コンクリート打設 段取りを整えると、待ち時間や品質トラブルがぐっと減ります。今日お伝えする要点を押さえれば、当日の判断が軽くなり、安全と出来栄えが両立しやすくなります。現場で迷いがちな順序や役割も、チェックリストで見える化します。
なぜトラブルが起きるのか(原因の整理)
原因は、人・物・時間のズレが重なることが多いです。配車間隔の乱れ、受入検査の停滞、ポンプ車の位置不良などが連鎖します。スランプ(柔らかさの指標)のばらつきや気温対策不足で、打継ぎ不良や初期ひび割れも起きやすくなります。
型枠・支保工(支え)の強度確認が曖昧だと、たわみや漏れで手戻りが増えます。通路や誘導が弱いと、車両・人の動線が詰まり、危険も増します。これらは事前の段取りと役割分担で、かなり防げます。
品質と安全を守る具体策(チェックリスト)
事前計画の要点
- 打設範囲・数量・厚みを再確認(出来形図と照合)。
- 配合計画書の確認:設計強度、スランプ、空気量、温度範囲。
- 配車計画:到着間隔の目安を7〜10分で仮置き(現場条件で調整)。
- 圧送計画:ポンプ車の能力と圧送距離、ホース径、待避場所。
- 人員配置:受入、バイブレーター(締固めの機械)、均し、仕上げ、記録の担当を明確化。
設備・資機材の確認
- バイブレーター本体+予備、延長コード、発電機の燃料。
- 打継ぎ処理材、金ゴテ・トンボ、レーザーやレベル(高さ管理)。
- 養生材:シート、散水設備、養生マット、風対策の重し。
- 安全:通路幅、手すり、立入禁止帯、合図用の無線や旗。
品質管理の要点
- 受入検査:スランプ、空気量、温度の測定と写真・記録。
- 打設順序:遠い所・狭い所から充填し、打継ぎ線を計画的に。
- 締固め:1か所に当てすぎない、挿入間隔は30〜40cm目安で均一に。
- 初期養生:打込み直後から乾燥風を避け、表面の保湿を開始。
当日の流れ(手順をはっきり)
- 朝礼・KY(危険予知)で役割と合図を共有します。誘導員と停止合図は必ず明確にします。
- ポンプ車設置と圧送ホースの支持を確認します。転倒・屈曲は避けます。
- 1台目の受入検査を行います。スランプ・空気量・温度は必ず測定します。
- 試験練りの結果を全員で共有し、必要なら配車間隔を微調整します。
- 打設開始。遠点から手前へ、狭い区画から広い面へ、流れを作ります。
- バイブレーターは垂直に静かに挿し、重ね幅を守ります。型枠への当てすぎは避けます。
- 打継ぎ部は事前計画の位置で区切り、レイタンス(薄い泥状)除去を徹底します。
- 仕上げは沈下を待ち、浮き水の処理後に段階的に行います。無理な押さえは避けます。
- 初期養生をすぐ開始します。風・直射日光・低温を避け、保湿を続けます。
- 記録を整理します。受入結果、写真、打設時刻、気温・天気、出来形を残します。
小さな現場例でイメージ(数量・配車の具体)
床スラブ200㎡、厚さ150mm、設計強度24、スランプ18cmの例です。数量は約30m³です。ポンプ車1台、配車20台前後、到着間隔8分で仮計画にします。圧送能力や搬入経路で前後します。
段取りは、遠点から3区画に分けて流します。1区画10m³を目安に、人員は受入2名、締固め2名、均し2名、仕上げ2名、記録1名です。気温25℃超なら散水設備とシートを先に配置し、仕上げの開始を遅らせます。
時間計画は、立上げ20分→安定流入60分→仕上げ着手60分→養生展開30分が目安です。渋滞や待機が出たら、誘導員が優先通路を作り、配車を一時スローにします。無理に押し切らず、流れを細く長く保ちます。
よくある注意点と対処(安全・品質)
- 高温期:コンクリ温度が高いと締まりが早いです。受入で温度確認し、散水・日陰・打設面の冷却を行います。
- 低温期:凍結に注意します。保温マットと夜間養生を準備します。初期強度が出るまで保温を続けます。
- 雨天:降雨予報ならシートを事前敷きし、雨脚が強い場合は延期も検討します。仕上げ直後の雨打ちは避けます。
- 型枠・支保工:沈下や緩みがあればすぐ止めます。締固めはやさしく、片押しを避けます。
- 動線安全:通路にホースを横断させない計画にします。合図は一元化し、迷ったら一旦停止します。
まとめと次アクション
- 段取りは「計画・人員・設備」を先に決め、当日は記録を確実に残します。
- 受入検査と初期養生は省きません。ここが品質の要です。
- 打設順序と打継ぎ位置は、遠点から計画的に。迷ったら停止・相談で進めます。
次の打設に向けて、自分の現場用チェックリストを作り、朝礼で共有してみてください。配車表と役割表を1枚にまとめると、当日の動きがぐっと楽になります。
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