雨と猛暑の日の打設判断|中止・続行の決め方と止め方

コンクリート工事:雨と猛暑の日の打設判断:中止・続行の決め方と止め方 10 コンクリート工事

10 コンクリート工事|トラブル対処

  1. 段取り:コンクリート打設の段取り
  2. 施工中:打設当日に監督が見るところ
  3. トラブル対処:生コン受入不合格/この記事
ルー

来週の月曜の打設、予報だと昼から雨なんです。工程が詰まってるし、前日の夜に様子を見て決めればいいですよね?

ミサキさん

前日の夜って、生コンもポンプも職人さんも、もう動かせない日ですよね。変えられることが残っているのは、いつまでですか?

ルー

……前日の夜には、もうあまり残ってないです。

Kony

天気の判断は、1週間前と3日前が本番。前日の夜と当日の朝は、決めたことの確認だよ。

この記事で分かること

  • 雨・猛暑の日に「打つ/延期する」を、いつ、何を見て決めるか(1週間前・3日前・前日の夜・当日の朝)
  • 判断の時期ごとに、まだ変えられる段取りと、もう変えにくい段取り
  • 雨・暑さがコンクリートに何をするか、続行するなら何を準備するか
  • 予報が外れて途中で崩れたときの止め方と、監理者への報告の型

天気の判断は「1週間前」と「3日前」が本番

前日の夜や当日の朝に決めようとすると、ほぼ必ず後手に回ります。前日の夜には、生コンの出荷枠もポンプ車も職人さんの手配も固まっていて、動かせるものがほとんど残っていないからです。早く決めるほど、日程の振替、出荷時間の前倒し、班の順番の入れ替えといった段取りの変更が効きます。なので、判断の重心は打設の1週間前と3日前に置きます。

雨の予報が出ている打設は、僕は打設の3日前まで天気予報を見て粘り、3日前に「やる/延期」を決めています。関係業者や生コン工場には雨天延期の可能性を伝えないといけないので、1週間前から「3日前に判断します」と周知しておきます。そう伝えておくと、相手も安心してくれます。前日の夜と当日の朝の2回は、3日前に決めたことを最終確認する場だと考えてください。

判断の本番確認と、例外の直前判断1週間前週間予報は傾向として見る「3日前に判断します」と関係者に周知する予備日の候補を考える3日前最終判断やる・条件つき・延期を決めて、その日のうちに全員へ連絡する前日の夜3日前の判断のまま行けるかを確認する予報が大きく動いたらここで決め直す当日の朝決めたとおり実行する判断が残るのは予報が外れて雨が降り出した場合だけ多い変えられる段取り:日程の振替・出荷時間・班の順番 など少ない:止める位置と合図の確認くらい
図1判断のタイムライン(模式図)。前で判断するほど、変えられる段取りが多い。数値の線引きは現場の条件と監理者の判断で決め、前もって合意しておく。
いつやることまだ変えられること
1週間前週間予報を傾向として見る。関係者に「3日前に判断します」と周知し、予備日の候補と工場の出荷枠を確認する打設日そのもの、前後の工程(検査の日、型枠の仕上がり日)、班の順番、養生資材と暑さ対策の手配
3日前3日先までの予報(降水の時間帯、気温)で最終判断を出し、その日のうちに全員へ連絡する出荷開始時刻の前倒し、区画割り、ポンプ車の台数と位置、延期するときの振替日(工場の出荷枠が空いていれば)
前日の夜最新の予報を見て、3日前の判断のまま行けるかを確認する。大きく動いたときだけ決め直す止める位置の最終確認、合図を出す人、シートや排水の道具の置き場。日程の振替は難しい
当日の朝決めたとおりに実行する。判断が残るのは、予報が外れて雨が降り出したときだけ打ち切る位置まで打つか、止めるか

Q来週の打設、週間予報は昼から雨。工程は詰まっている。やる/延期の最終判断は、いつ出す?

