床タイル数量拾いを最短で正確にする術
最近の現場でよくある課題が、床タイルの数量拾いのブレ。図面は同じでも、担当者によって積算結果が3〜8%ズレる。原因はロス率の設定があいまい、巾木や見切りの拾い漏れ、目地割付の前提不一致。このままだと予算が揺れて発注判断が遅れる。この記事では、施工管理の実務に直結する床タイルの数量拾いを、現場監督の視点で分解する。SEOキーワードは数量拾い、床タイル、内装工事、施工管理、積算、ロス率、拾い出し、歩掛。
施工方法と拾い出しのポイント
図面の押さえどころと面積の拾い方
スタートは仕上表と平面詳細図。床タイル範囲、タイル寸法、目地幅、割付方向、巾木の有無を確定する。面積は内法面積を基本に、開口やピット、柱型を差し引く。式は床タイル面積A=内法面積−開口−ピット−柱フーチング+必要な立上り分。割付図がない場合は、最長辺に対して基準通り芯を引く前提でロス率をやや高めに置く。
ロス率の設定と根拠
ロス率は平場の形状とタイル寸法で決める。目安は以下。300角で矩形かつ柱が少ない場合3〜4%、600角で矩形5〜7%、斜め壁や曲面が多い場合7〜10%。柱が多く分割が増えるなら1〜2%上乗せ。化粧見切りで割付固定の場合も上げる。根拠はカット歩留まりと搬入破損、予備在庫を含めた現実的な歩留まりだ。
巾木、見切り、伸縮目地の拾い出し
拾い漏れしやすい付帯部材は先にリスト化する。タイル巾木は高さと周長で拾う。巾木H100mmなら有効長はタイル長手からカット。見切り金物や見切りタイルは通り芯から長さを確定し、開口周りは四周で拾う。伸縮目地は躯体目地に合わせて直線長、交差部の専用部品は個数で拾う。
接着剤と下地調整の考え方
接着剤使用量はタイルサイズとコテピッチで変わる。一般的な内装工事の接着剤張りで、300角は2.0〜2.5kg㎡、600角は2.8〜3.5kg㎡。下地は不陸3mm以内を目安にレベリング材を別途計上。養生材も平場で200〜400円㎡を見込んでおくと予算ぶれが減る。
事例で学ぶ数量拾いとコスト試算
ケーススタディとして、オフィスフロア350.0㎡、床タイルは600角、目地3mm、接着剤張り、タイル巾木H100mm、伸縮目地は10m×2本とする。内法面積350.0㎡、機械ピットとPSで7.2㎡、柱8本×0.30㎡で2.4㎡。平場有効A=350.0−7.2−2.4=340.4㎡。形状は矩形で柱あり、600角なのでロス率6%採用。発注面積は340.4×1.06=360.8㎡。
タイル枚数はモジュール603mm想定の枚数係数で計算。1㎡あたりの枚数n=1000÷603の二乗≒2.75枚㎡。よって平場の枚数は360.8×2.75=992.2枚、端数切上で993枚。巾木は周長を90.0mと仮定。巾木は600mm長をカットしてH100mmで使用するため、必要枚数は90.0÷0.6=150枚、ロス5%で158枚。
伸縮目地は20.0m、見切り金物はガラス間仕切り沿いで15.0mを想定。接着剤は600角で3.0kg㎡として、360.8㎡×3.0=1082.4kg。20kg袋で55袋。歩掛は600角接着剤張りで18〜22㎡人日、標準20㎡人日。よって人員工数は360.8÷20=18.0人日。3人班で6日、予備1日を見込む。
概算コストは材料と施工で試算。材料単価は600角一般品で4,200円㎡、接着剤と付属材込みで+600円㎡、計4,800円㎡。施工単価は4,500円㎡を仮置き。総額は360.8㎡×(4,800+4,500)=360.8×9,300=3,355,440円。養生は300円㎡として108,240円。合計約3,463,680円。現場条件で前後するが、積算根拠をここまで明示すれば発注前の合意が取りやすい。
数量拾いチェックリストと手順
- 仕上表で床タイル種類、サイズ、目地幅、巾木有無を確定
- 平面詳細図で範囲線を引き、内法面積を確定
- 開口、ピット、柱型を面積から差引き、残面積を算出
- 割付方向と基準通り芯を決め、ロス率を3〜10%で設定
- 巾木の周長を拾い、タイル長手からのカット前提で枚数試算
- 見切り金物、伸縮目地、ドア下端の見切収まりを長さで拾う
- タイル枚数はモジュール寸法で係数化して算出
- 接着剤使用量はサイズ別係数で袋数換算、下地調整材も別途
- 歩掛で人日を出し、班構成と工期、養生期間を計画
- 拾い表に前提条件とロス率根拠を必ず明記し、発注側と共有
まとめ 明日から使えるTips
数量拾いはセンスではなく手順。割付が出ていない場合はロス率を高めに設定し、後で割付図が確定したら即見直す。巾木は長手600mmを前提に拾うと過不足が出にくい。枚数は実モジュールで係数化すると早い。歩掛はサイズ別に基準値をチームで統一する。最後に、拾い出しの前提条件を一枚にまとめ、積算シートに紐付けておくと説明負担が激減する。施工管理の品質は積算の精度から。今日の現場でぜひ試してほしい。
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