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10 コンクリート工事|施工中
- 段取り:コンクリート打設の段取り
- 施工中:この記事
- トラブル対処:生コン受入不合格/雨と猛暑の日の打設判断
おい監督、ポンプ据わったぞ。筒先は柱からでいいんだな?
はい! 僕は受入検査が終わったら、あとは事務所で書類やっててもいいですか?
……ジャンカが出たら、その書類が倍になるぞ。
打設中の監督の仕事は「時間」と「締固め」を見張ること。どこに立って何を見るか、順番に話すよ。
この記事で分かること
- 打設当日の流れと、監督がいるべき場所・見るべきもの
- 打重ね時間・締固め・天端の押さえで、ジャンカやコールドジョイントを防ぐ見方
- 記録写真のタイミングと、職人さんへの声のかけ方
当日の流れと、監督の立ち位置
打設の日、監督が一番やってはいけないのは「どこにもいない」ことです。受入検査の場所と打込みの場所は離れていることが多いので、時間帯によって立つ場所を決めておきます。
朝の一周で、前日から変わった所を見る
僕は朝いちばんに、まず現場をぐるっと一周します。打設の日も同じです。前日の夕方から変わった所はないか、今日はどこで何をしてどうなっていくのかを、歩きながら見ます。ゴミが落ちていれば拾います。
前日に僕が確かめているのは、型枠の中に鉄筋の錆びカスや木くず、結束線が落ちていないか、セパとフォームタイが締まっているか、漏れそうな所がないか。それから目地棒、ドレン、カーテンウォールのファスナー、設備の開口の入れ忘れです。どれも打ってしまうと直せません。朝の一周は、それが夕方から変わっていないかを見る時間です。前日の確認の中身は、コンクリート打設の段取りに書いています。
段差のコン止めは、打設の途中で外す前提で仮に仕込んであるので、がちがちには固定していません。だから、荷重で途中で外れないかを前日に見ています。周りを汚さないための養生も、中途半端にはしません。弱い粘着のテープで貼った養生は打設中に剥がれて、時間をかけたのに結局ぐちゃぐちゃになり、何のために養生したのか分からなくなります。
ポンプ車の後ろに、生コン車を2台付ける
ポンプ車の後ろには、生コン車を2台付けるのが理想です。さらに場内に待機の生コン車がいれば、入れ替えの手間がなくなって、スムーズに回せます。ただ、これは当日に思いついてできることではありません。僕は事前にポンプ屋さんに現地へ来てもらって、どこに据えて、配管をどう伸ばし、生コン車をどこに2台付けるかを打ち合わせています。
受入検査で見るもの
受入検査は試験員に頼むとしても、1台目は必ず自分の目で見ます。1台目で合格していれば、その日の基準が決まります。
| 項目 | 見るところ | 基準 |
|---|---|---|
| 納入書 | 呼び方(種類・呼び強度・スランプ・粗骨材の最大寸法・セメント)が配合計画書と同じか。出荷時刻 | 配合計画書 |
| 運搬時間 | 練混ぜ開始から荷卸し地点到着まで1.5時間以内か(納入書の時刻で確認) | JIS A 5308 |
| スランプ | 指定値に対して許容差内か(例:スランプ18cmなら±2.5cm) | JIS A 5308 |
| 空気量 | 普通コンクリートは4.5%±1.5% | JIS A 5308 |
| 塩化物量 | 塩化物イオン量 0.30kg/m³以下 | JIS A 5308 |
| コンクリート温度 | 暑い時期・寒い時期は特に確認(暑中は荷卸し時35℃以下が目安) | JASS 5 |
| 見た目 | 分離していないか、色・粘りが前の車と違わないか | — |
外れたときの動き方(再試験、荷卸しを断る判断、工場への連絡)は、生コン受入不合格の判断基準と交渉術にまとめています。
僕が受入でいちばん見ているのはスランプ
空気量やスランプの許容差は頭に入っています。そのうえで、僕が現場でいちばん見ているのはスランプです。空気量や塩化物量は、規定に入っているかどうかを確かめます。
スランプを見るのは、打ちやすさに直結するからです。複雑な形を打つ日は、規定の範囲の中で柔らかめのほうがコンクリートがよく流れて、ジャンカが出にくく、打設もしやすい。もちろん、規定の範囲に入っていることが大前提です。
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現場で見ているところは、そのまま試験に出る
かぶり厚さや重ね継手、打設当日の受入検査は、施工管理技士の試験でも品質管理の定番です。現場で覚えたことを点で終わらせず、試験勉強で体系立てておくと説明できる監督になれます。2024年度の制度改正で、1級の第一次検定は19歳以上なら実務経験なしで受けられるようになりました。現場の合間に進めるなら、過去問と経験記述の添削がセットになった通信講座が手軽です。
