コンクリート打設の段取り|2週間前から前日までに決めること

コンクリート工事:コンクリート打設の段取り:2週間前から前日までに決めること 10 コンクリート工事

10 コンクリート工事|段取り

  1. 段取り:この記事
  2. 施工中:打設当日に監督が見るところ
  3. トラブル対処:生コン受入不合格/雨と猛暑の日の打設判断
ルー

打設、来週の木曜ですよね。生コンはもう注文してあるし、あとは当日がんばるだけですか?

テツさん

当日がんばる現場は、だいたい当日バタつくんだよ。ポンプ車、どこに据えるか決まってんのか?

ルー

……メモしました。

Kony

打設は前日までに8割決まる。木曜から逆算して、今日やることを並べよう。

この記事で分かること

  • 打設の2週間前から当日朝まで、いつ・何を決めるか(タイムライン)
  • 打設計画で必ず決める10項目と、生コン工場・協力会社・監理者との打合せの議題
  • 「時間」の規定(運搬時間・打込み終了・打重ね)から、出荷間隔と打込み順序を逆算する方法

打設は「準備の答え合わせ」の日

コンクリートは一度打ったらやり直せません。しかも打設当日は、ポンプ車・生コン車・圧送工・土間工・型枠大工・鉄筋工・試験員と、関わる人と車が一番多い日です。その日に監督が考え事をしていたら、現場は止まります。

だから僕は、打設は「準備の答え合わせの日」だと思っています。当日に判断するのは、天気の急変や生コンの不合格のような、前もって決めようがないことだけ。それ以外は全部、前日までに決めて、紙に落として、関係者に配っておく。この記事は、その「決めておくこと」を時系列で並べたものです。

2階スラブにコンクリートを打設しているところ

写真準備の答え合わせになる当日。2階スラブの打設(S造の店舗の現場)

着手前タイムライン:2週間前から当日朝まで

打設日が決まったら、まず下の表を自分の現場の日付で埋めてください。2週間前に動き出すのは、生コン工場とポンプ屋の予約、監理者の立会い日程の調整に時間がかかるからです。

2週間前1週間前3日前前日当日打設計画・区画生コン・ポンプ予約配合計画書の承認協力会社打合せ配筋・型枠の検査天気の判断最終確認・配布前日夕方に「やる/延期」
図1打設までの段取りの流れ(目安)。工期や現場の規模で前後します。青=計画・手配、黄=検査、赤=天気の判断。
時期決めること・やること相手
2週間前打設日・打設区画と打継ぎ位置の案、数量(m³)、ポンプ車の台数と据付け位置の案社内、ポンプ屋
2週間前生コン工場への出荷予約(日時・数量・配合)、配合計画書の提出依頼生コン工場
1〜2週間前配合計画書・打設計画書・打継ぎ位置の承認監理者
1週間前打設要員の打合せ(人数・配置・時間)、試験員の手配、近隣・警備の手配協力会社、試験機関
3日前〜前日配筋検査・型枠検査と手直し、スリーブ・インサート・設備配管の最終確認監理者、各職
前日夕方天気予報で「やる/延期」を決めて連絡。最終の出荷時刻と台数を工場に連絡工場、ポンプ屋、全職
当日朝朝礼で打込み順序図を配って説明。受入検査の準備、ポンプ据付けの立会い全員

打設計画で必ず決める10項目

打設計画書は、施工計画書の様式を埋めるためのものではありません。当日、監督がいなくても現場が回るための「台本」です。最低でも次の10項目は、図と数字で決めておきます。

  1. 打設区画と数量:どこからどこまでを1日で打つか。部位ごとのm³。
  2. 打継ぎ位置:設計図・特記の指示を確認し、なければ監理者と協議して決める。梁・スラブの鉛直打継ぎはスパンの中央付近に設けるのが基本(JASS 5)。構造上の位置なので、現場の都合だけで決めない。
  3. 打込み順序:柱・壁 → 梁 → スラブの順を基本に、どの順で回るかを平面図に番号と矢印で書く。
  4. ポンプ車の据付け位置:アウトリガーを張る地盤、ブームの届く範囲、生コン車2台付けできる動線、架空線。
  5. 出荷量と出荷間隔:1時間あたり何m³打てるか(後述の逆算)。
  6. 人員配置:筒先、棒形振動機(バイブ)、型枠叩き、天端均し、型枠・鉄筋の手直し要員、受入検査、交通誘導。
  7. 受入検査と供試体:検査の頻度、試験員、供試体の本数と保管場所。
  8. 予備の段取り:予備のバイブ・発電機、ポンプ故障時の連絡先と代替、照明。
  9. 中止・打止めの基準:雨・強風・生コン遅延のとき、どこで打ち止めるか(打継ぎにできる位置)。
  10. 養生計画:散水・シート、湿潤養生の期間、上に乗ってよい時期、型枠の存置期間。
柱・壁 → 梁 → スラブの順に、番号の順で回る次回の打設範囲①②③④⑤⑥鉛直打継ぎ:スパンの中央付近(位置は監理者と協議)ポンプ車ブームの届く範囲と、生コン車2台付けの動線を先に確認
図2打込み順序図の例(模式図・寸法は例)。区画の番号と矢印、ポンプ車の位置、打継ぎ位置を1枚にまとめ、朝礼で配る。