  • A前日の夜に、予報を見て決める
  • B3日前に最終判断を出し、前日の夜と当日の朝は確認にする
  • C当日の朝、空を見て決める
答えを見る

B 前日の夜には、生コンの出荷枠もポンプ車も職人さんの手配も固まっていて、日程の振替や出荷時間の前倒しが難しくなります。3日前なら、まだ段取りを変えられます。

基礎地中梁にコンクリートを打設しているところ

写真基礎地中梁の打設状況(S造の店舗の現場)

1週間前:先に伝えて、段取りの余地を残す

1週間前の週間予報は、外れる前提で見ます。気象庁の週間天気予報では、3日目以降の降水の有無に信頼度(A・B・C)が付いていて、Aは確度が高く、Bはやや高く、Cはやや低い(予報が変わりやすい)という見方です。Cの日は、延期案と続行案の両方を用意しておきます。「3日前に判断します」という周知は、上のとおりこの時点で済ませます。

  • 予備日の候補を決める:振替先の日を考え、工場の出荷枠が空いているかを聞いておく。
  • 猛暑の時期は工場に相談する:出荷開始を早める案と、暑い時期向けの配合(混和剤など)を、この時点で出しておく。配合は当日には変えられない。
  • 養生資材を確認する:シート、テント、排水の道具の手配。

3日前:最終判断を出して、その日のうちに全員へ連絡する

3日先までの予報で、打設の時間帯に雨や気温がどうなるかを見て、ここで最終判断を出します。判断は3通りです。

  • まとまった雨・強風の予報が打設の時間帯に重なる:延期。ここで迷うと、前日の夜に追い込まれます。
  • 小雨・にわか雨の可能性がある:条件つきで続行。止める位置を監理者と合意し、シートやテントを用意し、出荷停止の合図を出す人を決めます。降り出してから「どこで止める?」と話し合うのでは遅いので、ここで決め切ります(準備は後の節にまとめています)。
  • 猛暑の予報:暑中コンクリートとして扱う。出荷開始の前倒しと区画割りを、この時点で固めます(後の猛暑の節)。

雨も暑さも心配がなければ通常どおりです。決めたら、工場・ポンプ屋・職人さん・監理者へその日のうちに連絡します。

前日の夜と当日の朝:確認と、予報が外れた日の直前判断

前日の夜は、3日前の判断のまま行けるかを確認する時間です。予報が大きく動いたとき(延期と決めた日が晴れに変わった、続行と決めた日にまとまった雨が出た、など)は、ここで関係者に連絡して決め直します。ただし、この時点で変えられることは多くありません。変えるなら早いほうが効きます。

当日の朝は、決めたとおりに実行します。判断を当日に持ち越すのは、基本やりません。

直前判断が必要になるのは、打設すると決めていたのに、予報が外れて雨が降り出したときだけです。このときは、決めておいた止める位置まで打つか、そこで打ち切って止めるかを、その場で決めます。この判断は、前もって決めた止める位置と合図を出す人がいて、はじめて成り立ちます。直前判断のための準備は、3日前までに済ませておきます。

雨:何が起きるのか

  • 水が入る:打込み中の生コンや打ったばかりの表面に雨水が入ると、表面の水セメント比が上がり、表面が弱くなる(粉っぽい・はがれやすい)。
  • 天端が仕上がらない:スラブの表面が雨でたたかれ、均しが効かない。
  • 打継ぎ面が汚れる:途中で止めたとき、打継ぎ面に泥やレイタンスがたまる。
  • 人と機械の危険:足元が滑る、電動工具・発電機の漏電、ポンプ車の地盤がゆるむ。

なので、まとまった雨が予報されている日は、延期が基本です。延期の判断は「工程が遅れる」痛みがありますが、雨の中で打った躯体の補修は、遅れよりずっと高くつきます。

小雨で続行するなら、準備すること

準備中身
止める位置を先に決める途中で強くなったときに打ち止めてよい位置(打継ぎにできる位置)を、監理者と3日前までに合意しておく
覆う物打込み箇所と打ち終わった面を覆うシート、押さえ、受入検査場所のテント
水を入れない型枠内に雨水がたまったら打込み前に排出する。打ち終わった面にはすぐシート
安全発電機・電動工具の雨養生と漏電遮断、足元の滑り止め、ポンプ車のアウトリガー下の地盤
連絡工場に「出荷を止める合図」を誰が出すかを決めておく(止めたのに車が来続けるのが一番困る)

止めたのに生コン車が来続けるのが一番困るんだ。合図を出す人を決めとけ。テツさん(職長)

猛暑:暑中コンクリートとして扱う

暑い時期の打設は、雨より目に見えにくいぶん油断しがちです。ただし暑さは、気温の予報で数日前から読めます。1週間前に工場へ相談し、3日前に出荷開始時刻と区画割りを固めておけば、当日にできることは増えます。JASS 5 では、日平均気温の平年値が25℃を超える期間を暑中コンクリートの適用期間の目安とし、荷卸し時のコンクリート温度を35℃以下とすることを求めています。暑い日は、固まり始めるのが早いので「時間」が全部短くなると考えてください。

