足場の朝顔の設置基準|10m以上で1段・20m以上で2段、根拠は要綱第23

01 仮設工事|施工中

  1. 段取り:安全パトロールで言われること【足場編】
  2. 施工中:この記事
  3. トラブル対処:棚足場の失敗

足場の朝顔の設置基準は、工事部分が地盤面から10m以上で1段以上、20m以上で2段以上、はね出しは水平2m以上・角度20度以上で、根拠は公衆災害防止対策要綱(建築工事等編)第23第2項です。

使いながらの改修工事で、外部足場の計画図を見ていた新人のルーに聞かれた場面から始めます。

ルー

この建物の高さなら、朝顔っていらないですよね? なのに計画図だと、出入口の上だけ付いてるんです。

Kony

うん、高さ的には要らない規模なんだ。でも使いながらの工事で、ここは職員さんの出入口の上だからね。

ルー

そもそも「何mから要る」って、何の法律に書いてあるんですか? 調べたら記事ごとに違う条文が出てきて…。

テツさん

名前は朝顔でも、花は咲かねえからな。どの段に付けるかだけは先に決めといてくれよ。

Kony

じゃあ根拠の条文から一緒に見よう。数字は全部、国交省の要綱に書いてあるんだ。

結論

  • 朝顔の正式な言葉は「防護棚」。工事をする部分が地盤面から10m以上なら1段以上、20m以上なら2段以上。最下段は工事部分の下10m以内、はね出しは水平距離で2m以上・角度20度以上・すき間なし。
  • この数値は建築基準法でも労働安全衛生規則(安衛則)でもなく、国交省の「建設工事公衆災害防止対策要綱(建築工事等編)第23第2項」に書いてある。
  • 対象になるのは「隣家・道路など一般の人が使う場所が、工事部分からふ角75度を超える範囲か水平5m以内にあるとき」。ふ角は一般に水平面から下向きに測る角度のことで(要綱に定義は書かれていない)、75度を超えるのはほぼ真下に近い範囲。高さ的には段数の定めに当たらない規模でも、僕の改修の現場では出入口の上に付けた。

目次

足場の朝顔とは|正式には「防護棚」

朝顔は、外部足場の外側に斜め上へ張り出して、上から落ちてきた資材や工具を受け止める棚のことで、正式な言葉は「防護棚」です。「朝顔」は現場での呼び名で、基準の文書にはこの語は出てきません。計画図や基準を調べるときは「防護棚」で引くと、目当ての条文にたどり着けます。

守る相手は、足場の上の作業員ではなく、足場の下や周りを通る隣家の人・歩行者・車など一般の人です。作業員の墜落を防ぐ手すりや作業床の決まりとは目的が別なので、足場全般の安全については安全パトロールで言われること【足場編】にまとめています。

どの朝顔を使うかは、足場業者の計画と製品の仕様で決まります。

僕はビルの現場で朝顔を付けたとき、朝顔同士のすき間がないように納めました。すき間がないことは、要綱にも決まりとして書いてあります。

朝顔の設置基準|10m以上で1段、20m以上で2段

設置基準の答えは、工事をする部分の地盤面からの高さが10m以上なら1段以上、20m以上なら2段以上です。ただし、どの現場にも一律に付くわけではなく、まず「周りに一般の人が使う場所があるか」という条件で対象かどうかが決まります。

対象になる条件:ふ角75度を超える範囲か、水平5m以内

要綱は、工事をする部分からふ角75度を超える範囲、または水平距離5m以内に、隣家や一般の交通その他の用に使われている場所がある場合に、防護棚等を設けるとしています。隣家や歩道・道路、建物の出入口がこの範囲に入るかを、まず配置図で確かめます。

段数と最下段の位置

条件に当たる場合、段数は地盤面からの高さが10m以上で1段以上、20m以上で2段以上です。地盤面は、ここでは高さを測るときの地面の基準の高さのことです。どの高さを基準に測っているかは足場業者の計画図で確かめ、迷えば監理者・元請の安全担当に確認してください。