「時間」から出荷間隔を逆算する

段取りで一番効くのが、時間の規定から逆算することです。ここを感覚でやると、生コン車が詰まって待たされる車が出たり、逆に間が空いて打重ねが遅れたりします。押さえる規定は3つです。

規定内容基準
運搬時間練混ぜを開始してから、運搬車が荷卸し地点に到着するまで1.5時間以内JIS A 5308(レディーミクストコンクリート)
練混ぜから打込み終了まで外気温が25℃未満で120分、25℃以上で90分以内JASS 5
打重ね時間間隔の限度(目安)外気温が25℃未満で150分、25℃以上で120分JASS 5

JIS の運搬時間は「工場から現場の荷卸し地点に着くまで」、JASS 5 の時間は「打込みが終わるまで」で、起点と終点が違います。混ぜて覚えないようにしてください。

QJIS A 5308 の運搬時間「1.5時間以内」は、どこからどこまで?

  • A練混ぜ開始から、荷卸し地点に着くまで
  • B練混ぜから、打込みが終わるまで
  • C工場を出てから、打込みが終わるまで
答えを見る

A JIS は「荷卸し地点に着くまで」、JASS 5 の120分・90分は「打込みが終わるまで」です。起点と終点が違うので、混ぜて覚えないようにします。

逆算はこうします。例として、外気温25℃以上の日(打込み終了まで90分)、工場から現場まで車で30分かかるとします。

  • 練混ぜから現場到着まで:約30分(+渋滞の余裕)
  • 残り時間:90分 − 30分 = 約60分。この間に荷卸し・圧送・打込みを終える
  • つまり、現場で生コン車を長く待たせられない。打込みの速さに合わせて出荷間隔を決める
60分

外気温25℃以上の日、工場から現場まで30分の例
90分 − 30分 = 約60分
この間に荷卸し・圧送・打込みを終える

打込みの速さは、ポンプの能力より「人」で決まることが多いです。筒先1か所で、バイブと叩きが追いつく量が上限です。1時間に打てる量(m³/h)を職長と決め、それを生コン車1台の積載量で割ると、出荷間隔の目安が出ます。区画ごとの数量をこの速さで割ると、同じ場所に次の層が来るまでの時間が分かるので、打重ね時間間隔の限度に収まっているかも計画の段階で確かめられます。

生コン工場との打合せ

  • 配合計画書:呼び方(コンクリートの種類・呼び強度・スランプ・粗骨材の最大寸法・セメントの種類)が設計図・特記仕様と合っているか。監理者の承認を取る。
  • 出荷計画:出荷開始時刻、1時間あたりの出荷量、総量、最後の車の目安時刻。終盤の数量調整(残量の連絡)を誰が工場に伝えるか。
  • 運搬経路と所要時間:朝の渋滞、工事車両の待機場所。
  • 暑い時期・寒い時期の対策:使う混和剤や、荷卸し時の温度の管理。

協力会社との打合せ議題

相手必ず話すこと
ポンプ屋(圧送)据付け位置、アウトリガー下の養生、配管ルート、先送りモルタルの処分、洗い場所
土間工(打設・均し)人数、打込み順序、天端の高さ(レベルの出し方)、仕上げの程度、終了予定時刻
型枠大工打設中の見回り・手直し要員、型枠叩き、締付け金物・支保工の最終点検
鉄筋工打設中の手直し要員(筋の乱れ、スペーサー)、かぶり厚さの最終確認
設備・電気スリーブ・インサート・配管の最終確認と、打設中の立会い

ポンプ屋さんとは、先送りモルタルの捨て場と残コンの返し方まで決めておく

僕は打設の前に、ポンプ屋さんに現地へ来てもらっています。ポンプ車をどこに据えて、配管をどう伸ばし、生コン車をどこに2台付けるかを、その場で一緒に決めます。高い建物なら、縦配管もこのときに決めておきます。

この打合せで忘れやすいのが、先送りモルタルを捨てる場所です。ポンプで打つときは、生コンを送る前に先送りモルタルを流すので、打ち始める前にそれをどこへ出すかが決まっていないと、朝いちばんで手が止まります。

