工事の近隣挨拶はどこまで回る?範囲の決め方と持ち物・伝えること

着工準備:近隣挨拶はどこまで回る?範囲と苦情対応 00 着工準備

工事の近隣挨拶の範囲は、両隣で決め打ちせず、工事の種類と規模で決めます。解体工事のように音が出る工事はある程度広く回り、内装工事ならそもそも行かないこともあります。挨拶では「この工事をこの期間でやっていきます」と連絡先を伝え、苦情が来たら、している対策を伝えて、やり方を変えるところまで丁寧に対応します。

00 着工準備|段取り

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着工1週間前の詰所で。

ルー

近隣挨拶って、両隣だけでいいですよね?

Kony

それは工事によるかな。範囲は工事の種類と規模で変えるんだ。

ミサキさん

解体みたいに音が出る工事なら、両隣だけだと足りないよね。

ルー

じゃあ内装工事でも、広く回るんですか?

Kony

内装なら、そもそも行かないこともあるよ。今日は範囲の決め方、伝えることと持ち物、苦情が来たときの順番で話すね。

この記事で分かること

  • 近隣挨拶をどこまで回るかの決め方(工事の種類と規模)
  • 挨拶で伝えること・持って行く粗品・そのまま使える例文の型
  • 苦情が来たときの対応と、それを現場のルールに変えるやり方

近隣挨拶の範囲は、工事の種類と規模で決める

僕は近隣挨拶の範囲を、毎回工事の種類と規模で決めています。解体工事のように音が出る工事は、ある程度広く回ります。逆に内装工事では、そもそも挨拶に行かないこともあります。「両隣と向かい」のような決まった範囲があるわけではなく、音や工事の影響がどこまで届くかで考えます。

向かい 向かい 向かい 道路 工事の敷地 (ここが音の出どころ) 隣接 隣接 裏 斜め裏 斜め裏 破線の外:音が出る工事はさらに広げる まず隣接 向かい・裏 その外側 工事の種類と規模で どこまで広げるか決める
図1近隣挨拶の範囲の考え方(模式図。家の数や距離の目安ではありません)

僕が工事の種類ごとに考えていることを表にすると、次のようになります。解体工事では苦情が来たことが何回もあるので、範囲は広めに取ります。内装工事は建物の中の作業が中心なので、行かないこともあります。

工事の種類近隣への影響挨拶の考え方
解体工事音が出る。僕の現場では苦情が何回も来たある程度広く回る
新築・増築など規模と作業の内容で変わる隣接から始めて、工事の規模に合わせて広げる
内装工事建物の中の作業が中心そもそも行かないこともある

挨拶とは別に、法律の届出が要る作業もあります。騒音規制法と振動規制法では、指定地域で「特定建設作業」を行うときは、作業を始める日の7日前までに市町村長へ届け出ることになっています(騒音規制法第14条・振動規制法第14条、環境省の案内による)。どの作業が当たるか、どこが指定地域かは自治体で変わるので、着工前に自治体の窓口で確認してください。内装解体ならアスベストの事前調査も着工前の段取りに入ります(内装解体前のアスベスト事前調査)。

近隣挨拶で伝えることと、持って行く粗品

挨拶で僕が伝えるのは、「この工事をこの期間でやっていきます」ということです。何の工事を、いつからいつまでやるのかが分かれば、相手は心の準備ができます。あわせて、作業する時間帯と、困ったときにかける現場の連絡先を伝えます。

粗品は、僕はタオルを持って行きます。渡して終わりにせず、その場で工事の期間と連絡先を伝えます。不在の家への渡し方や、何軒分用意するかは、回る範囲を決めてから数えます。

近隣挨拶の例文(工事の挨拶文の型)

口で伝えるときも、ポストに入れる挨拶文でも、中身は同じ型で作れます。下の( )を自分の工事に置き換えて使ってください。工事名や会社名は、実際の挨拶文では正式なものを書きます。

FIELD NOTE例文の型

このたび、(場所)で (工事の種類) を行います。

→ 工事期間は(開始日)から(終了日)までの予定です。

→ 作業は(作業する時間帯)に行います。(音が大きい作業がある時期)は、ご迷惑をおかけします。

→ お気づきの点があれば、現場の(担当者)までご連絡ください。連絡先:(現場の電話番号)

例文で外せないのは、「この工事をこの期間で」と「連絡先」の2つです。何がいつまで続くのかと、誰に言えばいいのかが分かれば、相手も困ったときに連絡しやすくなります。