そして最下段は「建築工事等を行う部分の下10m以内」に設けます。作業位置から10mより下に最下段が離れてはいけない、という決め方です。

次の表は、要綱 建築工事等編の数値を1枚にまとめた早見表です。足場業者の計画図が来たら、この表の行を上から順に照らしてください。

項目数値・内容要綱 建築工事等編の条・号
対象になる条件工事部分からふ角75度を超える範囲、または水平5m以内に、隣家・一般の交通等の場所がある第23第2項
段数地盤面からの高さ10m以上で1段以上、20m以上で2段以上第23第2項第一号
最下段の位置建築工事等を行う部分の下10m以内第23第2項第二号
構造すき間がないもの。落下のおそれがある資材等に対し十分な強度・耐力第23第2項第三号
はね出し水平距離で2m以上突出第23第2項第四号
角度水平面となす角度20度以上。風圧・振動・衝撃・雪荷重等で脱落しないよう骨組に堅固に取付け第23第2項第四号
最下段の省略外部足場の外側に水平2m以上の幅の防護構台を設けた場合、最下段の防護棚は省略できる第24第1項
足場の覆い鉄網・帆布・メッシュシート等で覆う、または同等以上の防護措置第24第2項
道路上空に出すとき道路管理者と所轄警察署長の許可、協議に基づく安全対策第24第4項
(参考)建基令136条の5・安衛則537条落下物への措置を求めるが、段数・2m・20度の数値はない—

朝顔の数値を定めているのは国の要綱(国土交通省の告示)で、本文は「防護棚等を設置しなければならない」と書いています。要綱に従わなかったときの罰則の有無は、僕は条文で確かめられていないので書きません。自分の現場での扱いは、元請の安全担当・監理者に確認してください。

要綱の正式な名前は「建設工事公衆災害防止対策要綱」で、建設業法 第25条の27第2項にもとづいて、令和元年9月2日の国土交通省告示第496号で定められました。要綱は国が定めた取り決めで、法律や政令・省令そのものではありません。告示は、国の機関が決めたことを公に知らせる形式のことです。数値は建築工事等編の第23第2項にあり、建築基準法や安衛則ではない、という位置づけを押さえておくと、上位の記事の条文の食い違いに振り回されなくなります。

建築基準法の側では、建築基準法施行令(以下、建基令)第136条の5が工事現場の落下物について定めています。第1項は、境界から水平5m以内で地盤面から3m以上の所からくず・ごみ等を投下するときの飛散防止、第2項は、境界から水平5m以内で地盤面から7m以上にあるときなどに、国土交通大臣の定める基準に従って鉄網・帆布でおおう等の措置を求めるものです。措置そのものは求めていますが、「10mで1段」「2m」「20度」という数値はこの条にはありません。

また、要綱 建築工事等編は、建築物の建築だけでなく修繕・模様替・除却の工事にも適用されます。改修工事でも、周りの条件と高さが当てはまれば対象です。

朝顔(防護棚)は要る?何段?の判定フロー 工事部分からふ角75度を超える範囲か水平5m以内に隣家や一般の人が使う場所があるかで要綱第23第2項の対象かを判定する。対象なら地盤面からの高さ10m未満は段数の定めがなく、人の出入りや通路の上は付けるか検討する。10m以上で1段以上、20m以上で2段以上。最下段は工事部分の下10m以内、外側に幅2m以上の防護構台があれば最下段は省略可。各段は水平距離2m以上突出、20度以上、すき間なし。道路上空に出るなら道路管理者と所轄警察署長の許可。足場の覆いや建基令136条の5の措置は別に確認する。 ① 隣家・道路など一般の人が使う場所が 工事部分から ふ角75度超 か 水平5m以内 にある? いいえ 要綱 第23第2項の 対象外 はい ② 工事部分の地盤面からの高さは? 10m未満 10m以上 20m以上 段数の定めなし 人の出入り・通路の上は 付けるか検討 (元請の安全担当・ 監理者に確認) 1段以上 2段以上 ③ 最下段は工事部分の下10m以内 外側に幅2m以上の防護構台があれば最下段は省略可 ④ 各段:水平距離2m以上突出・20度以上・すき間なし ⑤ 防護棚が道路上空に出る? はい 道路管理者と所轄警察署長の許可 根拠(建築工事等編) ①〜④ 要綱 第23第2項 ③の省略 第24第1項 ⑤ 第24第4項 どの枝でも別に確認: 足場の覆い(第24第2項) 建基令136条の5の措置
図1 朝顔(防護棚)の判定フロー。国土交通省「建設工事公衆災害防止対策要綱(建築工事等編)」第23第2項・第24をもとに Konylog が作図。

図1の②で10m未満になっても、それは第23第2項第一号の段数の定めに当たらないというだけです。同じ要綱の第24第2項の足場の覆い(メッシュシート等)や、建基令136条の5の措置は別にあるので、その条件は別に確認してください。人の出入りや通路の上をどうするかは、元請の安全担当・監理者と決めてください。