打込み:落とさない、流さない、まとめて入れない
- 落とさない:高いところから落とすと、粗骨材とモルタルが分かれます。柱・壁は筒先をできるだけ下げて、低い位置から入れる。
- 流さない:バイブで生コンを横に流して運ばない。分離の原因になります。筒先を動かして、打ち込みたい場所に直接入れる。
- まとめて入れない:一度に高く入れると締固めが追いつかない。層に分けて、1層ずつ締め固める。
- 打込み順序図どおりに回る:順番を変えるときは、打重ね時間が延びる場所がないかを先に確認する。
そして絶対に許さないのが、作業しやすくするための加水です。「ちょっと硬いから水入れていい?」と言われたら、断ってください。水を足すと水セメント比が上がり、強度と耐久性が落ちます。硬くて打ちにくいなら、工場に連絡して原因を確かめるのが先です。
僕自身、「硬すぎる」「柔らかすぎる」は現場で何度も言われてきました。それでも、打ちやすくするために水を入れるわけにはいきません。柔らかさは、高性能AE減水剤のような混和剤で調整していくものです。何度も打つうちに、「このコンクリートなら今日は硬めがいい」「ここは柔らかめがいい」が、だんだん分かるようになってきました。混和剤や配合を変えるときは、監理者と工場への確認が要ります。
最後の数台は、拾った数量を信じすぎない
打設の終わりが見えてきたら、最後の生コンの数量を調整します。ここで、拾った数量を信じすぎると失敗します。「あと何m³入るはずだから」と計算だけで決めると、生コンが余って1台帰ってもらうことになったり、職人さん全員に「あと30分待ってください」と謝ることになったりします。
Konyの現場メモ
僕は途中で、「ここまでの面積で何m³出たか」を見ます。そこから残りの面積で何m³かを出し直すと、だいたいの参考になります。土間は、下の砕石が全体に高いか低いかで量が変わるし、コンクリートが砕石に少し食い込むので、拾った数量より少し多めに見ます。拾い方そのものは、コンクリートの数量拾いにまとめています。

写真立上がりの打設状況(S造の店舗の現場)
打重ね時間を「時刻」で管理する
先に打った層が固まり始めてから次の層を重ねると、一体にならずにコールドジョイント(継ぎ目)ができます。JASS 5 では、打重ね時間間隔の限度の目安を、外気温25℃未満で150分、25℃以上で120分としています。
僕がすすめるのは、打込み順序図を手元に持って、区画ごとに「1層目を入れた時刻」を書き込むことです。時計を見るだけの係を置くくらいでちょうどいい。限度の30分前になっても次の層が来そうにないなら、筒先を戻すよう職長に相談します。
Q外気温30℃の日。壁の1層目を10:00に入れた。2層目は何時までに重ねる?
- A12:00
- B12:30
- C13:00
答えを見る
A JASS 5 の打重ね時間間隔の限度の目安は、外気温25℃以上で120分、25℃未満で150分。30℃の日なら10:00から120分の12:00までです。限度の30分前に次の層が来そうになければ、筒先を戻すよう職長に相談します。
生コン車が40分空いたら、まず今どこまで打ったかを見る
打設中に、生コン車が思いがけず40分くらい空いてしまったら、僕がまず見るのは、今どこまで打ったかです。打継ぎにしてよい区間がちょうどそこならいいのですが、そうでなければ、空く場所がそこになるように打つ所を持っていくしかありません。
どこまで待てるかは、上に書いた打重ね時間の限度(外気温で120分か150分)で決まります。その日の計画書と仕様書の数値で確かめてから判断しています。
締固め:バイブのかけ方を見る
| 見るところ | 目安 |
|---|---|
| 挿入の間隔 | 60cm以下(振動が届く範囲が重なるように) |
| 1か所あたりの時間 | 5〜15秒程度。表面にペーストが浮いて、気泡が出なくなるまで |
| 下の層への差し込み | 先に打った層に10cm程度差し込み、上下を一体にする |
| 抜き方 | ゆっくり引き抜き、穴を残さない |
| 当て方 | 鉄筋や型枠に当てない(鉄筋の付着や型枠のはらみの原因) |
外壁や打放しの面は、型枠の外から木づちで叩く「叩き」を必ず入れます。バイブだけだと、型枠に面した表面の気泡が抜けきらずに残ることがあるためです。開口の下、配管が集まる場所、柱と梁の取り合いは、ジャンカが出やすい場所として最初から人を付けておきます。

写真RC躯体の打設状況(RC造の建物の現場)
充填しにくい開口の下は、型枠に小さな穴をあけて確かめる
柱と梁の接合部や、壁の開口の下は、コンクリートが回りにくい所です。僕は、狭くても筒先とバイブレーターをできるだけ下まで落としてもらいます。
