上→下、軒下→外壁面)。・施工写真に計測値を写し込み、発注者説明とクレーム予防に活用。気候が読みにくい今こそ、数値で判断し、養生で稼ぎ、工程を日割りで刻む。これが雨天時の外壁工事を回す最短ルートです。検索キーワード:雨天時 外壁工事 対策、足場 養生、シーリング 乾燥時間、露点 含水率、施工管理 現場監督。
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