はね出し2m・角度20度・最下段・すき間の決まり

朝顔1段ごとの決まりは、水平距離で2m以上突出させること、水平面との角度を20度以上にすること、すき間のないものにすること、そして風圧・振動・衝撃・雪荷重等で脱落しないよう骨組に堅固に取り付けることです。どれも要綱 第23第2項の第三号・第四号に書いてあります。

「2m以上」は、原文では「水平距離で2メートル以上突出させ」と書かれています。斜めの板の長さではなく水平距離なので、角度を立てるほど、同じ長さの部材でも水平の出は短くなります。どこを起点に測るかは要綱の文に書かれていないので、計画図の寸法の取り方を足場業者に確認してください。

朝顔(防護棚)の断面と寸法の決まり 建物の外壁の外側に外部足場があり、その外側に防護棚が斜め上へ突き出している断面図。防護棚は水平距離で2m以上突出、水平面との角度20度以上。寸法の起点は計画図で確認。最下段は工事部分の下10m以内。工事部分からふ角75度の線と水平5mの範囲を示し、範囲内に歩道がある例。縮尺なし。 地盤面 建物 外部足場 工事部分 防護棚(朝顔) 20°以上 水平距離2m以上突出 (起点は計画図で確認) 10m 以内 ふ角75度 水平5m 歩道 ← 範囲内にある例 段数(地盤面からの高さ) 10m以上 → 1段以上 20m以上 → 2段以上 すき間なし・堅固に取付け (縮尺なし)
図2 防護棚(朝顔)の断面と寸法の決まり(縮尺なし)。国土交通省「建設工事公衆災害防止対策要綱(建築工事等編)」第23第2項をもとに Konylog が作図。

最下段は「工事部分の下10m以内」

最下段の位置は、地上からの高さではなく、建築工事等を行う部分から下へ10m以内と決められています。工事をする部分が上へ移れば最下段との距離も変わるので、工程と合わせて見ておきます。なお、外部足場の外側に水平2m以上の幅の防護構台(荷重及び外力に十分耐える構造のもの)を設けた場合は、最下段の防護棚を省略できます(第24第1項)。

すき間なし、強度は計画図と製品で確かめる

ビルでは、朝顔同士のすき間ができないように付けました。足場の覆い(鉄網・帆布・メッシュシート等)も要綱の第24第2項で求められているので、朝顔とあわせて計画図で見ます。

はね出しの部材は、特別に作った物ではなく、足場の幅より少し大きい規格品を使いました。規格品を使う場合でも、水平の出が2m以上あるかは、計画図と製品の寸法で一つずつ確かめてください。

防護棚の強度・取付け方法(骨組への緊結、風・雪への耐え方)は、足場業者の計画と製品の仕様で決まります。足りているかの判断は、元請の安全担当・監理者に確認してください。足場そのものの構造は、構造設計者・監理者に確認してください。

足場の高さの計画で僕が失敗した話は棚足場の失敗に書いています。朝顔の段の位置も、足場の高さの計画とセットで見ておきます。

よくある誤解|「安衛則563条」「地上から10m」は違う

結論:数値の根拠は要綱(建築工事等編 第23第2項)です。

朝顔の基準を調べると、根拠として建基令136条の5・安衛則563条・537条・建基令128条の2などが挙がっていますが、10m・20m・2m・20度の数値はどれにもありません。上位の記事でよく見る取り違えを、原文で確かめた結果と並べます。

よく見る説明原文で確かめたこと
数値は建基令136条の5で決まっている136条の5第2項は鉄網・帆布でおおう等の措置を求める条。段数・2m・20度の数値はない
安衛則563条に朝顔の基準がある563条は「作業床」の条。防護棚・二十度・十メートルの語はない
設置義務の根拠は安衛則537条537条は、物体の落下で労働者に危険があるとき防網の設備や立入区域の設定などを求める一般規定。数値はない
根拠は建基令128条の2128条の2は「大規模な木造等の建築物の敷地内における通路」の条。落下物・防護棚の語はない
1段目は地上から10m以下要綱の文は「建築工事等を行う部分の下10メートル以内」。基準は地上ではなく工事部分
要綱の版現行は令和元年9月2日 国土交通省告示第496号

敷地内の通路の条文で朝顔を探すのは、植物図鑑で単管を探すようなものです。条番号が出てきたら、その条の見出しだけでも e-Gov で開いて確かめる癖をつけると、こうした取り違えにはまず引っかかりません。

高さ的には要らなくても付けた|改修工事での僕の判断

僕のこの改修の現場では、高さ的には(段数の定めの上では)要らない規模でしたが、使いながらの工事で職員さんの出入口の上だったので、朝顔を付けました。

要綱の段数の定めは地盤面から10m以上からで、その現場はそこに当たらない規模でした。それでも、建物を使いながらの工事だったので、危険がないように付けました。付けた場所は、職員さんが使う出入口の上です。