壁の開口の下は、開口の下の型枠に小さな穴をあけておき、空気の逃げ道にします。そこからコンクリートが出てきたら、充填できたと目で確かめられます。壁は外からも型枠バイブレーターを当てたり、木槌でみんなで型枠を叩いたりして、ジャンカや充填不良を抑えています。棒状のバイブレーターは、上の表の挿入間隔を守って入れます。

写真 RC躯体の上層階のコンクリート打設状況(RC造の建物の現場。別の現場の例)
型枠のはらみは、締付けと人の乗っている場所を見る
Konyの現場メモ
打設中に型枠がはらんできたら、僕はフォームタイやセパの締付けが外れていないかと、人がどこに乗っているかを見ます。端太を止めている鋼管の上に人が乗っていると、くさびが緩んで外れやすくなるからです。
天端と、沈みひび割れの押さえ
- スラブの天端は、レベルで高さを確認しながら均す。設備の床上配管や仕上げの厚さに関わるので、許容の範囲を事前に土間工と決めておく。
- 梁の上や、スラブの厚みが変わる場所は、コンクリートが沈んで鉄筋に沿ったひび割れ(沈みひび割れ)が出やすい。固まり始める前に、タンピング(表面を叩き締める)や金ごてで押さえる。
- 強風・直射日光の日は、表面が早く乾いてひび割れやすい。均したら早めに養生に入る。
冬の打設は、押さえの照明と打つ順番を先に考える
冬はコンクリートが固まりにくく、土間の押さえにかかる時間も変わります。日が早く暮れるので、僕は土間の押さえ用に照明を必ず用意しておき、なるべく早く打ち切れるように段取りを考えています。
開口のある所の吹き出しも、季節で変わります。夏なら開口の所を最初に打ち、一回りして戻ってくるころにはある程度固まって吹き出しません。冬はそれが難しいので、打つ順番にいっそう気を使います。どこまで待てば落ち着くかは配合や気温で変わるので、現場で様子を見ながら決めてください。
養生の初手:今日中にやること
- 散水・シートで湿潤を保つ。普通ポルトランドセメントの場合、湿潤養生の期間は5日以上が目安(JASS 5、計画供用期間の級が短期・標準の場合)。
- 打設後しばらくは、振動や荷重を与えない。翌日の墨出しや資材の荷揚げの段取りを、打設の前に決めておく。
- 立入禁止の表示をして、近道で踏まれないようにする。
記録写真:何を、いつ撮るか
| タイミング | 撮るもの |
|---|---|
| 打設前 | 清掃後の型枠内、打継ぎ面の処理、スリーブ・インサート |
| 受入検査 | 納入書、スランプ(コーンを抜いた後のスケール)、空気量、温度、塩化物、供試体の採取 |
| 打込み中 | 筒先の位置、バイブの挿入、叩き、各区画の全景(工事黒板に区画と時刻) |
| 打設後 | 天端の均し、養生(散水・シート)の状況 |
写真は「あとで自分を守るもの」です。特に受入検査の数値と、打重ねの時刻が分かる写真は、何かあったときに一番効きます。
職人さんとの会話で気をつけること
- 指示は職長に。筒先やバイブの人に直接ばらばらに言うと、現場が混乱する。
- 「急いで」より「次はここ、何時までに」。具体的な場所と時刻で伝える。
- 止めるべきときは止める。加水、横流し、過度な落下は、遠慮せずその場で言う。
- 終わったら「助かりました」。打設は体力勝負なので、次の打設の段取りの話も一緒にしておくと次が楽になる。
指示は職長の俺に。筒先やバイブにばらばらに言われると、現場が回らないんだ。テツさん(職長)
打設当日チェックリスト
- ☐ 1台目の受入検査に立ち会い、納入書の呼び方と時刻を確認した
- ☐ 運搬時間・スランプ・空気量・塩化物量・温度の結果を毎回受け取っている
- ☐ 区画ごとの1層目の時刻を記録し、打重ねの限度を管理している
- ☐ バイブの間隔・時間・差し込みを確認し、叩きが入っている
- ☐ 加水・横流し・高所からの落下をさせていない
- ☐ 天端のレベルと、沈みひび割れの押さえを確認した
- ☐ 散水・シートで養生し、立入禁止の表示をした
- ☐ 受入検査・打込み・養生の写真がそろっている
打設は、計画どおりに進んでいるかを見張る仕事です。手を動かすのは職人さん。監督は時計と目で、品質を守ってください。
参考にした基準・資料
- JIS A 5308:2019 レディーミクストコンクリート9.4 運搬時間、スランプ・空気量の許容差、塩化物含有量(2024年に改正版が出ています。最新版で確認してください)
- 日本建築学会「建築工事標準仕様書 JASS 5 鉄筋コンクリート工事」2022年版打重ね時間間隔・締固め・湿潤養生・暑中コンクリート
- 国土交通省「公共建築工事標準仕様書(建築工事編)」令和7年版6章 コンクリート工事
基準の数値は版によって変わることがあります。実際の工事では、特記仕様書と最新版の基準を確認してください。
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