LGS天井の数量拾いと施工管理術

最近増えている「LGS天井の拾い漏れ」問題

内装工程の遅延理由で多いのが、軽量鉄骨(LGS)天井の数量拾いミス。吊りボルト本数が足りない、野縁受けの通り数を誤算、開口周りの下地不足——どれも現場監督の段取りに直撃します。この記事では「施工管理 数量拾い」をキーワードに、LGS天井の拾い方と施工方法を、現場感覚で掘り下げます。

LGS天井の数量拾いの基本(施工管理・数量拾い・LGS天井)

前提条件と図面確認ポイント

拾いの精度は図面の読みから。以下を必ず確認します。天井高さ、吊り長さ、仕上材(PB9.5/12.5・二重張り・吸音板)、下地仕様(野縁受@900、野縁@303/455)、開口(照明・点検口・吹出し)、特定天井の該当有無、化粧見切り・廻り縁仕様、インサート位置と既存躯体可否。

算定の考え方(面積→通り数→金物)

標準例で説明します。前提:野縁受@900mm、野縁@303mm(PB9.5単層)、吊りボルト@1,200mm(野縁受方向)。

  • 天井面積A(m²)=長辺L(m)×短辺W(m)
  • 野縁受の通り数 N1 ≒ 1 + ⌊W / 0.9⌋
  • 野縁受延長 L1(m)=L × N1 ×(損耗5%加算)
  • 野縁の通り数 N2 ≒ 1 + ⌊L / 0.303⌋
  • 野縁延長 L2(m)=W × N2 ×(損耗5%)
  • 吊りボルト本数 B ≒ N1 ×(1 + ⌊L / 1.2⌋)×(予備5%)
  • 廻り縁(Lアングル)延長 P(m)=2×(L+W)×(10%重ね・欠損)

ポイントは「+1」の扱い。端部の通りを必ず計上すること、端部ピッチの割付調整で数本増減することを見越して5%の予備をのせるのが現場流。

施工方法の勘所(LGS天井 施工方法・耐震ブレース)

基本手順

  1. 墨出し:通り芯から天井GL、廻り縁レベル、吊り芯をレーザーで確定。
  2. インサート確認:W3/8またはM8の受けを実測。足りなければ後施工アンカー(せん断・引抜き余裕を計算)。
  3. 吊り込み:ボルト@1,200〜1,500mm、ナットで高さ仮決め。長吊り(1.5m超)はブレ止め部材を先行。
  4. 野縁受→野縁組立:野縁受@900、野縁@303/455。クリップは確実に「音がするまで」差し込み。
  5. 周辺部:廻り縁へクリアランス3〜5mmで納め、目地割付を優先。
  6. PB張り:長手方向を野縁直交、ジョイントは千鳥。9.5mmは野縁@303が基本。

耐震ブレースと「特定天井」の判断

体育館やアトリウムのような大空間は、天井高さ・面積・重量・吊り長さ等の条件で「特定天井」に該当する場合があります。該当時は、斜めブレースの設置、周辺固定の増強、クリアランス確保、脱落防止金物、部材の許容荷重確認が必須。一般的な事務室でも、吊り長さが長い、設備荷重が大きい場合は、Xブレースを4.5〜6.0mピッチ程度で計画し、ターンバックルで引張調整するのが安全です。

事例・数字で見る:拾い・コスト・工期

事務室(18.2m×12.0m、A=218.4m²)、PB9.5単層、吊り長さ1.0m、吸音材なしを想定。

  • 野縁受通り数 N1=1+⌊12.0/0.9⌋=1+13=14通り
  • 野縁受延長 L1=18.2×14×1.05=268.0m(端数丸め)
  • 野縁通り数 N2=1+⌊18.2/0.303⌋=1+60=61通り
  • 野縁延長 L2=12.0×61×1.05=768.6m
  • 吊りボルト本数 B=14×(1+⌊18.2/1.2⌋)×1.05=14×16×1.05≒235本
  • 廻り縁 P=2×(18.2+12.0)×1.10=66.4m
  • PB枚数(910×1820、1.658m²/枚):218.4/1.658≒132枚

荷重概算:PB9.5約7.5kg/m²+LGS躯体約3.0kg/m²=10.5kg/m²。吊り一本あたりの負担=0.9×1.2×10.5≒11.3kg(許容に十分余裕)。

コスト目安(地域・相場で変動):

  • LGS天井(下地のみ)材工=2,000〜3,000円/m²
  • PB張り(単層)材工=1,500〜2,200円/m²
  • 合計=3,500〜5,200円/m² → 218.4m²で約76万〜113万円

歩掛(参考):LGS組立0.6〜0.8人時/m²、PB張り0.4〜0.6人時/m²、計1.0〜1.4人時/m²。今回1.1人時/m²とすれば、所要=約240人時。4人班(32人時/日)で約7.5日。

拾い漏れゼロのチェックリスト

  • 図面:天井伏・建具高さ・設備開口の最終版で拾っているか
  • 割付:野縁@303/455の根拠(PB厚・仕上仕様)を確認
  • 端部:端部通りの+1計上、廻り縁重ね分10%を追加
  • 吊り:長手ピッチ1,200mmで端部・開口補強分を別途計上
  • 開口:点検口・照明・吹出し周りの補強下地(ダブル野縁)を枚数化
  • ブレース:特定天井の該否、Xブレースのスパン割と金物
  • 躯体:インサート不足の代替(後施工アンカー)の本数とコスト
  • 廃材:損耗5%を標準、短尺多用時は8〜10%に見直し
  • 工程:先行設備(ダクト・スプリンクラー)との干渉クリアランス
  • 品質:ねじ込み長さ、クリップ挿入音、レベル管理記録(写真+数値)

最新動向と効率化(施工管理 DX)

BIMモデル(Revit等)から天井グリッドを抽出し、Dynamoで「L/0.303」「W/0.9」を自動計算→CSV出力→見積書に連携すると、拾い時間が半減します。現場ではレーザーレベル+距離計で墨出しを1人運用、クラウドの工程・出来形写真管理を併用すると、手戻りが顕著に減ります。

まとめ:明日から使えるTips

  • 端部「+1」を忘れない計算テンプレをExcelに作る(ピッチを変数化)
  • PB厚・枚数が決まるまで野縁@303/455を確定しない
  • 吊り長さ1.5m超は早期にブレース計画、材料手配を前倒し
  • 開口補強は拾い表に「標準枠」「点検口」「大型開口」で区分
  • 損耗率は現場条件で5→8%へ柔軟に変更し、見積に反映

「施工管理 数量拾い LGS天井」は、式とチェックの型化で精度が一気に上がります。拾い表を標準化し、DXツールで計算と記録を自動化。これだけで工程・コスト・品質の三方良しが実現します。

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