Konyの現場メモ

もう一つは残コンです。配管を伸ばして打つと、配管の中に残ったコンクリートが出ます。ブームだけで届く打設なら、ブームの中に残ったコンクリートはポンプを逆に回して戻し、生コン車に返せました。配管を使うかどうかで残コンの片付けの段取りが変わるので、僕は据付け位置を決めるときに一緒に考えています。ポンプ車の機種や現場で変わるので、細かいところはポンプ屋さんに確かめてください。

RC躯体のコンクリート打設状況

写真 RC躯体のコンクリート打設状況(RC造の建物の現場。別の現場の例)

監理者・発注者に先に確認しておくこと

ミサキさん

打継ぎの位置、図面のどこに書いてあります? 当日に「ここで止めました」は困りますよ。

  • 配合計画書・打設計画書・打継ぎ位置の承認
  • 受入検査と構造体強度の試験の頻度、立会いの要否
  • 雨・強風などで打設を中止・中断するときの判断と連絡のしかた
  • 打設前の検査(配筋・型枠)の日時と、指摘の手直しを確認するタイミング

監理者には「当日相談する」より「前もって決めておく」ほうが、お互い楽です。打止め位置の候補まで事前に合意しておくと、当日の判断が一気に軽くなります。

僕が前日に現場を回って見ているもの

Konyの現場メモ

前日の最後に僕がやるのは、生コン工場への電話です。「明日打設です、よろしくお願いします」の一本を、メールではなく電話で入れます。メールは気づかれないことがあるからです。このときに、配合と、工場に伝えた数字が間違っていないかを、もう一度確かめます。

そのあと、打設箇所を一周します。見るのは、型枠の中に物が落ちていないかです。よく見つかるのは、鉄筋の錆びカスのような鉄粉、木くず、結束線で、どれも仕上げ面に出てきます。見つけたら高圧洗浄機で洗い流します。

型枠は、セパとフォームタイが締まっているか、漏れそうな箇所がないかを見ます。かぶりは配筋検査で見ているので、前日に見直すのはこの2つです。天端の墨は前日までに出し終えておくもので、前日に初めて高さを確かめるのでは遅い。前日は「出した天端が間違っていないか」を疑う目で見ます。

忘れがちなのが、打ってしまうと直せないものです。目地棒、RC ならドレン、カーテンウォールのファスナー、設備配管の開口。段差部のコン止めは打設の途中で外すものなので、がちがちには固定していません。だから、荷重で途中で外れないかを前日に見ます。

最後に養生と写真です。壁に貼った養生テープが剥がれていないか、養生の忘れがないか。打設前の写真を撮ったかも、ここで確かめます。前日にバタバタしていると、だいたい当日もいいことになりません。

前日にバタつく現場は、当日もバタつくぞ。テツさん(職長)

前日の最終確認チェックリスト

  • ☐ 天気予報(降水量・風・最高気温)を確認し、やる/延期を全関係者に連絡した
  • ☐ 生コン工場に最終の出荷開始時刻・数量・台数を連絡した
  • ☐ 配筋検査・型枠検査の指摘は全部手直しを確認した(写真あり)
  • ☐ 型枠内の清掃(木くず・結束線・ごみ)と、打継ぎ面の処理が済んでいる
  • ☐ 型枠・支保工の締付けと、スリーブ・インサート・配管の固定を確認した
  • ☐ 打込み順序図・人員配置表・連絡先一覧を人数分印刷した
  • ☐ バイブ・発電機・予備機、照明、散水・養生シートを準備した
  • ☐ 受入検査の道具・供試体の型・記録用紙(または端末)と、試験員の時刻を確認した
  • ☐ ポンプ車・生コン車の進入路、待機場所、誘導員、近隣への周知が済んでいる

段取りがうまくいった打設の日は、監督が少し暇です。暇だから、受入検査をじっくり見られるし、バイブのかけ方やジャンカの出そうな場所を見に行ける。その余裕を、前日までの準備でつくってください。

参考にした基準・資料

  1. JIS A 5308:2019 レディーミクストコンクリート9.4 運搬時間(2024年に改正版が出ています。最新版で確認してください)
  2. 日本建築学会「建築工事標準仕様書 JASS 5 鉄筋コンクリート工事」2022年版打込み・打重ね時間間隔・打継ぎ
  3. 国土交通省「公共建築工事標準仕様書(建築工事編)」令和7年版6章 コンクリート工事

この記事は、僕が現場で聞いたこと・やってきたことを書きためたメモをもとにしています。一つの現場での例なので、思い違いもあるかもしれません。基準の数値は資料で確かめて書いていますが、実際の工事では設計図・特記仕様書・メーカーの資料を優先し、監理者に確認してください。

基準の数値は版によって変わることがあります。実際の工事では、特記仕様書と最新版の基準を確認してください。

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