
現在、中東情勢の悪化とナフサ(粗製ガソリン)の供給不足により、建設業界全体を揺るがす「資材ショック」が発生しています。
現役の現場管理者の視点から、2026年4月24日現在の最新情報を整理しました。今後の工程管理や見積作成の参考にしてください。
1. なぜ「ナフサ不足」が建設資材を直撃しているのか?
ナフサはプラスチック、合成ゴム、合成繊維、そして塗料の溶剤(シンナー)などの原料となる石油化学製品の基礎となるものです。
今回の不足により、特に「石油化学系」の資材に甚大な影響が出ています。
- シンナー不足: 塗料の希釈ができず、塗装工程がストップ。
- 樹脂・塩ビの原料不足: 塩ビ管や雨樋の生産が停滞。
2. 建設資材の入手困難度レベル別リスト(2026年5月版)
現場から集まった情報を基に、現在の調達状況をレベル別にまとめました。
【レベル3】致命的(受注停止・入手不可)
最も深刻な資材です。代替品の検討が必要です。
| 資材名 | メーカー例 | 現状の詳細 |
|---|---|---|
| シンナー類 | 各社 | 入手不可。塗装工程の根幹を揺るがす事態。 |
| 錆止め塗料 | 各社 | 4/3より出荷停止。現在受注分のみ対応。 |
| 塩ビ管全般 | クボタケミックス等 | 4/22より受注停止。内装・設備工事に直撃。 |
| アスファルト下地材 | 田島ルーフィング等 | 4/8より一時受注停止。 |
| 塩ビ製雨樋 | 積水化学工業 | 4月末まで出荷停止。 |
| 硬質ウレタンフォーム | アキレス | 4/20より受注停止。 |
【レベル2】警戒(出荷制限・納期調整)
確保が難しく、早めの発注と数量調整が求められます。
| 資材名 | メーカー例 | 現状の詳細 |
|---|---|---|
| シーリング材 | コニシ、横浜ゴム | 出荷制限中。外壁・サッシ周りの工程に注意。 |
| 塩ビ系防水シート | 各社 | 出荷制限。屋上防水工事に影響。 |
| ポリカ波板 | タキロンシーアイ | 5/1より供給制限および納期調整。 |
| 塩ビ製雨樋 | パナソニック | 3ケースまでの制限、一部品番受注停止。 |
【レベル1】注意(価格高騰・納期遅延)
入手は可能ですが、コスト管理が重要です。
- 水性塗料(エスケー化研等): 5/11より15〜25%値上げ予定。
- アスファルト合材: 3月よりトン当たり2,500円アップ済み。
- ALC材: 現時点では大きな影響なし(今後の波及に注意)。
3. 異常ともいえる価格高騰の現状
資材が入らないだけでなく、価格も異常なペースで跳ね上がっています。以下は、各メーカーの発表を基にした値上げ率のグラフイメージです。
主要資材の値上げ率まとめ(2026年4月時点)
- 塗料(錆止め・一般): 65% 〜 70% UP(異常事態)
- アスファルト下地材: 40% 〜 50% UP
- 塩ビパイプ: 40% UP
- ルーフィング・防水材: 25% 〜 40% UP
- 溶剤系製品: 20% 〜 30% UP
これまで「10%前後の値上げ」はありましたが、一気に70%近い高騰は過去に類を見ないスピードです。
4. 特に被害を受けている業種と現場の「リアルな声」
今回のナフサ不足で、特に以下の3業種が危機的状況にあります。
① 塗装・防水業
シンナーが手に入らないため、「現場に材料はあるのに、希釈できなくて塗れない」という事態が発生しています。また、塗料の7割近い値上げを請負金額に転嫁できず、赤字を抱える現場も増えています。
② 設備・管工業
塩ビ管の受注停止は致命的です。「配管が通せないため、床や壁の仕上げに進めない」という工程のデッドロックが起きています。
③ 板金・外装業
雨樋(特に塩ビ製)が入荷しません。屋根は完成しているのに、「雨樋がないために足場が解体できず、リース代だけが膨らんでいる」という現場の悲鳴が聞こえます。
5. 今後予想される流れと対策
この状況は少なくとも2026年半ばまで続くと予想されます。現場管理者が取るべき対策は以下の通りです。
- 代替品の早期選定: 塩ビ管から鋼管への変更、塩ビ雨樋から金属製雨樋(タニタハウジングウェア等)への変更を設計・施主に提案する。
- 当日出荷の廃止への対応: エスケー化研など、当日出荷を中止し「前日16時締め」にするメーカーが増えています。発注タイミングを一日早める必要があります。
- スライド条項の確認: 民間工事でも、価格高騰による請負代金の変更(スライド条項)について施主と協議を始めるべきタイミングです。
まとめ
今回のナフサ不足は、一過性の値上げではなく「物理的なモノ不足」を伴う深刻なものです。ブログ読者の皆さんも、早めの在庫確保と代替案の準備を徹底しましょう。
今後もこのブログ「Konylog」では、建設現場のリアルな調達情報を発信していきます。

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