コンクリート打設 気を付けるポイント徹底解説|当日の段取り・検査・安全まで

コンクリート打設 気を付けるポイントは、当日の段取りと基本の確認に尽きます。先に理由を押さえ、次に具体策、そして手順です。ここを守るだけで、品質も安全も安定します。今日の内容は、現場でそのまま使える当日ガイドです。

なぜトラブルが起きるのか(原因)

打設の乱れは、配合や気温、段取り不足が重なると起きやすいです。時間遅れで打ち重ね(後打ちの接続)に差が出ると、コールドジョイント(不良な継ぎ目)になります。締固め不足はブリーディング(水上がり)やレイタンス(白い膜)を呼びます。人と機械の役割が曖昧だと、声が届かず品質も安全も落ちます。

品質リスクの代表例

  • ブリーディング(水が上がる)とレイタンス(白膜)による仕上げ不良
  • 打ち継ぎ目の遅れによるコールドジョイント(強度低下)
  • 過振動や未振動での密実不足(空隙・はらみ)
  • 温度差によるひび割れ(初期ひび)や表面乾燥

施工リスクの背景

  • 打設順序や打込み速度の想定不足
  • 人員配置と合図のルール不明確
  • ポンプ車やバケットの能力ミスマッチ
  • 受入検査の省略や記録漏れ

具体策(計画と当日運用)

打設計画の要点

  • 打設順序は「遠い・深い・戻れない所から」が基本です。
  • 打ち重ね時間の目安は30分以内。ただし配合や気温で変わります。
  • 1時間あたりの打込み量はポンプ能力と人員で無理なく設定します。
  • 逃げ場を作るための打設区画と打ち継ぎ位置(止め型枠)を明確にします。

受入検査の徹底

  • スランプ(やわらかさ)、空気量、温度を全車で確認します。
  • 出荷伝票の配合(強度・単位水量)と現場指定の一致を確認します。
  • 試験体はロットごとに採取。番号と時刻を必ず記録します。

締固め・仕上げの基本

  • バイブレーター(締固め器具)は挿入間隔40〜50cm、1点3〜5秒が目安です。
  • 型枠や鉄筋に当てすぎない。過振動は分離の原因になります。
  • 表面仕上げはブリーディング水の引きを待ってから行います。

当日の手順(タイムライン)

打設開始前

  1. 朝礼で役割、合図、退避経路を共有します。安全の合言葉は統一します。
  2. 型枠・配筋・インサートの最終チェック。写真は全景と要所を残します。
  3. ポンプ車の設置は水平・アウトリガー全張り。感電距離を厳守します。
  4. 試し練りや先行車でスランプと温度を確認。記録を残します。

打込み中

  1. 先行打ちで足元を固め、順序に沿って均一に進めます。
  2. バイブレーター係とホース先端係を固定し、声かけで同調します。
  3. 打ち継ぎ目の時刻を控え、30分を超えないようペース配分します。
  4. 表面の水が多い時は待つ。かき回しは分離の元なのでやめます。

打込み後

  1. 仕上げ後すぐに初期養生(シートや散水)を開始します。
  2. 打込み量、開始・終了時刻、気温・天気を記録します。
  3. 打ち継ぎ面や立上りは風養生を厚めに。角部の乾燥に注意します。

具体例でイメージする

暑中コンクリート(高温時)

気温が高い日は、スランプ低下と打ち重ね時間の短縮が起きやすいです。到着時温度は35℃以下を目安にします。打設は朝方へ前倒しし、散水と日よけで表面温度を下げます。遅延剤(硬化を遅らせる材料)の活用も検討します。

寒中コンクリート(低温時)

気温が低い日は、初期強度の立ち上がりが遅く、凍害の恐れがあります。打込み温度は5℃以上を目安にします。保温シートや加温養生を準備し、夜間の冷え込みを読みます。脱型時期は試験体で確認し、焦らないことが大切です。

柱・壁とスラブの違い

柱・壁は高さがあるため、層打ち(層ごとに打つ)で締固めを確実にします。スラブは面積が広く、打設速度と仕上げのタイミングが肝です。どちらも止め位置を事前に決め、合図で一斉に切り替えます。型枠からの漏れは早期に止めます。

注意点と安全(絶対に守る)

  • 圧送ホース(先端)の逸走は大けがに直結します。人は前に立たない。
  • アウトリガー下の地盤は必ず養生板。沈下の兆候があれば即停止します。
  • 電線・クレーンとの離隔を確保。感電距離は法令の最小値を超えて余裕を持ちます。
  • 足元の清掃をこまめに。すべりと転倒を防ぎます。合図は一人に統一します。

まとめ(今日の持ち帰り)

打設の成否は、準備6割、当日の連携4割です。原因を先読みし、受入検査と締固めを守れば、多くの不具合は防げます。安全は最優先。合図と退避を決め、ムリ・ムダ・ムラを減らします。記録と写真は未来の自分の味方です。

  • 計画は「順序・速度・人員・止め位置」を明文化する
  • 受入検査は全車で実施、記録を残す
  • バイブレーターは間隔・時間を守る、過振動しない
  • 暑中・寒中は温度と養生を先手で用意
  • 安全は合図統一と退避の徹底、迷ったら止める

次の打設までに、標準のチェックリストを自分の現場用に直しておくと安心です。朝礼の紙一枚が、当日の強い味方になります。

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