18 内装下地工事|段取り
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壁のスタッド、ほぼ立ち終わりましたね。明日から天井の下地も組めますか?
天井の上に、設備の吊り物がまだ残ってるだろ。入れるもんを先に入れてからにしろ。
後から入れても、吊りボルトをちょっとずらせばいいですよね?
壁際に寸切が垂れてみろ。高所作業車が寄れなくなるぞ。
……メモしました。
軽天は、施工する順番が大事なんだ。壁、設備、天井の順に、何を誰と決めておくかを並べていこう。
この記事で分かること
- 軽天(LGS)の壁下地と天井下地を、設備と干渉させずに組む順番
- 下地に着手する前に、軽天屋さん・ボード屋さん・設備屋さん・監理者と決めておくこと
- 計画書に書く寸法の目安(公共建築工事標準仕様書 令和7年版の数値)
軽天工事は「壁、設備、天井」の順に並べると迷わない
軽天工事は、軽量鉄骨(LGS)で壁と天井の骨組みを作る工事です。ボード屋さんが貼る前の下地なので、ここで決めた順番が、そのあとの設備工事とボード工事の順番をそのまま決めてしまいます。
数年前に担当した新築の現場で、僕は軽天まわりの流れを手書きのメモに残していました。外周の壁から始めると、軽天屋さんがランナーとスタッドを組み、外周にグラスウールを入れ、ボード屋さんが壁ボードを貼ります。そのあとで電気・設備が天井内の配管や配線を通し、軽天屋さんが天井の下地を組み、最後にボード屋さんが天井ボードを貼る。この順番です。
建物に界壁(住戸や区画を分ける壁や耐火壁)がある場合は、そこから先に下地を組んで、ボード屋さんが貼り出せるようにします。もう一つ、壁を貼ってから天井を貼る、というのも決まり事として書き留めていました。
軽天まわりの順番(外周壁の例)
壁の下地 → グラスウール → 壁ボード → 天井内の設備 → 天井の下地 → 天井ボード
図の青い棒が設備の先行です。天井の下地は吊りボルトの間隔が決まっていて、ダクトなどで間隔が900mmを超える所は補強が要ります。設備の位置を知らないまま下地を組むと、補強を足すか、組み直すかのどちらかになります。
下地に着手する前に、順番ごとの「決めること」を表にする
順番が決まったら、次は「どの節目で、誰と、何を決めるか」を書き出します。日数は現場ごとに違うので、ここでは作業の節目で並べました。
| 節目 | 決めること・やること | 話す相手 |
|---|---|---|
| 天井内の設備工事に着手する前 | まず下地を建てる順番を決めます。基本は界壁から。設備の天井吊りの機器は寸切りを垂らすので、界壁の施工ができるように、界壁の内外1m程度は何もない状態が望ましいです。 | 軽天屋さん、設備屋さん |
| 壁下地の前 | 設備屋さんと調整しながら、どの壁から施工するのかを確認する。出入口まわりの補強、便器や洗面台の下地補強の位置を図面で拾う | 軽天屋さん、設備屋さん |
| 壁ボードの前 | 外周のグラスウールを入れる。壁の裏に化粧ボードを貼る所は、キッチンなどの据付前に先に貼る範囲を決める | ボード屋さん、設備屋さん |
| 天井下地の前 | 天井内の吊り配管・ダクト・配線の先行を終える。壁際に寸切(吊りボルトの余長)が垂れる所は、高所作業車が寄れるか見る。点検口の位置を決める | 設備屋さん、電気屋さん、軽天屋さん |
| 天井ボードの前 | 壁ボードが貼り終わっているか確かめる。一般的な段取りとして、天井内の配管・配線を監理者に見てもらってから閉じる | ボード屋さん、監理者 |
表の「壁ボードの前」は、見落としやすい行です。僕のメモには、壁の背面が化粧ケイカル板になる所は、キッチンを据える前に見切りを止めて先に貼る、と書いてあります。据え付けたあとでは貼れないので、設備屋さんの据付日から逆算して決めます。
計画書に書く寸法は、特記がなければ標仕の数値に合わせる
軽天の寸法や間隔は特記仕様書が優先で、特記がなければ公共建築工事標準仕様書(標仕)の数値になります。ここでは令和7年版の14章4節(天井)・5節(壁)で確かめた値を並べます。数量の拾い方はLGS・PB数量拾い完全ガイドとLGS天井の数量拾いと施工管理術に書いたので、ここでは段取りに必要な寸法だけにします。
| 部位 | 項目 | 標仕の標準(特記がない場合) |
|---|---|---|
| 壁 | スタッドの種類(高さ区分) | 50形:2.7m以下(ボード片面張りのみ)/65形:4.0m以下/90形:4.0m超4.5m以下/100形:4.5m超5.0m以下。5.0m超は特記 |
| ランナの固定 | 端部を押さえ、900mm程度の間隔で打込みピン等 | |
| 振れ止め | 床面ランナ下端から約1.2mごと。上部ランナ上端から400mm以内にあれば省略できる | |
| スペーサ | 各スタッドの端部を押さえ、600mm程度の間隔 | |
| スタッドの間隔 | 下地張りあり:450mm程度/ボード直張り:300mm程度 | |
| 天井 | 吊りボルト・野縁受け・インサート | 900mm程度の間隔。周辺部は端から150mm以内 |