判断の分かれ目は、図1の②で10m未満になったあとです。段数の定めがなくても、人の出入りや通路がある所の上は、付けるかどうかを検討することになります。

段数の定めに当たらない高さで朝顔を付けるか、ほかの方法で対応するかは、現場ごとの判断です。元請の安全担当・監理者に確認して決めてください。足場の覆い(要綱 第24第2項)や建基令136条の5の措置が要るかも、あわせて確認してください。

使いながらの工事では、建物を使う人や隣家への説明も欠かせません。足場を建てる前の挨拶の段取りは工事の近隣挨拶にまとめています。

道路にはみ出すとき・外すとき

防護棚が道路の上空に出るときは、道路管理者と所轄警察署長の許可を受け、協議にもとづく安全対策をとる必要があります(要綱 第24第4項)。水平距離で2m以上突出させるので、朝顔の先端が道路にかかるかを計画図の段階で確かめます。許可の申請手順は、所轄の道路管理者・警察署の窓口で確認してください。

外す時期は、僕の現場では足場の解体のときでした。足場を上からばらしていき、朝顔の段まで来たところで朝顔を外しました。

解体時の墜落防止と、下の立入禁止は、足場の解体計画(足場業者・元請の安全担当)に従ってください。

よくある質問

朝顔の正式名称は?

「防護棚」です。国土交通省の公衆災害防止対策要綱では「防護棚」と書かれていて、「朝顔」という語は出てきません。

朝顔と防護棚は違うものですか?

要綱が使う言葉は「防護棚」です。現場で呼び名が違っても、計画図に載っている物が要綱の数値を満たしているかで見てください。

何mから朝顔が必要ですか?

工事部分からふ角75度を超える範囲か水平5m以内に、隣家や一般の人が使う場所がある場合に、地盤面からの高さが10m以上なら1段以上です(要綱 建築工事等編 第23第2項第一号)。

20mを超えたら何段ですか?

20m以上なら2段以上です。あわせて、最下段は工事部分の下10m以内に置きます。

はね出しの長さと角度は?

水平距離で2m以上突出、水平面となす角度20度以上です(第23第2項第四号)。

1段目は地上から何mに付けますか?

要綱は地上からの高さでは決めていません。「建築工事等を行う部分の下10メートル以内」に最下段を置く、という決め方です。

安衛則に朝顔の基準はありますか?

安衛則537条は、物体の落下で労働者に危険があるとき防網の設備などを求める一般規定で、段数・2m・20度の数値はありません。数値は要綱の第23第2項にあります。

改修工事でも朝顔は要りますか?

要綱 建築工事等編は修繕・模様替の工事にも適用されるので、周りの条件と高さが当てはまれば要ります。高さが10m未満で段数の定めに当たらない場合でも、人の出入りや通路の上は付けるか検討し、元請の安全担当・監理者に確認してください。僕の改修の現場では、職員さんの出入口の上に付けました。

朝顔はいつ外しますか?

僕の現場では、足場の解体で上からばらしていき、朝顔の段まで来たときに外しました。外す時期と解体時の安全は足場業者の解体計画で決まるので、元請の安全担当とも確認してください。

計画図が来たらこの順で確認

  1. 配置図で、隣地・道路・出入口が工事部分から水平5m以内か、ふ角75度を超える範囲に入るかを見る。
  2. 工事部分の地盤面からの高さで段数を見る(10m以上で1段以上、20m以上で2段以上)。
  3. 最下段が工事部分の下10m以内か、各段が水平距離2m以上突出・20度以上・すき間なしかを見る。
  4. 道路上空に出るか、出入口・通路の上がどうなっているかを見る。
  5. 足りない所や読めない所があれば、足場業者と監理者に確認する。

参考にした基準・資料

  1. 国土交通省「建設工事公衆災害防止対策要綱」令和元年9月2日 国土交通省告示第496号、前文・建築工事等編 第1章 第2、第23第2項(第一号〜第四号)、第24第1項・第2項・第4項。https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/content/001304729.pdf(閲覧日 2026-10-25)
  2. 建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第136条の5第1項・第2項、第128条の2。e-Gov 法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/325CO0000000338(閲覧日 2026-10-25 時点の現行条文)
  3. 労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)第537条、第563条。e-Gov 法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/347M50002000032(閲覧日 2026-10-25 時点の現行条文)

この記事の確認日:2026年10月25日

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