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2階の墨出し、今日からですよね。レーザー墨出し器の使い方を覚えたら、トランシットっていらなくないですか?
レーザーは僕もよく使うよ。でも基準の墨と長い墨はトランシットで出して、そこから先をレーザーで出してる。
えっ、なんでわざわざ分けるんですか?
レーザーは届く距離に限りがあるからね。長い通りを一度に、とはいかないの。
じゃあ、下の階から上の階に墨を上げるときはどうするんですか?
それこそレーザーの出番。床と壁の墨、三脚と受光器、墨上げまで、道具の使い方を順に話すね。
レーザー墨出し器の使い方は、本体を水平に据え、床の墨の交点に合わせ、出た光を墨にするの3つです。僕は基準の墨と長い墨をトランシットで出し、そこから先の割付をレーザーで出す分担にしています。この記事では、床と壁の墨の使い分け、三脚と受光器、上の階への墨上げまでをまとめます。
この記事で分かること
- レーザー墨出し器でできること・できないことと、トランシットとの分担
- 床の墨と壁の墨の違いと、三脚・受光器の使いどころ
- 下の階から上の階へ墨を上げる段取り(スラブの穴と半透明の養生テープ)
レーザー墨出し器でできること・できないこと
レーザー墨出し器は、水平や鉛直の光のラインを床・壁・天井に映す道具です。機種によって縦と横のラインが直角に交わって出るので、XYの2方向をいっぺんに見られます。僕が便利だと思うのは、セットが比較的簡単で、慣れれば据えるのがすごく早いことです。墨を出すたびにトランシットを据え直さなくても、その場で光を当てて墨にできます。
一方で、光が届いて見える距離には限りがあります。僕は使える範囲を基本的に10m以下と考えていて、それより長くなるときはほかの測量機器に切り替えます。届く距離は機種と受光器の有無で大きく変わるので、使う機種の取扱説明書で確かめてください。
レーザー光の扱いにも決まりがあります。たとえばマキタ SK504GPZ の取扱説明書では、レーザーの区分がクラス2M(JIS C 6802:2011 準拠)とされ、光を直接のぞき込まない、人に向けない、光路を目の高さから外すと書かれています。使う機種のクラスと注意書きを、使う前に必ず確認してください。
基準の墨はトランシット、そこから先をレーザーで
僕がトランシットとレーザーを分けるのは、基準の墨と長い墨はずれると後が全部ずれるからです。基準の墨や長い墨はトランシットで出し、そこから振り分ける墨をレーザーで出しています。高さを見るときはオートレベル、という分け方も含めて、僕の使い分けを表にしました。
| 道具 | 僕の使いどころ | 選ぶ理由 |
|---|---|---|
| トランシット | 基準の墨、長い墨 | 基準がずれると、そこから出す墨が全部ずれるため |
| オートレベル | 高さの確認、レーザーの届く範囲(10m 前後)を超えるとき | レーザーが届かない距離でも使えるため |
| レーザー墨出し器 | 基準の墨から振り分ける墨、XY の直角、上の階への墨上げ | セットが簡単で、慣れれば据えるのが早いため |
| 回転レーザー+受光器 | 捨てコンの天端の確認(レベルと併用) | 所定の高さで受光器が鳴るので、間違いが少ないため |
基準の墨がずれたら、そこから出す墨が全部ずれるからね。ミサキさん(先輩監督)
トランシットとオートレベルの据え方は、オートレベルとトータルステーションの据え方にまとめています。レベルの読み違いで困ったことがある人は、レベルの読み違いを防ぐ記事もあわせて読んでください。
道具をそろえる人向けに、5ラインのグリーンレーザー墨出し器を1つ紹介しておきます。僕はこの機種は使っていません(僕が使っているのは別の機種です)。選ぶときは、受光器の有無と届く距離、レーザーのクラスを仕様表で確かめてください。
床の墨と壁の墨:レーザー墨出し器の使い方を分ける
床の墨と壁の墨は、使い道が違います。床の墨は、壁が立つ位置やサッシが来る位置を床に出すものです。壁の墨は、タイルの割付の基準になる墨や、RC なら陸墨(ろくずみ)を壁に出すものです。
床の墨を出すときは、本体の真下に出る点(地墨点)を床の墨の交点に合わせて据えると、縦と横の光をそのまま次の墨に使えます。壁の墨は、床から立ち上がる鉛直のラインと水平のラインを壁に映して出します。どちらも、元になる基準の墨が先にあることが前提です。
