コンクリート打設 段取りで失敗を減らす実務ガイド

結論から言うと、コンクリート打設 段取りは前日までの準備で八割が決まります。待ち時間を最小にして、品質と安全を両立させます。この記事では原因と具体策、当日の手順までを一気に整理し、すぐ現場で使える形にまとめます。

なぜトラブルが起きるのか(原因)

打設の乱れは、情報のズレと時間管理の甘さが主な原因です。配車(生コン車の到着計画)が曖昧だと、待ちや打重ね遅れが出ます。打込み順序が場当たりだと、締固め(バイブレータで空気抜き)や仕上げが追いつきません。気温や風の読みを外すと、スランプ(軟らかさ)や仕上がりにも影響が出ます。

具体策:打設計画を“時刻”で描く

打設計画書の要点

図面だけでなく、時系列の計画表を作ります。部位ごとの数量、打込み順序、各区画の所要時間を明記します。スランプ・空気量・呼び強度などの受入基準も書き、誰が判定するかを決めます。打継ぎ(止める境目)の位置と処置も図示します。

  • 数量とバケット/ポンプ能力(m³/h)から所要時間を算出
  • 生コン工場との配車間隔(例:15–20分)を確約
  • ピーク時の人員と予備要員を明確化
  • 品質基準:スランプ18±2cmなど、数値で統一

配車と人員の設計

ポンプ車(圧送機)の能力とホース長で実力値を見積もります。先頭は経験者、続く位置に新人を配置し、声かけ役を一名固定します。仕上げ隊と締固め隊の人数バランスを決め、交代要員を一人確保します。渋滞・遠距離のときは、遅延剤(硬化を遅らせる混和剤)の使用可否も事前に工場と握ります。

当日の手順:チェックから養生まで

受入検査と品質管理

到着したら、スランプ・空気量・温度を測り、受入可否を即断します。温度が高い日は、目標スランプより少し硬めを設定し、現場での加水は避けます。試験体(強度試験用の供試体)を必要本数採取し、記録は時刻入りで残します。ここで迷いが出ると後工程が崩れますので、判断役を一人に固定します。

  1. チケット照合(配合・数量・出荷時刻)
  2. スランプ・空気量・温度の測定と記録
  3. 供試体採取、番号管理

打込み・締固め・打重ね時間

打込みは高所からの落下を避け、ホース先端を常にコンクリート内に入れます。バイブレータ(内部振動機)は挿入間隔を30–40cm、1点5–15秒を目安に過振動を避けます。打重ね(前ロットと次ロットの接合)は初期硬化前、表面がまだ光るうちに行います。気温が高い日は短め(目安60分以内)、低い日はやや長めでも許容ですが、合図と記録を残します。

仕上げと養生

表面仕上げは、トロ(モルタル分)が上がったらタイミングよく鏝を入れます。打込みから仕上げまでの動線を確保し、行き止まりを作りません。養生(乾燥や温度から守る作業)は、散水やシートで保湿し、風が強い日は蒸発を抑えます。翌朝の点検でヘアクラック(微細なひび)を見つけたら、早期に樹脂や補修材で対応します。

実例:スラブ100m³、真夏日の段取り

数量100m³、ポンプ能力20m³/h、配車間隔15分の想定です。気温33℃、風速4m/s、日照強め。スランプは18cm設定で、出荷先に温度対策(遅延剤少量、骨材の散水冷却)を依頼しました。現場は仕上げ隊4人、締固め隊3人、誘導と記録2人で編成しました。

  • 08:00 受入検査開始、最初のロットは硬めを許容
  • 08:30 打込み開始、第一区画を連続で完了
  • 10:30 日射ピーク、配車間隔を20分に伸ばし過凝結を回避
  • 12:00 仕上げ着手、散水とシートで表面保湿
  • 14:30 打込み完了、最終仕上げと見回り

結果として、待ちとダマ(未締固め)を出さずに、打重ね時間も各区画50分以内で収まりました。配車の微調整と、品質判断の一本化が効きました。

注意点:天候・打継ぎ・安全

天候は前日と当日朝の二段で確認します。雨の恐れがある日は、表層のレイタンス(薄い弱層)対策として、雨筋の出ないシート掛けを準備します。強風時は蒸発が早いので、仕上げを急がず保湿を優先します。寒い日は温度補正(配合の温度管理)を工場と相談します。

打継ぎ部は、止める位置を剛性の高い場所に取り、再開時は表面を粗し洗いして付着を確保します。レイタンス除去と接着材の使用可否を決め、再打設の時刻を記録します。ポンプ詰まり時は無理押しをせず、逆圧抜きと清掃を確実に行います。いずれも手順書を用意し、全員で共有します。

安全面は、可動部近傍の立入を制限し、ホースの跳ねに注意します。足場や通路は先行で確保し、照明と誘導員を配置します。コールドジョイント(不完全な継ぎ目)を避けるために、無理な中断はしません。中断が必要なら、必ず計画した打継ぎ位置で止めます。

まとめ:明日の打設を安定させるコツ

  • 時系列で“誰が・いつ・どこを・どれだけ”を決める
  • 配車は能力に余裕を乗せ、現場で加水はしない
  • 受入検査は数値で即断、記録は時刻入り
  • 打重ねは光沢が残るうち、合図と記録を徹底
  • 仕上げと養生は風・日射を見て保湿を優先

まずは次回の打設で、時系列の計画表と判断役の一本化から始めてみてください。小さなズレが減り、仕上がりと段取りがぐっと楽になります。

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