| 野縁の間隔 | 下地張りあり:360mm程度(ダブル野縁1,800mm程度)/ボード直張り:300mm程度(同900mm程度) | |
| 吊りボルトが900mmを超えるとき | ダクト等で間隔が900mmを超える場合は補強を行う。補強方法は特記 | |
| 天井のふところ | 1.5m以上は施工用補強部材で吊りボルトを補強(水平補強は縦横1.8m程度、斜め補強は3.6m程度)。3mを超える場合は特記 |
スタッドの高さに高低がある壁は、高い方の区分を使います。同じ階でも、梁下の高さで区分が変わる壁が出てくるので、下地高さの測定結果と並べて確かめます。
RC造の天井なら、吊りボルトを受けるインサートは型枠を組むときに配置するのが標仕の定めです(14.4.4)。つまり、天井の吊り位置は躯体の型枠の段階で決める話になります。鉄骨造なら、溶接などの適切な工法で取り付けます。ダクトなどで躯体に直接つりボルトを付けられない所は、アングル等の鋼材を別に設けて取り付けます。
この節(14章4節)は、特定天井、天井面構成部材等の単位面積当たりの質量が20kg/m2を超える天井、傾斜・段差・曲面の天井、システム天井を適用から除いています。耐震性や耐風圧性を考えた補強も特記によります。
これらは構造の性能に関わります。現場監督の判断で済ませず、監理者に報告して、必ず構造設計者・監理者の指示を仰いでください。
協力会社と監理者に、先に話しておくこと
軽天屋さんには、下地の高さを測りに来る日と、壁と天井の組む順番を先に伝えます。測る前に順番が決まっていれば、スタッドの種類も一緒に決められます。
ボード屋さんとは、界壁を先に組んで貼り出す順番と、壁を貼ってから天井を貼る順番を確かめます。壁ボードが貼れる状態になる日が、そのまま軽天屋さんの締切になります。
設備屋さん・電気屋さんには、天井内の先行をいつまでに終えるかを頼みます。あわせて、吊りボルトの寸切を壁際のどこまで垂らすかを聞いておきます。高所作業車が寄れなくなると、そのあとの作業が危なくなるからです。
監理者には、スタッドの種類、ダクト開口まわりの補強、天井の補強が特記にあるかを確かめます。標仕では、ダクト類の開口部の補強で取付け強度が必要な場合は、監督職員との協議と書かれています(14.5.4(6))。迷う前に、図面を持って聞きに行くのが早道です。
順番で困らないための3つのこと
1つ目は、軽天屋さんが作業の前に必ず下地の高さを測りに来ることです。図面で分かることではありますが、下地が届かないとなれば大ごとです。そのため、必ず一緒に現地で確認するようにしています。
2つ目は、設備や電気の天井内の先行は早いほうがよいが、壁際に寸切を垂らすと高所作業車で寄れなくなって危ない、という注意です。天井内が高いほど苦労します。
3つ目は、順番を言葉で渡すだけにしないことです。外周の壁、グラスウール、壁ボード、天井内の設備、天井下地、天井ボード、というように、図1の形で一枚に書いて各社に配るのをおすすめします。

準備物チェックリスト(印刷して使う)
下地に着手する前の打合せで、一度通します。現場によって要らないものは消して使います。
- ☐ 特記仕様書:スタッドの種類、開口部の補強、天井の補強・耐震の記載を確認した
- ☐ 軽天屋さんが下地高さを測りに来る日に立ち会う予定を入れた
- ☐ 壁・設備・天井の順番を図1の形で一枚にして、各社に配った
- ☐ 界壁がある場合、先に組む範囲とボード屋さんの貼り出し日を決めた
- ☐ 界壁の内外1m程度は、設備の機器や吊り物を置かない状態にした
- ☐ 天井内の設備・電気の先行の期限を、設備屋さん・電気屋さんと決めた
- ☐ 壁際の寸切の長さと、高所作業車が寄れる範囲を確かめた
- ☐ ダクト等で吊りボルトが900mmを超える所と、補強の方法を確認した
- ☐ 点検口の位置と、取付け用の補強材を決めた
- ☐ 化粧ボードの裏に設備を据える所の、先貼りの範囲を決めた
- ☐ RC造の場合、インサートの位置を型枠の段階で決めた
コンクリートの打設もそうですが、打設の段取りは前日までに大半が決まります。軽天も同じで、下地の組み始めの日に、順番の8割は決まっています。壁、設備、天井の順番を、先に一枚の紙にしておきましょう。
参考にした基準・資料
- 国土交通省「公共建築工事標準仕様書(建築工事編)」令和7年版14章4節 軽量鉄骨天井下地:14.4.1(適用範囲)、14.4.2 表14.4.1、14.4.3(吊りボルト等の間隔、表14.4.2 野縁の間隔)、14.4.4(インサート、開口部の補強、ふところの補強)
- 国土交通省「公共建築工事標準仕様書(建築工事編)」令和7年版14章5節 軽量鉄骨壁下地:14.5.3 表14.5.1(スタッド・ランナ等)、14.5.4(ランナの固定、振れ止め、スペーサ、開口部の補強)
基準の数値は版によって変わることがあります。実際の工事では、特記仕様書と最新版の基準を確認してください。
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