苦情が来たときの対応:している対策を伝えて、やり方を変える

苦情を受けたら、僕はまず、今している対策を伝えます。そのうえで「それでも大きかったなら、やり方を変えてみます」と丁寧に説明します。いきなり言い訳をしたり、話を終わらせようとしたりしないことが大事です。

逆効果なのが、「大丈夫でしょう」と返すことです。こちらは安心させるつもりでも、相手には「困っていることを軽く見られた」と伝わります。僕はこの一言で相手を逆上させてしまった例を見て、よくないと思いました。

STEP 1 苦情を受けるまず聞く STEP 2 している対策を伝える STEP 3 大きいならやり方を変える STEP 4 現場のルールにする STEP 5 記録して共有する ×「大丈夫でしょう」で話を終わらせない(相手を逆上させることがある)
図2苦情を受けてから現場のルールにするまでの流れ(STEP 3 が監督の判断どころ)

言われたことは、現場のルールにして守る

苦情は、その場で謝って終わりにせず、現場のルールに変えます。僕の現場では、朝8時前の騒音をやめてほしいと言われたことがありました。そこで「搬入は朝礼が終わってから」を現場のルールとして徹底しました。

朝の搬入を少し後ろにずらしても、工程にはそれほど響きませんでした。ルールにしたら、搬入に来る業者さんにも守ってもらう必要があるので、徹底するところまでが監督の仕事です。

搬入は朝礼の後。決まってれば、こっちも合わせるよ。テツさん(職長)

法律で決まっている作業時間もあります。騒音規制法の特定建設作業では、たとえば第1号区域では午後7時から翌日の午前7時までの作業、日曜日その他の休日の作業が原則として認められていません(環境省告示「特定建設作業に伴って発生する騒音の規制に関する基準」)。区域の指定や条例の上乗せは自治体ごとに違うので、作業時間を決める前に自治体の窓口で確認してください。

なぜ監督のほうが折れるのか

苦情を言われたとき、理不尽に感じることもあります。それでも僕は、こちらが折れて下手に出るのが、トラブルにしない秘訣だと思っています。揉めてしまうと、工事を発注してくれたお客さんに迷惑がかかるからです。

監督が近隣と付き合うのは工事期間だけです。でもお客さんは、引渡しの後もずっとその近隣と付き合っていきます。工事中の揉めごとは、監督がいなくなった後もお客さんに残ります。

Konyの現場メモ

丁寧に対応しているうちに、近隣の方と仲良くなったことがあります。「あなたがいてくれるなら安心」と言ってもらえて、現場を出るときには「いなくなるのは寂しい」と言われました。

近隣挨拶の準備物チェックリスト(印刷して使う)

着工の2週間前までに一度通しておくと、挨拶にも届出にも間に合います。現場によって要らないものは消して使ってください。

  • ☐ 工事の種類と規模から、回る範囲を決めた(図1)
  • ☐ 回る家の一覧を作った
  • ☐ 挨拶文を作った(工事の種類・期間・作業時間・連絡先)
  • ☐ 現場の連絡先(電話番号・担当者)を決めた
  • ☐ 粗品(タオル)を回る数だけ用意した
  • ☐ 特定建設作業の届出が要るか、自治体の窓口で確認した(要るなら作業開始の7日前まで)
  • ☐ 苦情を受けたときの返し方(している対策を伝える・やり方を変える)を、現場の人と共有した

近隣挨拶は、範囲を決めて、この工事をこの期間でやると伝えるところから始まります。苦情が来ても、している対策を伝えて、やり方を変えて、現場のルールにすれば、トラブルにはなりにくくなります。着工の2週間前までに、工事の種類から回る範囲を決めて、挨拶文と連絡先を用意しておきましょう。

次に読む

参考にした基準・資料

  1. 環境省「特定建設作業の実施の届出(騒音規制法)」騒音規制法第14条第1項・第2項:作業開始の7日前までに市町村長へ届出
  2. 環境省「特定建設作業の実施の届出(振動規制法)」振動規制法第14条第1項・第2項:作業開始の日の7日前までに市町村長へ届出
  3. 環境省「特定建設作業に伴って発生する騒音の規制に関する基準」(昭和43年厚生省・建設省告示第1号、最終改正 平成27年環境省告示第66号)第1号区域の夜間(午後7時〜翌午前7時)の作業、日曜日その他の休日の作業の制限

規制の区域・対象作業・条例の上乗せは自治体によって違います。実際の工事では、自治体の窓口で最新の内容を確認してください。

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