35℃以下

荷卸し時のコンクリート温度(JASS 5・暑中コンクリート)
外気温25℃以上の日は、練混ぜから打込み終了まで 90分以内
時間が全部短くなると考える

項目外気温25℃未満外気温25℃以上基準
練混ぜから打込み終了まで120分以内90分以内JASS 5
打重ね時間間隔の限度(目安)150分120分JASS 5
運搬時間(練混ぜ開始〜荷卸し地点到着)1.5時間以内JIS A 5308
  • 打設の開始を早める:気温が上がる前の時間帯に打ち終わるよう、出荷開始を早める。
  • 区画を小さくする:打重ねの限度が短くなるので、1つの区画を小さくして早く重ねられるようにする。
  • 型枠・鉄筋を冷ます:打込み前に散水して、型枠・鉄筋・打継ぎ面を湿らせる(水たまりは残さない)。
  • 配合の対策は工場と:暑い時期に使う混和剤などは、配合計画の段階(1週間前の相談)で工場・監理者と決める。現場で水を足すのは絶対にしない。
  • 表面を乾かさない:均したら早めに散水・シート・養生剤で、表面の急な乾燥によるひび割れ(プラスチック収縮ひび割れ)を防ぐ。
  • 人を守る:休憩・水分・塩分、日陰、交代要員。熱中症は品質より先に守るもの。

途中で崩れたときの動き方

ここからは、予報が外れた日の直前の動きです。止める位置は、3日前までに決めてあります。

生コン1台の時間(外気温25℃以上の日の例)練混ぜ開始60分90分150分運搬(例:工場から60分)荷卸し・打込み打込み終了の限度(90分)を超える・渋滞・ポンプ停止で待たされた車は、納入書の時刻で残り時間を確認する・限度を超える車は打たない(工場と返品の扱いを確認)・打重ねの限度を超える区画は、打継ぎとして扱い、監理者と処理を協議する
図2時間の規定を超えそうなときの考え方(模式図)。打込み終了までの時間は JASS 5、運搬時間は JIS A 5308 の規定で、起点・終点が違う。
  1. 止める:雨が強くなった、生コンが来ない、ポンプが止まった。まず工場に出荷停止を連絡し、決めておいた止め位置まで打って止める。
  2. 守る:打ち終わった面をシートで覆う。止めた位置の打継ぎ面を、きれいな状態で残す。
  3. 記録する:時刻、天候、止めた位置、最後の車の納入書、写真。
  4. 報告する:監理者にすぐ報告し、打継ぎ面の処理と再開の段取りを協議する。

監理者への報告の型

ミサキさん

報告は、起きたことと数字から。言い訳より先に、どこで止めて、何をしたかを聞きたいです。

各回の判断(1週間前・3日前・前日の夜・当日の朝)は、日時、見た予報、決めたことをメモに残しておきます。報告のときの根拠になります。

順番中身(例)
1. 現象○時○分、降雨が強くなったため、○通り〜○通りの打込みを中断した
2. 数値と基準中断時の最後の打込み時刻、未打込みの数量、出荷済みで返した車の台数と時刻
3. 原因予報より早い降雨の強まり(1週間前・3日前・前日の夜・当日の朝の判断の記録を添える)
4. 対応済み事項出荷停止の連絡、打ち終わった面のシート養生、止めた位置の写真
5. 是正・再開案打継ぎ面の処理方法、再開の日時と区画の案(承認をもらう)

天気には勝てません。だからこそ、勝てない前提で早めに決めて、決めたら「どこで止めるか」まで決めておく。それができている監督は、雨の日も落ち着いています。

参考にした基準・資料

  1. JIS A 5308:2019 レディーミクストコンクリート9.4 運搬時間(2024年に改正版が出ています。最新版で確認してください)
  2. 日本建築学会「建築工事標準仕様書 JASS 5 鉄筋コンクリート工事」2022年版暑中コンクリート・打込み・打重ね時間間隔
  3. 国土交通省「公共建築工事標準仕様書(建築工事編)」令和7年版6章 コンクリート工事
  4. 気象庁「週間天気予報」信頼度(A・B・C)の見方

基準の数値は版によって変わることがあります。実際の工事では、特記仕様書と最新版の基準を確認してください。

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