僕は墨の出し方を、ほかの人が出した墨を見て覚えました。経験を積むと、この工事をするならこういう墨がいる、と先の工程を考えて自分で決められるようになります。墨出しの全体の進め方は墨出しの進め方の記事、基準から離して出す墨は逃げ墨の出し方で詳しく書いています。
レーザー墨出し器の三脚と受光器の使い方(届く距離の目安)
据えるときは、三脚か平らな床に置いて、本体を水平にします。マキタ SK504GPZ の取扱説明書では、三脚ねじは W5/8 で、円形気泡管の泡を赤い円の中央に合わせてから電源を入れ、使い終わったら電源スイッチを LOCK-OFF 側に回して内部をロックする手順です。高さを変えたいときは、別売りのエレベーター三脚が使えるとも書かれています。
受光器は、明るい場所などで光が見えにくいときに使います。光が当たる位置に受光器を持っていくと、音で知らせてくれます。届く距離は受光器で変わり、たとえばエスコ EA780K-3A の仕様では、受光器なしで約10m(屋内)、受光器ありで約40m(屋外)とされています。僕が目安にしている10mは、この機種の受光器なしの距離と同じくらいです。
精度も機種ごとに決められていて、マキタ SK504GPZ では投射光が ±1mm/10m です。遠くなるほどずれも大きくなるので、長い墨はトランシットで出す分担がここでも生きます。据えたら、基準の墨に光が乗っているかを確かめてから墨を出してください。
下の階から上の階へ墨を上げる
上の階に墨を上げるときは、コンクリートを打つ前に、上の階のスラブへ墨上げ用の筒をセットしておきます。打設後はそこが丸い穴になるので、下の階にレーザーを据えて真上に打ちます。上の階の穴に半透明の養生テープを貼っておくと、下からの光の点が見えて、ペンでなぞれます。
Konyの現場メモ
僕は墨を上げる位置に、打設前に墨上げ用の筒を入れておきます。上の階の穴に半透明の養生テープを貼っておけば、下から打った点がテープに映るので、そのままペンでなぞれます。
真上に光を打つときは、上の階にいる人が穴をのぞき込まないように気をつけます。取扱説明書にあるとおり、レーザー光を直接のぞき込むのは避けるべきだからです。点をなぞったら、その点を元に上の階の墨を出していきます。
構造に関わるところ
スラブに墨上げ用の穴を設けることは、スラブの構造に関わります。穴の位置と数は現場監督の判断で済ませず、監理者に報告して、必ず構造設計者・監理者の指示を仰いでください。
Q20m を超える長い通りの墨を出したい。どうする?
- Aレーザー墨出し器を据え直しながら、少しずつつなぐ
- Bトランシットで基準の墨を出し、そこから振り分ける墨をレーザーで出す
- C受光器を使えば届くので、レーザーだけで出す
答えを見る
B 基準の墨と長い墨はずれると後が全部ずれるので、トランシットで出します。レーザーはそこから先の墨に使います。
捨てコンの天端は回転レーザーと受光器で見る
床に置く墨出し器とは別に、回転レーザーと受光器を使う場面もあります。僕は捨てコンを打つ前に、要らない鉄筋を差しておき、レベルを見ながら所定の高さにテープを巻いて天端を出しておきます。打つ当日は、回転レーザーと受光器も併用します。
スタッフに付けた受光器は、所定の高さで「ピピッ」と鳴ります。テープの目印と受光器の音の両方で見ると、間違いが少なくなります。捨てコンの天端と砕石のレベルの確認は、捨てコンと砕石のレベル確認で詳しく書いています。
次に墨を出す日は、基準の墨はトランシットで、そこから先の割付はレーザーで、と分担を先に決めておくと迷いません。レーザーは届く距離と光の扱いを機種ごとに確かめて使えば、据えるのが早く、墨出しの強い味方になります。
参考にした基準・資料
- マキタ「屋内・屋外兼用墨出し器 SK504GPZ 取扱説明書」レーザーのクラス(クラス2M、JIS C 6802:2011 準拠)・安全上の注意・設置と整準の手順・投射光の精度(±1mm/10m)
- エスコ EA780K-3A の仕様(ミスミ掲載)使用距離:受光器なし 約10m(屋内)、受光器あり 約40m(屋外)
- レックスレンタル「レーザー墨出し器フルラインタイプの簡単使い方講座」地墨点・受光器の使い方
届く距離・精度・レーザーのクラスは機種によって違います。実際に使うときは、その機種の取扱説明書と仕様を確認してください。
- 同じ工種|03 測量・墨出し逃げ墨の出し方
- 同じ工種|03 測量・墨出し墨出しの進め方
- 前の工程|07 地業工事捨てコンと砕石のレベル確認

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